ダニによって媒介される重症熱性血小板減少症候群(Severe Fever with Thrombocytopenia Syndrome)
厚生労働省のサイトで下記のとおりの広報が出ている。
重症熱性血小板減少症候群(SFTS)患者の国内での確認状況
厚生労働省:2013年2月13日
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000002v5pa.html
この疾病に関しては,下記の論文によって知見を得ることができる。
Fever with Thrombocytopenia Associated with a Novel Bunyavirus in China
XJ Yu et al.
April 21, 2013
http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1010095
Person-to-Person Transmission of Severe Fever with Thrombocytopenia Syndrome Virus
Qun Li et al.
February 8, 2012
http://online.liebertpub.com/doi/abs/10.1089/vbz.2011.0758
Person-to-Person Transmission of Severe Fever With Thrombocytopenia Syndrome Bunyavirus Through Blood Contact
Zhongtao Gai et al.
November 17, 2011
http://cid.oxfordjournals.org/content/54/2/249.short
Truly Emerging — A New Disease Caused by a Novel Virus
Feldmann
April 21, 2011
http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/nejme1102671
A cluster of cases of human-to-human transmission caused by severe fever with thrombocytopenia syndrome bunyavirus
Honqbin Chen et al.
10 December, 2012
http://www.ijidonline.com/article/S1201-9712(12)01298-2/abstract
Clinical and Epidemiological Study on Severe Fever with Thrombocytopenia Syndrome in Yiyuan County, Shandong Province, China
Cui F et al.
January 21, 2013
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23339197
血液を通じて人から人へのウイルス感染も確認されているようなのだが,基本的にはダニがウイルスを媒介する事例が多いようだ。
ダニの仲間は種類が非常に多く,普通の家の中にも無数に存在する。しかし,このウイルスとの関係では,ダニの仲間の中でもマダニなど哺乳類に寄生するタイプのものが媒介の役割を果たすことになる。
防御策としては人間以外の哺乳類(野生動物,動物園で飼育されている動物,ペットとして個人に飼育されている哺乳類等を含む。)と接触する機会及び哺乳類と接触する機会の多い人間との接触の機会をできるだけなくするようにするしかなさそうだ。また,保護のあり方の間違いにより増えすぎてしまった野生のシカやイノシシなどを大量に減らすための効果的な方策を講じる必要がある。それらの野生動物がダニをつけたまま里に下りてきて人間に感染させる可能性が高い。
殺虫剤によってマダニを排除することは可能だが,自然界にいくらでもいるので,根絶は絶対に不可能であり,逆に環境汚染によって極めて深刻な事態が発生するおそれもある。
[追記:2013年8月30日]
関連記事を追加する。
マダニ感染症、ウイルスを静岡県内で初検出
静岡新聞:2013年8月30日
http://www.at-s.com/news/detail/744828124.html
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