2024年6月15日 (土曜日)

シューベルトのさすらい人幻想曲(リスト編曲版)

シューベルトの「さすらい人幻想曲」op.15, D.760は私の大好きな楽曲の一つだ。

以前,NHK FMの音楽番組の中で紹介されていたので,リスト編曲によるピアノ独奏+管弦楽伴奏版があると知った。

さんざん探した結果、MUZA Rubackyteのピアノ独奏,リトアニア管弦楽団によるライブ演奏を録音したCD(DORON DRC 3077)があることを知り,そのCDを購入した。

とても良い演奏だと思う。

曲それ自体に関しては,変奏曲の最終曲(フーガ)は,原曲とそんなに変わらない。世紀の大天才であるリストでさえ,原曲の作者であるシューベルトに対して敬意を表するしかないほどの完成度の高い楽曲なのだと思う。

このCDには,MUZA Rubackyteの独奏によるバルトークのピアノ協奏曲第3番も収録されている。これもとても素晴らしい演奏だと思う。

この作品それ自体は,バルトークの苦悩を素直に表現した作品なのではないかと思う。その意味で,(別の評価もあるかもしれないが)人間としてのバルトークの内面の表出度が高い作品・・・というのが私自身の主観的評価だ。

 

 

 

 

 

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2024年3月30日 (土曜日)

テネシー州:Elvis Act

下記のとおり公報されている。

 Gov. Lee Signs ELVIS Act Into Law - Tennessee First in the Nation to Address AI Impact on Music Industry
 Office of Governor: March 21, 2024
 https://www.tn.gov/governor/news/2024/3/21/photos--gov--lee-signs-elvis-act-into-law.html

 

 

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2023年10月24日 (火曜日)

ホルツバウアーの交響曲集

ホルツバウアー(Ignaz Holzbauer)の交響曲の演奏を収録したCD(CPO 999-585-2 )を購入し,繰り返し聴いた。

極めて素晴らしい演奏だと思う。

ヴィヴァルディの音楽からハイドンやモーツアルトの音楽へどのように進化したのかに興味をもつ者にとっては,非常にありがたいCDだと思う。特に,ヴィヴァルディの合奏協奏曲の全てに精通していれば,「この時代に一体何が起きたのか?」を即座に推察することができる。

 

 

 

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2023年9月28日 (木曜日)

バルトーク:2台のピアノ,打楽器と管弦楽のための協奏曲など

久しぶりにこの曲のCDを聴いた。ピエール・ブーレーズ指揮・ロンドン交響楽団の演奏による2008年の録音のCD(UCCG-53096)。

このCDの中には,ギドン・クレーメルの独奏,ベルリンフィルの演奏によるヴァイオリン協奏曲第1番の演奏(2004年)も収録されている。とても美しい曲だと思う。バルトーク以降の時代の世界中の作曲家達がこの曲を盛んに模倣した。

どうでもよいことなのだが,若い頃,少しだけ作曲をやってみたことがあった。しかし,やれるところまである程度やってみた時点で,自分の作風と作曲技法は,結局のところ,バルトークとその後継者らによって既に徹底的に採掘され尽くされた後の炭鉱遺跡の情景と香りのようなものだということを明確に認識・理解し,以後,作曲の世界とは完全に縁を切り,全く別の領域の人生を歩むことになった。

当時も今もそのことを知る人はほとんどいない。

学生から質問されれば答えるようにしているのだが,「人生とは,自分自身の可能性をどんどん狭める営みであり,最終段階では,他の選択肢がない段階(=死)に至る」というのが私の理解だ。これは,若い人たちにとってはちょっと惨すぎる意見かもしれない。

しかし,一瞬にして最後の日がやってくるわけではない。

人生のためのある程度の年限が提供されている。

そして,生きている間に何を楽しみ,何を苦しむかは,各人の自由だ。そのようにして自由に選択した結果がどうなるのかは,各人各様だとしか言いようがない。「運」によって左右されている部分もかなり大きい。

私の人生のための時間はあまり残されていないかもしれない。ひと昔前であれば既に死んでいるはずの年齢だ。日々,自分自身の知的能力と体力の著しい劣化を痛感し続けている。

しかし,まだ生きている。

残りの日々に何をなすべきか,この老いぼれに何ができるのかを考えながら,このCDに収録されている素晴らしい演奏を聴いた。

 

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2023年6月 5日 (月曜日)

イーゴリ公

Wikipedia等に書いてあることに疑問をもち,叙事詩とボロディンのオペラ作品をちゃんと鑑賞し,考えようと思った。

とは言っても,ロシア語も東欧語もちゃんと読めないので,木村彰一訳『イーゴリ遠征物語』(岩波文庫)の古書を読み,また,ワレリー・ゲルギエフ指揮によるキーロフ歌劇場管弦楽団等の演奏の全曲盤(PHCP-5327/9)の中古CDを鑑賞した。

オペラ作品としての『イーゴリ公』は,序曲,第1幕の最後の最後にある「だったん人の踊り」が有名なのだが,全曲を通して素晴らしい曲だということを知った。グリーグのペールギュント第2組曲と共にカールオルフに対して決定的な影響を与えている。

オペラ作品『イーゴリ公』の序幕ではイーゴリ公が軍勢を整え進軍を開始するまでのことが表現されている。第1幕は,イーゴリ公が戦闘に敗れ,軍勢を失って捕虜になり,憂鬱な日々を過ごすという場面が中心となっている。つまり,このオペラは,敗軍の将としてのイーゴリ公を主人公としている。そのことをどのようにとらえるかは,オペラ作品の主人公であるイーゴリ公を理解しようとする者の「構え」(E. フロム)によって大きく異なる。イーゴリ公は,敗軍の将として適地から単独で脱走し,帰国するが,戦闘をやめようとはしない。人々は,表面上,イーゴリ公の帰国を喜び,イーゴリ公を称える。

そのようにして叙事詩を読み,オペラ作品を鑑賞し,関連する絵画作品等を鑑賞した後,思ったことがある。

それは,現在のロシアの対ウクライナ侵略戦争との関連において,深刻なレベルで示唆的であり,かつ,預言的だということだ。

プーチンは,きっと,時代錯誤のゆえに,本質的な部分で理解と解釈を誤り,それゆえに侵略戦争を開始したのだと思う。

 

 

 

 

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2023年3月 7日 (火曜日)

シフのクラヴィコード演奏によるバッハ作品集

シフのクラヴィコード演奏によるバッハ作品集のCD(ECM UCCE-2100/1)を聴いた。

多数の曲が収録されており,どの曲の演奏も素晴らしいのだが,私の完全に主観的(唯我独尊的)評価の下で最も納得したのはシンフォニアBWV 787-801の演奏だった。
クラヴィコードは,10本の指全部で弦を弾くことのできる鍵盤付き大型リュートともいうべき楽器。このCDの演奏を聴いていると,まるでギターかリュートの演奏を収録したCDじゃないかというような錯覚に陥る。

バッハは,とんでもなく優れた天才リュート奏者を知っていたのに違いない。だから,このような曲を書ける。

ただし,シフが最も精力を傾けて演奏・録音したのは半音階的幻想曲とフーガBWV903だろうと思う。この曲は,リュート曲の延長という世界から既に飛び出してしまっている。

若い頃のシフは,イケメンということもあって大人気のピアニストだった。現在のシフの外貌は普通の老人なのだが,内面は著しく進化している。長年にわたる研究と実践の積み重ねによるものだろう。

同種のCDは既に何枚かもっているのだが,素晴らしいCDコレクションを追加できた。

 

 

 

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2022年10月17日 (月曜日)

ウクライナ:ロシア軍は非協力的なウクライナ芸術家を殺している

下記の記事が出ている。今後もウクライナ人を殺し,文化を抹殺するための侵略行為が続く。

 Russian troops kill Ukrainian musician for refusing role in Kherson concert
 Guardian: 16 October, 2022
 https://www.theguardian.com/world/2022/oct/16/russian-troops-kill-ukrainian-musician-yuriy-kerpatenko-for-refusing-role-in-kherson-concert

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2022年10月14日 (金曜日)

ロシア:ウクライナの文化に親しむと処罰される

下記の記事が出ている。

 Jail for man caught listening to Ukrainian music in his car
 The Times: October 13, 2022
 https://www.thetimes.co.uk/article/jail-for-man-caught-listening-to-ukrainian-music-in-his-car-bnwtcsvkq

ロシア政府としては,ウクライナの文化も言語も宗教も歴史も全否定し,地球上から完全に抹殺するということなのだろうと思う。

日本国内にいる同調者も同類なのだと推論するのが正しい。すなわち,日本国憲法が定める基本的な価値観と根本的な部分で矛盾する存在だというしかない。

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2022年10月11日 (火曜日)

ツェムリンスキー:抒情交響曲 作品18

別の楽曲のCDを探していたところ,偶然にも遭遇したので購入したボックス廉価版セット(APRICCIO)の中に入っていたツェムリンスキーの抒情交響曲(作品18)のCDを聴いた。演奏は,エッシェンバッハ指揮,パリ交響楽団,クリスティーネ・シェファー(ソプラノ),マティアス・ゲルネ(バリトン)。

演奏が非常に優れているということもあるけれども,それを度外視して楽曲それ自体として冷酷に観察した場合,聴けば聴くほど,マーラーが他人の良いものを奪い,パクるだけの秀才もどきの音楽家だということが非常に鮮明に見えてくる。

ツェムリンスキーの晩年はあまり幸福ではなかった。ナチスが支配する時代だったので,アメリカへ亡命せざるを得なかったのだが,英語があまりわからなかった。そのため,機会に恵まれなかった。彼の弟子(?)とされるシェーンベルクは,上手にたちまわっていたのだが,ツェムリンスキーに恩返しした形跡はない。

ちなみに,私は,シェーンベルクをあまり評価していない。破壊することには成功しているが,何か新しい潮流を生み出すということが全くなかった。単なる秀才の一種なのだろうと思う。

 

 

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2022年7月19日 (火曜日)

フルトヴェングラーとエドウィン・フィッシャーの「皇帝」

生前整理のために日常のかなりの労力を割いている。

だいぶ片付いていきたのだが,まだまだだ。自分の未練のような気持ちを消滅させないと捨てられないものが多すぎる。

生前整理とは心の整理でもあるのだが,これが一番難しい。

なにしろ,私は聖人でも哲人でもない,単なる凡人の一員に過ぎない。

しかし,思案していても仕方ないので,とにかく仕分け作業をしている間に,古いLPやらCDやらも仕分けすることになった。息子の意見によりLPは全て保存することになったがCDが難しい・・・現在ではネットでダウンロード視聴できるコンテンツが大半を占めている。

やっている間に,かつて東芝EMIからLPで出ていたものをノイズ処理した上でそのままCD化したものを見つけた。自分で買ったものであることは間違いないのだが,忘れていた(笑)

早速聴いてみた。

素晴らしい!

無論,個性または趣味嗜好の問題なので,好き嫌いはあると思う。

しかし,好き嫌いを全く度外視して,「このような演奏は二度と再現できない!」という点に異論のある人はほとんどないだろうと思う。

 

 

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