1771年八重山地震津波(明和の大津波)
先日,沖縄出身のある先生と1771年八重山地震津波(明和の大津波)がどうして発生したのかについて意見交換する機会をもった。いまだに原因を特定するには至っておらず,諸説あるとのことだった。調べてみると,たしかにそうだ。
1771年八重山地震津波(明和の大津波)
http://seis.sci.u-ryukyu.ac.jp/hazard/EQ/1771yaeyama/
この津波の高さは海面から80メートルにも達し,日本の津波の中では最も高いものだとされている(最近の研究では,10メートル~30メートル程度だったとする説もある。)。しかし,宮古島及び石垣島を含む八重山諸島では大きな被害があったものの,沖縄本島ではさしたる被害はなかったのだという。
素人なりに仮説を立ててみた。
震源と推定されている場所は,宮古島の南方すぐ近くのところにある。実際,八重山諸島の南方海域では今年に入ってからも何度か大きな地震が発生しているから,あり得ることだと思う。
仮にそのあたりが震源だと仮定し,もう一つ仮説を組み合わせれば説明可能なのではないかと思う。つまり,そんなに広くない範囲で海底が何メートルか下がったという仮説だ。そうすると,下がった分だけその海域にあるかなり分量の大きな海水も一斉に下がる。すると,下がった水面と元の水面の落差に下がった海域の面積を乗じた分だけの海水が周囲から一斉に押し寄せてくることになる。それらが1点に集中するようにして押し寄せ,ほぼ同時に衝突すると,普通ではあり得ないような高さにまで高い海水の山のような盛り上がり状態が発生し,それが大津波となって諸島に押し寄せたのではないかと仮定してみるわけだ。
この仮説による場合,盛り上がった海水は,周囲に拡散していくが,もともと海水の総量がそんなに大きなものではないし,下がった海域の部分にとどまる海水もあるので,距離が遠くなるとエネルギーが自然に減衰し,例えば沖縄本島あたりにまで達する時点ではほとんど影響のないくらいのものにまでなっているということを想像することができる。
私は流体力学関係の計算が苦手なので,このようなおおざっぱな仮説を述べるくらいしかできないが,数学に強い人であれば,どれくらいの広さの海域でどれくらいの落差で海底が下がると80メートルの津波を発生させるような海面の盛り上がりが発生するのかをシミュレートしてみることは可能だろうと思う。
そして,たとえこの仮説が八重山諸島で実際に起きたこととは異なるとしても,もし上記のシミュレーションが「ありそうなメカニズム」として肯定的な計算結果を導き出すのであれば,日本の他の地域で将来発生するかもしれない巨大津波の想定等に応用することは可能なのではないかと思う。
ちなみに,明和の大地震では,人魚に津波の襲来を教えてもらった村人だけが山に登り生き残ることができたという伝説が伝わっているそうだ。リュウグウノツカイなど,普通は見かけない奇妙な生き物が海辺にやってきたりしたのだろうか?
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沖縄本島では500年周期で大地震と大津波が発生との研究結果
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もし大津波が沖縄を襲ったとしたら
http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2011/03/post-40a7.html
沖縄でも大地震と大津波に備えた訓練が必要ではないか
http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2011/09/post-4a1b.html
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