2017年3月23日 (木曜日)

川西晶大「フランスにおける偽装携帯電話基地局を使用した通信傍受法制」

国立国会図書館のサイトで,下記の論説が公開されている。

 国立国会図書館調査及び立法考査局行政法務課長 川西晶大
 フランスにおける偽装携帯電話基地局を使用した通信傍受法制
 レファレンス 794号(2017.3) 49~64頁
 http://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_10315719_po_079403.pdf?contentNo=1

非常に貴重な文献だと思う。

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2017年3月22日 (水曜日)

Andy Bain (Ed.), Law Enforcement and Technology: Understanding the Use of Technology for Policing

下記の書籍を読んだ。

 Andy Bain (Ed.)
 Law Enforcement and Technology: Understanding the Use of Technology for Policing
 Palgrave Macmillan (2016)
 ISBN: 978-1-137-57914-0
 http://www.palgrave.com/la/book/9781137579140

比較的薄い書籍で,記述も要領よく簡潔にまとめられている。

短時間で要点を理解し,問題点を把握するには良い書籍だと思った。

近未来を想定した記述部分(特に結論部分)で書かれている事柄は,実際には,近未来の想定ではなく,既に現実のものとなっている。しかも,現在では,人工知能の応用により更に高度な自動処理が進んでいる。そういうことを理解した上で読まなければならない。

「怖い時代になった」と思うか,それとも,それゆえに更に学問意欲を沸騰させるかは,読者の知識や個性や資質により異なる。

しかし,現実離れして空理空論ばかりやっていても何の益もないので,現実を見据えた法解釈論の構築をめざすべきだということだけは確かだと思う。

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2017年3月21日 (火曜日)

季刊考古学別冊24号 古代倭国北縁の軋轢と交流―入ノ沢遺跡で何が起きたか―

神田の三省堂本店で下記の雑誌を購入しておいたのだが,雑務に追われて読む暇がなかった。やっと一区切りをつけ,読むことができた。

 季刊考古学別冊24号 古代倭国北縁の軋轢と交流―入ノ沢遺跡で何が起きたか―
 雄山閣(2017/02/25)
 ISBN: 9784639024415

内容は,2015年9月に東北学院大学で開催されたシンポジウムの結果をまとめたもので,非常に興味深いものと言える。

勉強になった。

(余談)

問題の遺跡は山の上にあり,柵をめぐらせている。

「築館」との地名は,意外と古いのかもしれない。

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2017年3月18日 (土曜日)

Jeff Kosseff, Cybersecurity Law

下記の書籍が届いたので,ざっと読んだ。

 Jeff Kosseff, Cybersecurity Law
 Wiley (2017)
 ISBN-13: 978-1119231509

「Cybersecurity」となっているが,内容的には情報法に関する総合的な概説書になっていると思う。

FCCの規制を詳細にとりあげ,それとの関係で,関連する制定法や判例法を丁寧にとりあげており,情報法の概説書としては成功しているものの1つに含まれると評価したい。

更に詳しく研究したいときは,参照されている判例や文献等を逐次丹念にあたることでより深い理解を得ることができる。

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2017年3月14日 (火曜日)

林紘一郎『情報法のリーガル・マインド』

林紘一郎先生から下記の書籍の寄贈を受けたので,早速読んだ。

 林紘一郎
 情報法のリーガル・マインド
 勁草書房 (2017/2/20)
 ISBN-13: 978-4326403349

内容に関しては,私見とかなり異なる部分が多いのだが,林先生の立場で書くとすればこういうことになるのだろうと思った。林先生の御研究の集大成ということになるのだろう。

私が思うには,情報法のコアの部分には,情報通信それ自体と直接に関係する膨大な量の法令が存在する。林先生は,そのことは十分に踏まえておられると理解した。

しかし,あくまでも一般論として,他の類書を読んでみると,情報通信と関係する法令には1行も触れないで「情報法」を論じているものが決して少なくない。

そのようなものは詐欺の一種のようなものなので,その著者の受講学生は非常に気の毒だと思っている。

そのような情報通信法制と全く無関係な書籍は,例えば,「メディア法」なり「人権法」なり,「知的財産法」なり,全く別の標題とすべきであろう。これらは,レイヤで言えば,アプリケーション層のみを扱うものであり,物理層には全く触れておらず,プロトコルについても無頓着であると言える。そのような場合,アプリケーション層だけを扱う書籍であることを明確に表示することは,著者の社会的義務の一部だと考えている。

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佐々木良一編『デジタル・フォレンジックの基礎と実践』

佐々木良一先生から下記の書籍をご寄贈いただいたので,早速,読んだ。

 佐々木良一編
 デジタル・フォレンジックの基礎と実践
 東京電機大学出版局 (2017/3/10)
 ISBN-13: 978-4501555603

わかりやすく,バランスのとれた内容の良い概説書だと思う。

学生に購読を勧めることにする。

あくまでも一般論だが,高校生以下の若い世代の中には,実際には内容をきちんと理解していないのに全部わかっているつもりになっている「根拠の全くない自信」に満ちた者をみかける機会がしばしばある。確かに,ネットで検索すればそれなりの「文字」を知ることはできる。しかし,それ以上詳しく調べようとしないので,内容を正しく理解することがない。まして,実物を手にしてより正確に認識・理解しようとする者は非常に少ない。

私が担当している情報セキュリティの入門のような科目の受講者の中にもそのようなタイプの学生が含まれていることがあり,がっかりすることがある。私自身は,法制面及びマネジメントシステムの部分を担当している。

単位を欲しいというだけで受講しているだけの学生も含まれているのだろうから全員に対して好奇心をもてと要求してもそもそも意味のないことなのだが,どのようなところに就職しても,基本的に必要となる必須の素養を身につけさせるために準備し実施している科目なので,そのような学生には正直言ってがっかりするのだ。

全く同じ講義を聴いても,好奇心をもって,一定程度以上の知識や経験を踏まえて講義を聴けば,当該講師がいかに重要なことを述べているかを理解することができる。しかし,よく理解し頭脳の優秀な講師に限って,わかりやすく平易な言葉で講義をすることが多いものだから(逆もまた真),あまり好奇心がなく準備もしていない学生は「なんだこの程度の授業か」と即断してしまうことになる。

しかし,私が担当している情報セキュリティ関連の科目の授業は,数名の講師による共同授業であり,この分野では最高レベルかつ最新の内容を提供していると考えている。

つまり,「良い講義」では,学生の能力に比例して,評価が変化するという一般的な法則が存在しているように思う。

ある先生の演習科目は,非常に厳しいという評判がある。それはそのとおりだろうと思う。私の子供も大学生の当時にその先生の当該科目を受講し,「とても勉強になるけれども準備が大変だ」とぼやいていた。しかし,その授業から得たことはかなり多かったようだ。そして,当該先生について,優れた先生だと尊敬していたようだ。けれども,LINEなどでつまらない評価だけを読み,実際に受講することもなく,評判だけで「厳しい=面倒くさい」としか考えないタイプの学生にとっては「悪い授業」ということになるのだろう。そのような安易な評価しかしようとしないことは,とても愚かなことだと思っている。

その意味では,受講学生全員のアンケートによる授業評価なるものは全く無意味なことだと考えている。

先日,某先生とそれについて話題になった。私は,「もし続けるのであれば,知的能力及び評価能力の検定をまず実施し,その検定に合格した学生だけにアンケート参加資格を与えるべきだ」という趣旨の意見を述べた。その先生は,授業評価の導入の中心人物の1人だったのだが,私の意見をどのような気持ちで受け止めたのかはわからない。

私見のような検定制度を導入しないのであれば,即時廃止が正しいと思っている。現状のままでは,間接費だけが異常に膨らむ一方で,その評価結果の効果はほぼゼロに近い。時間の無駄だ。人生の貴重な時間の浪費以外のなにものでもない。他のアンケートの類でも基本的には同じことが言える。

それはさておき,フォレンジックの難しい実践的な部分を習得したいと考える学生は決して少なくなく,将来,その分野の人材の社会的需要が増えることは間違いない。私は,理系だけではなく文系出身の情報セキュリティ専門家が一定規模の職場では必ず必要となると考えているし,もし将来「データ保護責任者(DPO)」の需要が増える,または,法定の義務となる時代が来るとすれば,文系出身のDPO職員と理系出身のDPO職員とが力を合わせて事態に対処するのでなければ,当該組織にとって真に必要な解決を提供することのできるDPOであるとは言えないと考えている。

それゆえ,情報セキュリティのもつ様々な側面を総合的に理解できる人材を育成すべく,今後も自分の担当科目をしっかりとやっていこうと思う。

(余談)

企業の人事担当者は,当該応募者の出身学部の中で信頼できる優秀な教授でありながら成績評価が厳格であるために学生に敬遠されがちな教授の科目で優秀な成績を得ているか否かを点検するだけで,かなり正確に当該応募者の能力を測定することができるのではないかと考える。

GPAや「優(S)」の数は,一応の目安にはなるけれども,簡単に単位を得ることのできる科目だけを選択して受講するずるい学生を見ぬくことができないという深刻な欠点がある。

また,そういうことを知っているからこそ,学生に対する人気とりのために安易に単位認定をする「ダメ教授」が存在することも事実なので,面接してみて,明らかに「ダメ応募者」だと判定できる者であるのに「優(S)」の単位を与えている教授のサンプルを収集すると,当該教授が本当は「ダメ教授」であり,その成績評価を当該組織における人事において参考にしてはならないということを認識・理解することができるだろう。

基本的には,非常に厳しいということで有名であり,しかも,しっかりとした研究業績を多数公表している教授のゼミの出身者であれば,そのことだけで,知的能力の程度の評価としては一応のレベルをクリアしていると判断して良いのではないかと思う(逆もまた真)。

人事担当者は,より良い応募者の選択のために,ちょっと考え直したほうが良いことがあると思う。

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2017年3月13日 (月曜日)

Olga Mironenko, Air Passenger Data Protection

下記の書籍を読んだ。

 Olga Mironenko
 Air Passenger Data Protection
 LAP Lambert Academic Publishing (2010)
 ISBN-13: 978-3843359979

航空機の搭乗者名記録(PNR)の個人データ保護に関するまとまった書籍はほとんどない。

薄い本だが貴重だと思う。

内容的には,概説的な部分とEUから米国へのPNRデータの送付に関して論じた部分とがあり,EUと米国との間の協定を読んでからでないと理解しにくい部分もあるかもしれないが,全体として,わかりやすい本だと思う。

2016年に欧州議会で可決された新しいPNR指令(EU)2016/681の参考訳を急いで作成し,法と情報雑誌の第2巻第3号に収録した。この第2巻第3号に収録した参考訳は,3月18日に開催予定の公開研究報告会に間に合わせるためにかなり急いで作業したものなので,見直しを十分することができなかった部分がある。いずれ改訂版を出そうかと思っている。

 法と情報研究会・公開研究報告会(2017年3月18日)
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2017/01/2017318-ea86.html

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個人情報保護法制2000個問題

鈴木正朝先生から,論説の抜き刷り等数点が送られてきたので,早速読んだ。

その中に個人情報保護法制2000個問題に関するものも含まれていた。

これはこれで確かに問題だろうとは思う。

しかし,EUの法制を調べ,主要なものから順に翻訳してみると,EU法と言える個人データ保護法令だけでかなりの数があり,これに構成国の法令を加えると,2000個どころの数ではないということを理解することができる。

それでもEUではどうにかこうにかやっている。

日本国は,国土の大きさという点では1つの構成国くらいしかないかもしれない。しかし,人口でみると,EUの構成国との対比ではかなりの大国になるので,2000個くらい個人情報保護法令が存在していても実はそんなに不思議なことではないのかもしれない。

この分野の研究者の数は極めて少なく,「偉い先生方」は妄想や空想に近い空理空論を述べているだけで,制定法や判例法の裏付けによって実証性のある確実な研究をしようとしないので,残念だが,不毛というべき状況が存在している。

他方で,新保先生や鈴木先生は,それぞれの立場で努力し,頑張っておられるのだが,真面目に研究した成果を無償でパクることが非常に上手な悪い奴らばかりの世知辛い世間なので,私から見ると,かなり気の毒なことだと思うことがしばしばある。

私の理解では,個人データ保護法制について最もよく勉強しているのは,やはり,担当している官僚なのではないかと思う。ただ,研究者ではないので,研究論文として世に出ることはない。

次に,国立国会図書館の調査室は,非常によく勉強していると思うし,参考となる論考の密度が異常に高い。しかし,明らかに人数が不足している。もっと増員しなければダメだ。

さて,その私自身はどうかというと,自分の人生設計の中で,5年間はプライバシーの研究をやると決めた最初の1年が経過したところだ。あと数年は資料の精読を重ね,最後の1年でこれまで温めてきた私見を披露しようと考えている。

私見によれば,プライバシーの問題に関する憲法学上及び行政法学上の通説は,明らかに誤っており,それをまともに信ずると,自己破滅または亡国を招くことになる。

ルールが変更されてしまった世界では,変更前のルールを是認しなければ成立しないような演繹法は全く無力だ。帰納法でなければならない。

とにかく,ひたすら一次資料の精読を重ね,自分が苦労した部分を記録に残し,後からやってくる世代のために参考になるような訳を速度重視で提供し続けようと思う。

(余談)

日本国では,個人データ保護指令95/46/ECだけを個人データ保護法だと思いこんでいる者が決して少なくない。その改正法である一般データ保護規則GDPRについて知っている人はそう多くないし,EU(EC)の行政機関に適用される規則No45/2001をちゃんと研究している者は著しく少ない。

それだけでも問題なのだが,EUの個人データ保護法制全体を見通すような学術研究のために日々刻苦勉励している研究者は,たぶん,日本国では私だけなのではないかと思う。

そのような研究を重ねるにつれ,上記の有名な法令が,本当にEUの標準的なデータ保護の姿を示すものではないということを理解することができた。確かに,理想は示されている。しかし,理想は理想に過ぎない。その実装と運用を知ることが大事である。そのためには,各分野の実装法令に該当する法令をくまなく調べ,その運用の指針とない当該組織の内部規則をくまなく調べる必要性がある。

すると,日本国の憲法学及び行政法学の分野における個人データ保護法制の理解がいかに根拠のない空理空論に過ぎないのかということが自ずと見えてくるのだ。

苦労が多いだけで,それによって名誉や利益が得られる可能性など全くないことは最初からわかっている。しかし,名誉や利益が問題なのではない。将来の国民のために,正しい学術研究成果を提供するのが学者の使命だと考えている。

私の参考訳には,速度重視のゆえに,誤訳や誤記も含まれているし,研究の進展とともに理解が深まり,従前の訳語を変更すると明言する部分が増えてきた。そのように明言する部分には,実は,従来の通説が根拠のないものであることを示す暗喩も含まれている。私が「慣例により」と記述している部分は,その時点では十分に研究ができていないために,とりあえず私見の開示を保留して在来の訳語を尊重するが,内心では相当に疑問に思っているという趣旨を示している。

「仮訳」ではなく「参考訳」としているのは,あくまでも暫定的な私訳であり,確定訳でも公式訳でもない参考資料の一種に過ぎないということを示している。どんな場合でも原文を直接に読まなければ意味がない。そのための参考資料の一種という趣旨だ。

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2017年3月11日 (土曜日)

高木浩光「宇賀克也「個人情報保護法の逐条解説」第5版を読む・前編(保護法改正はどうなった その5)」

昨日,某氏からこういう記事が出ているということを教えられ,久しぶりに高木浩光氏のサイトを訪問してみた。下記の記事及びその関連の記事があった。

 宇賀克也「個人情報保護法の逐条解説」第5版を読む・前編(保護法改正はどうなった その5)
 高木浩光@自宅の日記:2016年12月30日
 https://takagi-hiromitsu.jp/diary/20161230.html#p01

一定の先生方の役割がこういうものだということは,非常に昔から知っている人は知っていることで別段不思議でも何でもなく,それゆえ,そのような一定の先生方の著作とは実はそのようなものだということも当該分野においてはほぼ全員が既に知っている常識に属する。

政府の情報提供が電子政府サイトを介して,一定の先生方だけではなく普通の国民にも周知されるようになったことは非常に良いことだと思う。「一定の先生方」に含まれていない人でも,ごく普通の国民または市民であっても,全く同じ素材を用いて思考することが可能となったからだ。

しかし,単純に「めでたしめでたし」・・・というわけにはいかない。

一般論として,今後は,そのようなタイプの著者と特定の有名な出版社との間の蜜月状態のようなものを物理的に破壊することが必要となる。

普通の人は,誰の見解を重視すべきで誰の見解を無視すべきかについての確実な判断手段をもっていないのが普通なので,上記のような蜜月関係のようなものが社会内で持続する限り,一般国民が正しい判断を形成するための正しい判断基準の提供が阻害される続けることにもなり得る。

根本的に誤った見解によって洗脳され,正しい判断をすることのできない狂人のような国民ばかりになってしまった国の例はいくらでもある。

真に後世に伝えるべき学術著作と言える優れた学術研究成果を発見し,それを書籍の形で印刷・出版し,後世に伝えるのがその分野の専門出版社の大事な役割の1つであることは改めて言うまでもないことだ。そのようであってほしいと願う。

そのためには,出身,経歴,学位,所属大学等の形式的要素を全部無視したブラインド方式またはクリーンルーム方式のような何らかの仕組みを出版社の内部に構築する必要があるが,それは,当該出版社自身の出版の自由及び表現の自由の範囲内のことであると同時に,当該出版社が国民に対して大きな責任を負っているという深い自覚の問題でもあると考える。

日本国の出版の歴史の中には,非常に古くから「目利き」と呼ばれるような人々がいて,上記のような真に後世に残すべき著作をしっかりと出版してきた伝統と歴史がある。だからこそ,日本の出版社は,世界最高峰のレベルにある文化及び学術の伝承者であるとの誇りをもつことができた。今後もそうあってほしい。

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J-STAGEに対するサイバー攻撃?

下記のお知らせが出ている。

 緊急メンテナンスのお知らせ
 http://www.jstage.jst.go.jp/article/jjce/47/2/47_2_2_51/_article/-char/ja/

これによると,「J-STAGEは、3月8日に外部からの攻撃を検知したため、現在サービスを停止し、セキュリティ対応のための緊急メンテナンスを行っております」とのこと。

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