2017年11月14日 (火曜日)

コピペ

ネット上のコンテンツ等からコピペを検出する実用的なサービスは既に存在する。

そして,例えば,Google Booksのような網羅的なデータベースを用いて自動的にコピペ率を計算するシステムは容易に構築することができそうだ。例えば,東大の情報学環や慶應大学のSFCあたりで予算をとって構築すれば,あっという間にそのようなシステムを構築することができることだろう。

この場合,例えば,IBMのワトソンのようなシステムの機能を駆使すれば,かなり精度の高いコピペ検出が可能となるだけではなく,その手法の自動解析及び自動的な類型化も可能となることだろう。

従来のシステムでは,単純なマッチングによるものが多かったので,公正な引用の場合もコピペと誤認されてしまう危険性が常にあった。しかし,パターン認識により,公正な引用の場合と,不適切なコピペの場合とを自動的に識別することが可能となる。

このようなシステムは,例えば,ノーベル賞候補者の論文の正当性を自動的に調べることにも寄与することになるだろう。

数年も待たない間に,コピペ率の高い似非論文の出現頻度によって大学の世界的な格付けが決定される時代が来る。

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季刊考古学141号 西アジア考古学・最新研究の動向

三省堂本店でみつけて購入し,早速読んでみた。

 季刊考古学141号 西アジア考古学・最新研究の動向
 http://www.yuzankaku.co.jp/products/detail.php?product_id=8406

最近の動向に関する総集編的な内容となっており,とても勉強になった。

特に聖書考古学との関係に関する論説は非常に参考になった。

参考文献等の出典の表記が明確かつ詳細になされているので,その意味でも有用であると思う。読んでみたい文献を幾つか発見することができた。

更に勉強を深めなければならない。

(余談)

カラー頁の1頁目にネアンデルタール人骨と題された写真がある。

本当にネアンデルタール人なのかどうかを判断する能力はないが,そのいずれにしても,とにかく興味深い写真だと言える。

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旧弊

かつて,新たな法律が制定されたり,従来の法律が改正されたりすると,その立法作業と関連する資料が特定の大学の特定の分野の教授だけに交付され,その資料に基づいて,あたかもその教授の学説であるかの如き内容の体裁に整えられた解説書が作成・出版され,その学説が通説として取り扱われ,その教授が当該分野における権威とされることが普通であった。

大日本帝国憲法下の時代,特に明治時代の西欧の法制を導入することが急務であった時代においては,そうせざるを得ない合理的な理由があったかもしれない。

しかし,現代の日本は,日本国憲法の下にある。

特定の公務員が特定の教授だけに立法資料を提供することは,日本国憲法に定める公平原則に明らかに反する行為であるので,公務員の憲法遵守義務にも明らかに反する行為となる。これらの立法資料は,常に,可及的速やかに公開され,オープンデータとされるべきものである。

そのようにすれば,その資料の作成者及び出典を誰でも確認することができる。

公開可能な文書をオープンデータとしてネット上で提供する利点については,EUのオープンデータに関する関連法令でも明確に示されているところであり,とりわけ,「法へのアクセス報告書」でそのことが明らかにされている。「法へのアクセス報告書」の参考訳は,法と情報雑誌上で提供している。

また,このようにして立法資料が一般に公開されると,本当は学説ではなく資料に過ぎないものを学説として誤解する弊を避けることができる。

それによって,本当は優秀でも何でもなく,単に編集能力またはコピペ能力に優れた単純秀才型人間に過ぎない者を偉大な教授であると誤解するような弊を避けることもできる。

そして,そのような立法資料に過ぎないものが通説として扱われる弊を避けることができる。現実には,様々な分野において,「通説」なるものの実質がそのようなものである実例が多々認められ,容易に立証可能な状態にあることから,このことは,特に重要である。

これらは,人事評価や学術上の業績審査との関係においてのみならず,これから大学に進学し,特定の教授から高度な学問を学びたいと真剣に考えている若者達がその人生を誤らないためにも重要なことである。高校生に過ぎない学生やその親権者達は,自力でものごとを判断し自力で人生を獲得できる非常に優れた人々である場合を除き,どうしても当該教授の肩書きや経歴で判断せざるを得ないことが多いから,このことは特に重要なことである。このような文脈において,日本国における将来有望な若者の人生をそのスタート地点において誤らせることは,その若者の人間としての尊厳を踏みにじる行為となり得るものであることは自明であるが,それだけではなく,大量観察的には,日本国の国益にも大いに反するものである。それと同じ理由により,日本国の産業界とその将来に与える負の影響も著しく大きなものである。

このような立法資料をオープンデータとして公開すれば,一般に,学術上特に優れた業績ではなく単なる立法資料の受け売りまたはコピペに過ぎないものを用いた欺瞞的な商売の横行を避けることができる。そのような欺瞞的な商品に過ぎない書籍等を刊行する行為は,理論的には,表示と内容とに極度の相違があるという意味で誤認を招く商品表示に該当し得る行為であり,関連法令により厳しい制裁が下されるべき場合がある。また,要するに「まがいもの商品」の一種ということになるので,消費者訴訟により,少なくともその代金に相当する額全額の無条件の返還請求が認められるべき場合があり得る。加えて,そのような刊行行為は,不公正な取引行為にも該当し得る場合がある。

そのような書籍等の刊行について,著作権法の適用の関係,科研費等の公費の使途の会計監査との関係でも大きな問題があることは言うまでもない。

以上の諸点から,日本国において制定または改正される法律に関する限り,特別の事情により情報公開の対象としないことに合憲性・合理性・相当性がある特定の資料を除き,その全ての立法資料について,個々の国民が個々に情報公開請求をしなくても,オープンデータとして,政府のWebサイト上で可及的速やかに公開され,誰でも無償で迅速に入手できるものとされなければならない。

旧弊は,改められなければならない。

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2017年11月12日 (日曜日)

高木浩光「宇賀克也「個人情報保護法の逐条解説」第5版を読む・中編(保護法改正はどうなった その9)」

名古屋で開催中の情報ネットワーク法学会の会場で高木浩光氏と会い,話題となったので,早速読んでみた。

 高木浩光
 宇賀克也「個人情報保護法の逐条解説」第5版を読む・中編(保護法改正はどうなった その9)
 https://takagi-hiromitsu.jp/diary/20171022.html

個人情報保護法と関連する仕事または研究をしている人は,必読だと思う。

(余談)

あくまでも一般論だが,単に資料を並べ替えただけで,特に新たな学術的思想が加えられたわけではないのものは,資料の編集物に過ぎないので,全体として,論説ではなく資料になる。

その編集物の編集方法が特に創作性をもつ場合には,場合によっては,データベースの著作物としての性質をもつことがあり得る。

しかし,そのいずれの場合でも,学術上の論説の範疇にあるものとは到底認め難い。

ちなみに,これもあくまでも一般論であるが,資料に過ぎないものについて,新たな知見を含むものとして有償で頒布した場合,景品表示法違反になるか否かについては,これまで論じられたことがないのではないかと思う。

(余談2)

資料の出典が明示されていない場合,様々な問題が生ずる。

当該資料集のような書籍を引用しても,公正な引用が行われているとは認められないからだ。

正しくは,当該資料集のような書籍が依拠した原資料を調査・確定し,原資料を原資料として引用しなければならない。

また,当該資料集のような書籍は,学説または学術上の創作性のある思想を示すものではないので,「通説」等として引用することが許されない。

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2017年11月 3日 (金曜日)

法と情報雑誌第2巻の正誤

法と情報雑誌第2巻の正誤表を更新した。

正誤表は,下記のサイトの一番下にある。

 http://cyberlaw.la.coocan.jp/index2.html

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2017年10月29日 (日曜日)

法と情報雑誌第2巻(2017年1月~10月分)総目次

下記のサイトで公表した。

 サイバー法・法情報学
 http://cyberlaw.la.coocan.jp/index2.html

毎月,印刷代に不足しつつもどうにかこうにか切り抜けてきた。

法と情報雑誌は,会員とごく限られた範囲の研究者のみに非売品として配布し,国立国会図書館に納本しているものなので,どうしてもこうなる。

しかし,「捨てる神あれば拾う神あり」とでも言うべきか,やっと資金的な支援の目途がたったので,2018年3月までは印刷・刊行を継続することができそうだ。

もしかすると2018年3月中旬に2回目の法と情報研究会・公開研究報告会を開催できるかもしれない。

法と情報研究会の支援者には心から感謝申し上げる。

***

先日,ある教員から,「夏井先生は大変なお金もちだから,私費で雑誌を刊行することができ,うらやましい」との趣旨のことを言われた。

とんでもない誤解だし,ある意味で誹謗中傷の一種にあたると判断している。

事実,私は,大金持ちではない。

贅沢を一切避け,生活費を削り,どうにか費用を捻出している。

学術とは,もともとそういうものなので,ごく一部の金満家の子どもとして生まれた特別の例外的な人々を除き,贅沢と安楽を楽しみながら行うようなものではない。

普通の収入しかない者が贅沢と安逸を選択すれば,当然のことながら,学問が疎かになる。少なくとも,学問のために支出可能な資金に事欠くことになる。

私自身は,定年までの年数が乏しくなっているし,そもそも定年まで生きていられるかどうかもわからないので,他の贅沢に属することは切り捨て,私の残された乏しい精力の全てを学問研究のためのみに投入することに決めている。

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2017年10月26日 (木曜日)

Jeffrey Belson, Certification and Collective Marks: Law and Practice

下記の書籍が届いてたので,読みたいと思っていた部分を精読し,それ以外の部分にざっと目を通した。

 Jeffrey Belson
 Certification and Collective Marks: Law and Practice
 Edward Elgar (2017)
 ISBN-13: 978-1785368790

とても勉強になった。

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2017年10月21日 (土曜日)

Olga Mironenko Enerstvedt, Aviation Security, Privacy, Data Protection and Other Human Rights: Technologies and Legal Principles

Amazonに注文していた下記の書籍が届いたので,ざっと読んでみた。

 Olga Mironenko Enerstvedt
 Aviation Security, Privacy, Data Protection and Other Human Rights: Technologies and Legal Principles
 Springer (2017)
 ISBN-13: 978-3319581385

PNRの問題を含め,航空機の搭乗者の権利保護に関する現時点で最も詳しく,最新の法制を踏まえた書籍なのではないかと思う。

ちょっと忙しいので精読できないが,どうにか時間をつくって読むことにする。

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2017年10月 1日 (日曜日)

Abuse of Dominant Position and Globalization & Protection and Disclosure of Trade Secrets and Know-How

下記の書籍を読んだ。

 Pranvera Këllezi, Bruce Kilpatrick & Pierre Kobel (Eds.)
 Abuse of Dominant Position and Globalization & Protection and Disclosure of Trade Secrets and Know-How
 Springer (2017)
 ISBN-13: 978-3319468907

営業秘密及びノウハウを中心として,EUの構成国における知的財産政策及び法制の比較検討結果を詳細に示す書籍であり,有用性が非常に高いと思う。

この分野の研究者にとっては必読の一冊ではなかろうか。

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佐野智也「外国法の参照に関する明治民法と明治商法の比較」

佐野智也先生から下記の論文の抜き刷りを頂戴した。

 佐野智也
 外国法の参照に関する明治民法と明治商法の比較
 名古屋大学法制論集274号53~78頁
 2017年9月

比較的短い論文なのだが,極めて緻密に調査・検討した結果をまとめたもので,大変な労作だと思う。

特に従来の研究で主要な情報源とされてきた資料のみでは正確に解明できない部分を明確に指摘し,どのような法情報にあたる必要性があるかを詳細に述べている点が優れていると考える。

類似の研究成果は過去にもあるが,精密性と網羅性の点において,群を抜くものと言える。

とても勉強になった。

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