2017年5月30日 (火曜日)

William Gibson

ウィリアム・ギブソンのSF小説は,私が書く論説の中でもしばしば引用されるものの1つだ。このブログの中でも何度かとりあげた。

当時はSF小説だったが,現在では事実の一部となりつつある。

ニューヨークタイムズの中でとりあげられていた。

 3 Books That Help Make Sense of Cyberwar
 New York Times: May 24, 2017
 https://www.nytimes.com/2017/05/24/books/review/newsbook-cyber-war.html

この記事は,サイバー戦(Cyberwar)と関連するものだ。

それはそうだろうと思う。

しかし,それ以上に,この記事でとりあげられている「ニューロマンサー」は,人間と人工知能との区別を要しない時代の到来を予告する意味でも重要な作品なのではないかと思う。

全てが「自律的なエージェント(autonomous agents)」というカテゴリで説明可能だからだ。

この自律的なエージェントは,理論的には,サイバネティクス(Cybernetics)に包摂される。

以上の理解は,丹念に書籍を読み重ね,理解する努力を継続している限り,私のような非常に凡庸な人間でも到達可能なレベルの範囲内にある。

[このブログ内の関連記事]

 サイバーでクールな語彙の発明者ウィリアム・ギブソンの今
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2014/12/post-bf4a.html

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2017年5月26日 (金曜日)

Agent-Based and Individual-Based Modeling: A Practical Introduction

下記の書籍がある。

 Steven F. Railsback & Volker Grimm
 Agent-Based and Individual-Based Modeling: A Practical Introduction
 Princeton University Press (2011)
 ISBN-13: 978-0691136745

情報科学をやっている研究者にとっては当たり前過ぎることなので特に紹介する意味もないと思うが,情報法の分野を含め,法学の研究者の中ではそもそも概念を全く理解していない人が決して珍しくないので,この書籍及び類書を一応読んでおく意味があるのではないかと思う。

特に,EUのロボット法の動向を理解する上では重要ではないかと思う。

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2017年5月 8日 (月曜日)

EU: European Civil Law Rules in Robotics

下記の報告書が公開されている。

 European Civil Law Rules in Robotics
 Policy Department C: Citizens’ Rights and Constitutional Affairs, European Parliament (2016)
 http://www.europarl.europa.eu/RegData/etudes/STUD/2016/571379/IPOL_STU(2016)571379_EN.pdf

ロボットの法律問題について研究する者にとっては必読の文献だと考える。

ドイツ及びフランスにおけるロボット法の中心的テーマは,この報告書にまとめられているあたりを中心とするものとなっているように思う。

ただし,Nomosから刊行されているドイツ語のRobotikのシリーズでは,刑事法の分野に関しても非常に参考になるものが多く,勉強になる。

昨年10月に「アシモフの原則の終焉-ロボット法の可能性-」の原則を執筆した際には,この報告書を参照できなかったのが残念。

(余談)

EUの姿勢は,「行政権による開発者の管理」ということに尽きるのだと思う。この点で,米国流のやり方とはかなり異なる。

ただし,EUが経済発展を無視しているということは意味しない。人間に害を与えるような技術の応用には厳しい監視の目を光らせるということなのだと理解している。それゆえ,一定の安全性確保措置が確保されている場合には支障のない流通が保証される。個人データの保護と同じ制度的な仕組みがそこにある。

仮にEU流を導入しようとした場合,現在の理系の大学教育では,無教養学生を増産しかねない問題のある学部が存在するので,倫理も何も期待できないという前提を肯定せざるを得ず,そのような者に対しても「倫理」を強要するためには,徹底した超厳罰主義以外の手法が考えられない。比喩的に言えば,中国の古代における意味での「法家」を復活するしかないのではないかと考えられる。

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Nathalie Nevejans, Traité de droit et d'éthique de la robotique civile

下記の書籍を読んだ。ロボットの民事責任に関しては,現時点で最も詳しい書籍ではないかと思う。とは言っても,フランス語の本なので,辞書をひきひき,かなり苦労をして,当面必要となる部分だけをざっと読んだ。

 Nathalie Nevejans
 Traité de droit et d'éthique de la robotique civile
 Les Etudes Hospitalières édition (2017)
 ISBN-13: 978-2848746685
 https://www.leh.fr/edition/p/traite-de-droit-et-d-ethique-de-la-robotique-civile-9782848746685

(余談)

近時,ロボットと法律との関連について述べる論文等が増えてきているようだ。全部読んでいるわけではない。日本語で書かれたものの大半は,とにかく勉強不足で痛々しいものが圧倒的に多いので,読む気がしないということもある。

本日,某先生とそのことが話題になった。

顕著な勉強不足のためにロボットの定義がしっかりしていない。だから,一体何についてどのような法理論を述べているのか全くわからない・・・というような結果になってしまっているものが少なくないとのことで,私もそのとおりだと思う。

もし制御可能な産業用ロボットに限定するのであれば,ISOとJISの定義を踏まえるべきだし,制御できないロボットも含めるのであれば,ISOとJISから始めること自体が荒唐無稽となる。ウィーナーの『サイバネティクス』から始めなければならない。

私は,そのようなものとして「アシモフの原則の終焉-ロボット法の可能性-」を書いた。

論点整理としては,そこで述べたことに尽きると思う。法哲学的な部分を除いては,この論文の中で私見の結論部分は示した。

法哲学的な部分については,次の論文の中で触れることにした。

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2017年4月15日 (土曜日)

法と情報雑誌第2巻の正誤

法と情報雑誌2巻に収録の参考訳に下記の誤りがありました。お詫びして訂正します。

 法と情報雑誌2巻2号150頁 脚注1行目

    正「第8条第3項」  

    誤「第8条第5項」

  法と情報雑誌2巻3号164頁 第4条第2項柱書

    正「第1項に示す条項を遵守する限り」

    誤「ただし、第1項に示す条項は、以下を遵守するものとする」

[追記:2017年4月24日]

 法と情報雑誌2巻4号344頁 第55条第4項

    正「官吏及びその他の職員」

    誤「執務室及びその他の職員」

[追記:2017年4月29日]

 法と情報雑誌2巻4号275頁 前文(15)

    正「個人データが記録保存される期間」

    誤「個人データが記録保存される機関」

 法と情報雑誌2巻4号301頁 第4条第1項(b)

    正「公共の利益におけるアーカイブの目的」

    誤「公共の利益における諸目的」

 法と情報雑誌2巻4号301頁 第4条第1項(e)

    正「公共の利益におけるアーカイブの目的」

    誤「公共の利益における諸目的」

[追記:2017年5月3日]

 法と情報雑誌2巻4号306頁 第10条第2項(j)

    正「科学調査もしくは歴史調査の目的または統計の目的」

    誤「科学調査もしくは歴史調査の目的」

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2017年4月13日 (木曜日)

中山信弘・金子敏哉編『しなやかな著作権制度に向けて-コンテンツと著作権法の役割』

金子敏哉先生から下記の書籍を頂戴した。

 中山信弘・金子敏哉編
 しなやかな著作権制度に向けて-コンテンツと著作権法の役割
 信山社(2017/3/30)
 ISBN-13: 978-4797232349

科研費の基盤研究A「コンテンツの創作・流通・利用主体の利害と著作権法の役割」の研究成果をまとめたものだ。

頂戴したばかりなので内容を精読しているわけではないが,ざっと読んでみた感じでは,フェアユースと関連する最近の問題について,様々な角度からの考察を提供する論考が収録されており,興味深く読んだ。

(余談)

一般論として,現行の著作権制度が比較的近い未来までそのまま維持可能だとは全く思っていないし,さりとて,レッシグ流の考え方によって新たなスキームが生まれることもないと考えているが,現行の著作権という枠組みの中でぎりぎりの限界を考察することは重要なことだと思う。それがなければ,制度それ自体の限界を知ることができないからだ。

今後は,人間の意思(特に創作性)という要素を全く含まない完全に新たな制度的な枠組みが模索されることになるだろう。

それがどのようなものになるにせよ,結局は,誰かの何らかの利益を強制力をもって守るという基本的な考え方が維持可能なものかどうかも考える必要がある。

いわゆる「情報の自由」なる考え方が,従来考えられてきたようなあり方ではとても維持できないということは,既に証明されてしまっているように思う。

また,法による統制だけを考慮した場合,あまたあるシミュレーションの中で,「ハチの社会」または「アリの社会」のモデルが優位なものとなり得るという可能性は無視できないように思う。

「自由の領域」というものを従来の法哲学では考えてこなかったようなものとして設定し直す必要があるのではなかろうか。

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2017年4月10日 (月曜日)

The Unaccountable State of Surveillance: Exercising Access Rights in Europe

アマゾンに注文していた下記の書籍が届いたので,早速,ざっと読んだ。

 Clive Norris, Paul de Hert, Xavier L'Hoiry & Antonella Galetta (Eds.),
 The Unaccountable State of Surveillance: Exercising Access Rights in Europe
 Springer (2017)
 ISBN-13: 978-3319475714

批判的な立場で書かれているので,そのようなものとして読まなければならないが,全体として非常に良い本だと思う。

CCTV等のサーベイランスは,それ自体として問題があるが,どのような調査をしているのかを「知る権利」が充足されているかという点も見逃せない。この本は,そのような観点に重点を置いている。

特にEUの個人データ保護法制において必ず登場するアクセスの権利の実態がよくわかる。構成国レベルでも個別に章がわりあてられ,丁寧な調査結果が述べられており,比較法的な検討をする場合に必要となるありがたい手掛かりを与えてくれている。

ただ,法律の条文をみる限りでは,そもそもそのような権利ではないのかもしれないというのが私見で,多数の参考訳をつくりながら,そのような感を深めつつある。関連する多数の条文を読めば読むほどそういう気分になる。

この問題について,日本国で刊行さrている一般的な憲法や行政法の教科書等に書いてあることは,ほとんどあてにならないので,直接に当該適用される法令の全条文にあたって丁寧に考えるという努力を積み重ね続けるしかない。

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2017年4月 7日 (金曜日)

小倉一志『インターネット・「コード」・表現内容規制』

小倉一志先生から下記の書籍を頂戴した。

 小倉一志
 インターネット・「コード」・表現内容規制
 尚学社(2017/4/1)
 ISBN-13: 978-4860311223

表現の自由とその規制は、小倉一志先生の一貫した研究テーマで,本書は、最近の研究成果をとりまとめた内容となっている。読んでみたところ,更に研究継続中の事柄がいくつかあるようで,今後,順にその研究成果を公表したいとのことだ。

表現の自由に関しては良い論文や書籍が少なくないので,なかなか大変だとは思う。

本書は、そのようなテーマについて,まじめに取り組んだ成果を示すもので,他の文献等では触れられていない事柄についても検討結果が示されており,参考になった。

一般に,地道でも誠実な研究を継続することにより必ず良い結果への道が拓かれることになる。それを活かすかどうかは本人次第なのだが,しかし,何もしないでいるのであれば,いかなる道も良い方向に向けて拓かれることはない。

今後の研究成果を踏まえた研究の継続とその新たな研究成果の公表を期待したいと思う。

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2017年4月 4日 (火曜日)

Paul Lambert, The Data Protection Officer: Profession, Rules, and Role

下記の書籍をざっと読んだ。

 Paul Lambert
 The Data Protection Officer: Profession, Rules, and Role
 CRC Press (2016)
 ISBN-13: 978-1138031937

Data Protection Officer (DPO)は,日本ではデータ保護責任者と訳されることが多い。

個人データ保護法制の研究をしていると必ず出てくるものなのだが,その実際の仕事をしる人は意外と少ないかもしれない。

しかし,欧州では,DPOの横断的な団体もあり,著書を出しているDPOもいる。EUでは,女性のDPOもかなり多数存在する。

近年のEUの立法の中では特にその重要性が増している職種の1つと言えるだろう。

この書籍は,インターネット法について多数の書籍を出しているPaul Lambertの最新作で,昨年可決されたGDPRの条項に即して,その実際の運用にも留意しながらDPOの仕事とその法的根拠,そして,問題点について述べるものだ。

類書があまりないので,とても参考になる。

私個人としては,GDPRの条文だけではなかなか具体的なイメージをつかめないでいた部分を理解するのに役立った。

技術系のマニュアルではないので,技術的な措置だけに興味をもつ人にとってはあまり面白くない本かもしれないが,もともとそういう本ではない。

平易に書かれており,読みやすいので,EUの個人データ保護法制の研究者にはお勧めの一冊と言える。

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2017年4月 2日 (日曜日)

Rigor Mortis

下記の記事が出ている。

 How sloppy science creates worthless cures and wastes billions
 ars technica: April 1, 2017
 https://arstechnica.com/science/2017/04/how-sloppy-science-creates-worthless-cures-and-wastes-billions/

この記事にある書籍についてAmazonで調べてみたところ,日本国内ではまだ販売されておらず,予約注文の扱いになっていたので,早速予約した。

おそらく,予想したとおりの内容の書籍だろうと思う。大概のことは既に知っているので,新規の知見は得られないと思っているけれども,こういう書籍が刊行されるという事実に着目したい。

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