2024年9月13日 (金曜日)

AI導入による失業が現実化か?

下記の記事が出ている。

 AI ruling on jobless claims could make mistakes courts can’t undo, experts warn
 ars technica: September 11, 2024
 https://arstechnica.com/tech-policy/2024/09/ai-ruling-on-jobless-claims-could-make-mistakes-courts-cant-undo-experts-warn/

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この記事に書かれているような問題を解消するためには,EUのAI法及びGDPRが採用しているような方策,すなわち,自動判定の際における「人間による関与」を要件(=必要条件)とするという方策を採用するのが賢明だと考える。

このような要件を導入しても,実際には何も変わらないじゃないかという批判や,現実的ではないというような批判は常にある。特に,裁判制度の本質を全く理解できない人や無教養な人ではそのような意見が多い。

当然のことながら,大多数の裁判官はエンジニアではないしAIの研究者でもないから,技術論を争点にしてしまうと,民事訴訟において仕掛けた方(原告)が常に負けということにもなりかねない。

だからこそ,関連法制の設計においては,普通の裁判官が採用しやすい判断基準を設けることが必要になる。

EUのAI法やGDPRは,この点で非常に優れている。つまり,自動判定がどのような技術でどのように処理されたのかを問題にするのではなく,自動判定に「人間による関与」があったかどうかを判断基準にしているので,人間による関与がなければ,そのことだけで「違法な処理である」と判断できることになる。これならば,普通の裁判官でもできることだ。

いろいろとみていると,これらの点に関してあからさまに荒唐無稽なことが書いてある関連文書が多数存在するが,たぶん,そのような基礎的なことに関して全く無知または無能な者(=本来であればそのような仕事をしてはならない者),または,特定の関連企業のエージェントのような者(=公平性・客観性のない者)が執筆したのでそういうことになっているのだろうと思う。

 

 

 

 

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2024年9月10日 (火曜日)

権力者

日本国憲法に定めるとおり,日本国の公務員は,憲法遵守義務がある。

日本国憲法は,主権は国民にあると宣言している。つまり,権力者は,国民全体であり,特定の公務員が権力者であることを否定している。

では,国務大臣や都道府県知事を含め,組織の長である特別職公務員とは一体なのか?

日本国憲法は,それらの者が権力者であることを否定している。

国務大臣や都道府県知事を含め,全ての公務員は,国民全体に対して奉仕するための公僕(public servant)であると日本国憲法によって定められている。

「public servant」は,公的な奉仕者または主権者である国民全体に対する奉仕者なのであって,権力者ではあり得ない。

そのことを否定する者は,日本国の公務員として失格であるし,危険人物でもあり得る。

もうだいぶ前のことになるが,仕事の関係で当該の国まで出張し,その国の特殊機関の長と直接に面談したことがある。ある話題の中で,彼は,自分自身の立場について,「I am only a public servant」と明言していたことを思い出した。

無論,彼がどうしてそのような言葉を発したのかに関しては,様々な解釈が可能だろう。私は,ある根拠をもって,素直に解釈するのが正しいと認識している。

それはさておき,これまでの私の人生経験の中で,「私は国民全体に奉仕するために存在している公僕だ。国民のために全力を尽くして職務を遂行する。」と明言した日本国の政治家(国務大臣)と出遭ったことはない。

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日本国に限らず,世界の先進国は高齢化社会となっている。

当然のことながら,高齢者は,ITまたはIOTを使いこなせないか,または,老化によって使いこなせなくなる可能性がある。

そのため,EUの最先端技術関連の法令では,必ず,高齢者や障害のある者に対する支援策を掲げている。簡単に言えば,単純素朴な電子化政策を採用していない。

ところで,日本国の国務大臣は,公僕である。

日本国の国民の約半数は高齢者である。

高齢者に対しても一律に電子化を強制することは,国民の約半数に対して「公僕であること」を放棄していることになる。

そのような者は,当然のことながら,日本国憲法に定める公務員の憲法遵守義務を無視している危険人物であることになる。

主権者は,その約半数が高齢者である国民なのであって,国務大臣ではない。

 

 

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2024年8月30日 (金曜日)

AIは教育現場を良い方向に向かわせるか?

下記の記事が出ている。

 How AI could soon be marking your child’s homework
 The Times UK: August 28, 2024
 https://www.thetimes.com/uk/education/article/how-ai-could-soon-be-marking-your-childs-homework-k9r7878c7

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私は教師の大量解雇+盲目的暗記型の馬鹿児童大量生産(=世界の破滅)という方向に向かうことになると予測している。

教師が教えていることや教科書に書いていることのほとんどが間違いだということを小学生レベルで理解できるようになっていることが理想だ。

生成AIは,児童がそのような優れた能力をもつ人間になる機会を封殺または禁圧し,「新たな中世」への扉を開く。

 

 

 

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2024年8月22日 (木曜日)

大規模流通網の海外投資家等による買収

日本国に限定することなく,どの国においても,大規模流通網は国家の社会的インフラの一部だ。

それゆえ,海外投資家等による大規模流通網の買収という問題は,インフラ防衛(=国防そのもの)の問題として理解されなければならない。

そのようなタイプの問題に関しては,通常の投資や企業経営の考え方を適用してはならない。

自由主義を基本とする国家であっても,そのようなタイプの事柄に関し,完全な自由主義は認められない。そのような傾向は,既にだいぶ前から米国やEUにおいて顕著になっている。

日本国の関連学者の中の一部の者,経済・経営分野の評論家やコンサルタントのような人々の中で実は海外投資家の手先(エージェント)となっている人々は,都合の悪いことには一切言及しないし,日本国の新聞社や雑誌社にもそのような傾向が全くないわけではない。

 

 

 

 

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2024年8月11日 (日曜日)

ニューロチップの物理的耐久性?

どのような製品も(物体であるので)いつか壊れる。特にICは,回路内に記録される電磁的状態の変更回数が限定されており,一定回数を超えると機能しなくなる。

比喩的に言えば,ニューロチップの場合には,脳細胞の死と同じようなことが起きる。しかし,遺伝子による自動再生機能のある有機体ではないので,ニューロチップは,壊れれば壊れたままとなり,物体それ自体として自動再生されることがない。

無論,内容の(バックアップ的な記録を基礎とする)同一内容の電磁的状態をもつ別の回路に代替させることができるが,その場合,ニューラルネットワークの論理構造が維持されているかどうかを測定する方法は存在しないのではないかと考えられる。

さて,このような危うさをもつ電子装置の一種に過ぎない電子機器によるデータ処理を基礎としている生成AIの信頼性に関し,このような観点からの「健全性」の保証はあると言えるのだろうか?

現時点において,この点に関し,明確に保証していると言えるような生成AIのシステムまたは製品を目撃したことはない。

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人間の生体脳の細胞は「寿命」が到来すると一斉に自己崩壊を始めるかもしれない。その結果,回復不可能な脳機能喪失状態に至ることは十分にあり得ることだし,現に存在している。

この私自身もまた老化による著しい劣化を日々痛感しているところだが,その劣化は,脳機能の面にも現れている。

寿命が来ているのではないかと思う。

一般に,人間は,寿命に逆らうことはできない。

仮に人工的に増殖させた汎用幹細胞を基礎とする脳細胞で置き換えることができたとしても,記憶の転写は不可能だし,生体脳内におけるニューラルネットワークの復元は絶対にできない。それゆえ,人格の復元もできない。「生きた復元模型」のようなものを製造できるだけだ。

比喩的に言えば,ニューラルネットワークの理論を応用したAIシステムは,構成要素となっている物理素子の劣化による「痴呆症」のような状態になり,全面劣化(=全面機能停止)となるリスクを常に抱えていると言える。

 

 

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2024年8月 6日 (火曜日)

今回も役にたたなかった

株と仮想通貨(暗号資産)の市場価格が大幅に下落した。今後,証券会社や仮想通貨(暗号資産)の取次会社等が続々と倒産する可能性がある。

以前同じようなことが起きた当時もそうだったが,結局,AI技術は何の役にもたたなかった。

それどころか,投資関連のAIシステムが一斉に「売り」を自動判断したため,市場取引価格の大幅下落を促進している可能性があり,もしそうであるとすれば,今後も当分の間そのように機能することだろうと思う。

自動判定システムを導入すれば,投資リスクを回避または減少させることができるというのは,実は嘘だ。誰もが同じシステムを競って導入する結果,その効能が相殺されて消えてしまい,副作用だけが残る。

誰が考えても当たり前のことなのだが,システムを売りつけて利益をあげようとする者,そのようなシステムのサービスを提供して利益をあげようとする者は,死んでも真理を語らない。古典的な刑法学説における生来的犯罪者であるとは考えにくいが,職業病の一種のようなものであることは否定しようがない。そのような職業に従事していることそれ自体が彼らをそのようなメンタリティをもつ人間にしてしまっているのだ。

以上のことは,これまでも関連するEUの法令の参考訳の解説の中で書いてきたとおりだ。それゆえ,細かいことは述べないが,要するに,仮想通貨(暗号資産)の市場取引等を積極的に推進しようとする者は,犯罪者の一種であると断定して良い。

 

[追記:2024年8月9日]

関連記事を追加する。

 OpenAIの経営は大赤字で2024年の負債は約7700億円の見込み
 GIGAZINE:2024年7月30日
 https://gigazine.net/news/20240730-openai-lose-5b-dollar/

生成AIが本当に有能であるのだとすれば,このような事態が発生することはあり得ないことだ。しかし,現実にはこうなっている。つまり,企業経営のためには何の役にたたない玩具だということだ。

 

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2024年8月 1日 (木曜日)

democratic AI

下記の記事が出ている。

 Sam Altman issues call to arms to ensure ‘democratic AI’ will defeat ‘authoritarian AI’
 Fortune: July 28, 2024
 https://fortune.com/2024/07/27/sam-altman-openai-democratic-authoritarian-ai-china-russia-us-coalition/

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「democratic AI」をどう訳すべきかは一つの問題だ・・・

一般に理解されているような生成AIシステム及びOpenAIの経営戦略を前提とする限り,「衆愚AI」と訳すのが本質に合致しているのではないかと思う。

「多数であること」または「確率が高いこと」が「正義」または「善」と比例するという考え方は成立しないし,現に,これまでの歴史がそのことを証明してきた。

ヒトラーもスターリンも圧倒的多数の大衆の支持を受けて独裁者となった。

一般論として,「多数であること」または「確率が高いこと」 を正当化事由とする考え方は,逆に,ごく少数の独裁者や権威主義者の支配を是認するための論拠として機能する可能性がある。

 

 

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2024年7月21日 (日曜日)

MumsnetがOpenAIを相手に提訴

下記の記事が出ている。

 Mumsnet launches first British legal action against OpenAI
 The Times UK: July 18 2024
 https://www.thetimes.com/uk/technology-uk/article/mumsnet-openai-sues-copyright-infringement-cz5hzvf8s

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いわゆる「AIリテラシ教育」の必要性を主張する関係者等の中には,無論,生成AIがそれ自体として違法システムであり得ることを周知するためのリテラシ教育を推進するために活動している運動家も存在するが,そうではなく,生成AIが大量に著作権侵害となる二次利用処理を自動実行するシステムであり,そのような違法な二次利用の自動実行なしには絶対に成立しないシステムだということを理解していないために無思慮に行動している者も存在する。

加えて,生成AIシステムの構築のために大量に収集される著作物の中には(実名のものと仮名のものを含め)大量の個人データが含まれていることが珍しくない。
そのような場合において,EUのGDPRを含め,データ主体(本人)の事前の同意を得ていないのが普通なので,著作権侵害行為と個人データ侵害行為とが同時に発生している例が非常に多い。
(無知のゆえに)そのことを全く理解できない関係者も珍しくない。

後者のような者は,民法上は共同不法行為者となり,刑法上は共同正犯または幇助犯となり得る。

(無知のゆえに)そのことを知らないのは,当の本人だけだ。

日本国の関係省庁(特に当該省庁の大臣)は,そのことを正しく理解できていない。

一般に,生成AIの理論と技術は,他者の著作権に対する侵害が問題とならない数学上のデータや大量の数値だけを処理するためのシステムとして応用されるべきだと考える。

 

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2024年7月16日 (火曜日)

生成AI時代の出題方法

生成AIを使用して自動生成した答案や回答文などを提出する例が世界各国で報告されている。国によっては犯罪行為として捜査の対象となった例もあるようなのだが,例えば,大学におけるオンラインによるレポート提出等においてそのような行為が実行された場合,明らかに業務妨害罪を構成するので,悪質な事例に関しては直ちに刑事処罰を検討すべきだろう。

それはさておき,AIに対抗するための最善の方法は,自然人が同じようなアウトプットを提出した場合でも0点とする方法を考えることだ。

例えば,文脈理解や深層理解をすることなく,あるいは,前提条件である大量の資料や講義案を全部読んで理解することなく,講義を全く受けなくても誰でも書ける一般論を書いたレポートや答案が提出された場合,提出された文それ自体としては正しい内容が書かれていたとしても,(AIによる場合でも自然人の脳による場合でも)一律に0点とするという方法がある。

生成AIは,簡単な文脈理解ならできることがあり,特に,一定の既知のパターンが存在するときには処理可能なことがある。
だが,生成AIの特性を熟考した上で,自動処理によっては絶対に特定された解析結果を出力できないようにする特別の条件設定は可能であり,そのような条件設定を常に考案し続けている。これは,生成AIが全く機能しようがないパターンの発見の努力の蓄積にほかならない。

このような方法を現実に実施している。

このような出題を実現するためには,(不意打ちを避けるため)「当該講義内容を完全に理解し,その理解を踏まえて視点を絞った答案またはレポートを提出すること」を求めていることを事前に明示することが大事だ。
ただし,そのような条件が明示されているということを受講生が読み取って理解できるだけの日本語処理能力をもっているかどうかは別なのだが,一般的な法学部学生の能力として要求される日本語処理能力のレベルを超えているとは考えられない。

加えて,一般に,採点者自身も非常に優秀であり,かつ,精神的・肉体的に相当にタフであることが求められる。

以上のように考え,AIを使用した場合には逆に不利な採点となるような出題文を研究・作成し続けている。

私自身は凡人の一員であり優秀者ではないので,努力の積み重ねによって問題を克服している。

実際に実施し続けてみて,受講生がそのような意図の出題になっていることに気づいているかどうかは分からない。
なぜなら,それ自体としては優秀な答案のように見えるけれども,誰でも書ける一般論しか書いておらず,講義内容を踏まえているとは評価できない答案が提出されるからだ。
予定どおり,講義を受けていなくても誰でも書けるような一般的・概括的な内容だけのものは,生成AIによるものであれ自然人の脳によるものであれ関係なく,一律に0点として成績評価している。
知的能力としては非常に優秀な学生として評価可能な学生であっても,講義内容を踏まえた文を作成できなければ0点と評価する。生成AIからの出力をベースにし,それに手を加えて作成されたものと明らかに推定される文もあり,そのようなものを提出した学生については,単に0点として成績評価するだけではなく,学則上の処分の要否を検討している。

知能テストではなく,(暗記すべき事柄を暗記しているかどうかを点検するための)検定試験でもなく,(個々の受講生が学習した内容を「***を学んだ」方式で復唱させるような)初等教育段階の人を馬鹿にしたようなテスト(または幼稚な「おさらいごっこ」)でもなく,(大学法学部としての講義内容の)理解度テストなので,そのように採点するのは当然のことだ。

半期で1回約2万5000字×実質12回(合計約30万字相当)の講義案の内容を常に頭の中に入れているので,そのような採点を現実に実施することができる。
講義案は,完全にオリジナルのものであり,毎年,必要な箇所を改訂している。

その結果,今年度は大量留年としなければならないかもしれないので,(採点結果を調整すべきかどうかを含め)目下検討中・・・

 

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2024年7月11日 (木曜日)

日本データ通信協会・迷惑メール相談センターのサイトは役に立たない

迷惑メールにも様々なタイプのものがある。

それらの中で,例えば,特定のアプリの契約登録のための条件設定の中で「広告メールは必要ない」に設定してあっても全く無視して商業宣伝広告メールを大量に送信してくる企業が結構たくさん存在する。そのような送信行為は,単に債務不履行に基づく損害賠償請求権が成立するというだけではなく,(受信者の立場と状況次第では)刑法上の業務妨害罪も成立する立派な違法行為だ。

しかし,世間に存在する様々な対策サイトのほぼ全部がそのような場合があるということを想定していない。

日本データ通信協会・迷惑メール相談センターのサイトもまた,そのようなタイプの迷惑メール対策のためには全く役にたたない。

関係者は,根本から全部考え直すべきだ。

世間には,最初から約束を守る気のない企業が無数に存在する。

 

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