2017年2月17日 (金曜日)

夏井高人「EUの行政機関に適用される個人データ保護規則における基本概念-個人データ保護条約及びEU一般個人データ保護規則との関係を含めて-」

下記の論説が刊行された。

 夏井高人
 EUの行政機関に適用される個人データ保護規則における基本概念
 -個人データ保護条約及びEU一般個人データ保護規則との関係を含めて-
 法律論叢89巻2・3号181~245頁

目次構成は,下記のとおり。

 1 はじめに
 2 欧州連合(EU)における個人データ保護法制の基本的な枠組み
 2.1 保護法益
 2.1.1 プライバシーの権利
 2.1.2 情報の自由
 2.1.3 個人データの侵害
 2.1.4 矛盾と解決策
 2.2 法的枠組み
 2.2.1 個人データ保護条約ETS No.108及び追加議定書ETS No.181
 2.2.2 個人データ保護指令95/46/EC
 2.2.3 行政機関個人データ保護規則(EC) No 45/2001
 2.2.4 一般個人データ保護規則(EU) 2016/679
 2.2.5 ネットワーク及び情報システムの安全性に関する指令(EU) 2016/1148
 2.2.6 欧州における個人データ保護のための法制度全体の関係
 2.3 行政機関個人データ保護規則への反映
 3 個人データ保護の基本原則
 3.1 原則
 3.1.1 欧州評議会閣僚委員会の決議
 3.1.2 個人データ保護条約ETS No.108第5条
 3.1.3 個人データ保護指令95/46/EC第6条
 3.1.4 行政機関個人データ保護規則No 45/2001第4条
 3.2 データ主体の権利
 3.2.1 個人データに関する情報へのアクセスの権利
 3.2.2 個人データの訂正を求める権利
 3.2.3 個人データの処理の停止を求める権利
 3.2.4 個人データの削除を求める権利
 4 権利の制限
 5 第三国への個人データの移転
 6 データ主体の情報の自由(可搬性)
 7 まとめ

なお,法律論叢は,明治大学法学部の事務室で購入することができる。

| | コメント (1)

2017年1月30日 (月曜日)

法と情報研究会・公開研究報告会(2017年3月18日)

法と情報研究会は,明治大学法と情報科目担当教員会議を母体とする学術研究団体です。
明治大学法と情報科目担当教員会議は,兼任講師や特別講義担当者等の明治大学以外の大学に所属する教員や弁護士等を含め,明治大学法学部及び明治大学法科大学院でサイバー法や情報法等の科目を担当している教員,これらの科目以外の科目でも情報と深く関連する講義内容を提供している教員,並びに,かつてこれらの科目を担当したことのある教員らの有志により結成され,月1回程度の研究会を開催してきました。また,研究成果を記録し,公表するため,法と情報雑誌を刊行してきました。

法と情報研究会では,今後,年1~2回程度,公開形式で研究報告会を開催することとなりました。今回は,その第1回の公開研究報告会です。

この分野に興味をお持ちの方々のご参集を賜りたいと存じます。

開催要領は,下記のとおりです(敬称等略)。

***

日時:2017年3月18日(土曜日)10:00~17:30
場所:明治大学駿河台校舎リバティタワー1012教室
   http://www.meiji.ac.jp/koho/campus_guide/suruga/access.html
主催:法と情報研究会(代表:夏井高人)
入場:無料

内容:10:00            開場
   10:15         開催趣旨説明
   10:30~12:00 丸橋 透(明治大学法科大学院兼任講師)
             Tele2 Sverige AB対スウェーデン郵政通信省(C-203/15)
             及び英国内務大臣対トム・ワトソン他(C-698/15) 先決裁
             定事件欧州連合司法裁判所大法廷判決(2016年12月21
             日) について
      12:00~13:30 休憩(昼食)
   13:30~14:30 栁川鋭士(明治大学法学部専任講師)
             仲裁の今日的課題-合意モデルにおける証拠保存義務-
   14:30~15:30 小倉秀夫(弁護士・明治大学法学部兼任講師)
             コンテンツ配信サービスにおけるプラットフォーム提供者
             の自由の限界(仮題)
      15:30~16:00 休憩
   16:00~17:30 夏井高人(明治大学法学部専任教授)
             EUの個人データ保護法制における保護法益・EUの法執
             行機関及び税関における個人データ保護

※ 当日,論文の抜き刷り及び法と情報雑誌等の資料を配布予定。ただし,部数に限りがあるため,先着順(各100部程度)。残部がなくなった場合にはご容赦ください。

※ 事前申込み等は不要。ただし,座席数に限りがあるため,満席の場合にはご容赦ください。

| | コメント (0)

2017年1月14日 (土曜日)

米国:バージニア州の小規模ISP排除法案?

下記の記事が出ている。

 Virginia “Broadband Deployment Act” would kill municipal broadband deployment
 ars technica: January 14, 2017
 http://arstechnica.com/tech-policy/2017/01/virginia-broadband-deployment-act-would-kill-municipal-broadband-deployment/

| | コメント (0)

2017年1月11日 (水曜日)

山岡規雄・井田敦彦「諸外国における戦後の憲法改正【第5版】」

国会図書館のサイトで,下記の論説が公開されている。

 国立国会図書館調査及び立法考査局憲法課 山岡規雄・井田敦彦
 諸外国における戦後の憲法改正【第5版】
 調査と情報-ISSUE BRIEF- NUMBER 932(2017.1.10.)
 http://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_10249597_po_0932.pdf?contentNo=1

| | コメント (0)

2017年1月 8日 (日曜日)

法と情報雑誌第1巻の正誤

更にミスが発見されました。まとめたものは,下記のとおりです。

1. 法と情報雑誌第1巻第1号に下記のとおりの誤り(校正ミス)がありました。お詫びして訂正します。

11頁 脚注55
  正 欧州首脳理事会(European Council)
  誤 欧州評議会(European Council)
 14頁 脚注68
  正 合理的な時間内
  誤 合理的な時刻
 21頁 (7)
  正 要求事項を設定・計画する共通の最小限度の能力
  誤 共有の最小限度の能力養成と要求事項設計
 30頁5行目
  正 信頼サービスプロバイダに対しても適用
  誤 信頼サービスプロバイダに対しても提供
 33頁下から2行目
  正 教育、注意喚起及び訓練計画に関する指定
  誤 プログラマーの教育、注意喚起及び訓練に関する指定

2. 法と情報雑誌第1巻2号に下記のとおりの誤り(校正ミス)がありました。お詫びして訂正します。

118頁本文下から7行目
  正 指令2006/24/EC及び指令2009/136/ECによる
  誤 指令2006/24/EC、指令2009/136/EC及び「規則(EU) 2015/2120」による
131頁前文(30)
  正 必要な個人データの処理を厳格に
  誤 必要な個人データの量を厳格に
143頁第9条第1項冒頭部分
  正 公共通信ネットワークまたは公衆が利用可能な電子通信サービスの利用者または
    加入者に関して、トラフィックデータ以外の位置データが処理され得る場合、そのよ
    うなデータは、それらが匿名化されている場合、または、利用者または加入者の同
    意がある場合、付加価値サービスの提供のために必要な範囲内及びその期間内に
    限り、これを処理することができる。
  誤 トラフィックデータ以外の位置データが処理され得る場合、そのようなデータ
    は、それらが匿名化されている場合、付加価値サービスの提供のために必要な
    範囲内及びその期間内で、利用者または加入者の同意がある場合に限り、これ
    を処理することができる。
146頁本文末行
   「公開の名簿の目的のために、」を削除する。

3. 法と情報雑誌第1巻第3号に下記のとおりの誤り(校正ミス)がありました。お詫びして訂正します。

 目次及び本文内にある規則の標題内
  正 4月27日
  誤 4月26日
  78頁の前文(170)
  正 TEU
  誤 TFU
 83頁の第4条(9)
    正 特別の照会
  誤 特別の調査
 115頁の第26条第1項
  正 管理者らの関連する責務が定められていない場合にはその範囲内において
  誤 権利者らの関連する責務が定められていない場合、及び、それが定められてい
    る場合にはその範囲内において、
 123頁第31条第3項(a)
    正 悪影響を受けた個人データに適用された場合
  誤 悪影響を受けたデータ主体に適用された場合
 124頁第34条第3項(b)
  正 職員の注意喚起及び訓練並びに関連する監査を含め
  誤 職員の注意喚起及び訓練を含め
 156頁の第57条第1項(k)の下に下記の1行を挿入する。
  (l) 第36条第2項に示す処理業務に関して助言し;

3. 法と情報雑誌第1巻第6号に下記のとおりの誤り(校正ミス)がありました。お詫びして訂正します。

 表紙目次及び133頁の標題
  正 コンピュータと関連する犯罪に関する欧州評議会閣僚委員会勧告
  誤 コンピュータと関連する犯罪に関する州評議会閣僚委員会勧告

| | コメント (0)

2016年12月24日 (土曜日)

法と情報雑誌の正誤

1. 法と情報雑誌第1巻第1号に下記のとおりの誤り(校正ミス)がありました。お詫びして訂正します。

 11頁 脚注55
  正 欧州首脳理事会(European Council)
  誤 欧州評議会(European Council)
 14頁 脚注68
  正 合理的な時間内
  誤 合理的な時刻
 21頁 (7)
  正 要求事項を設定・計画する共通の最小限度の能力
  誤 共有の最小限度の能力養成と要求事項設計
 30頁5行目
  正 信頼サービスプロバイダに対しても適用
  誤 信頼サービスプロバイダに対しても提供
 33頁下から2行目
  正 教育、注意喚起及び訓練計画に関する指定
  誤 プログラマーの教育、注意喚起及び訓練に関する指定

2. 法と情報雑誌第1巻2号に下記のとおりの誤り(校正ミス)がありました。お詫びして訂正します。

 118頁本文下から7行目
  正 指令2006/24/EC及び指令2009/136/ECによる
  誤 指令2006/24/EC、指令2009/136/EC及び「規則(EU) 2015/2120」による
 146頁本文末行
  「公開の名簿の目的のために、」を削除する。

3. 法と情報雑誌第1巻第3号に下記のとおりの誤り(校正ミス)がありました。お詫びして訂正します。

 目次及び本文内にある規則の標題内
  正 4月27日
  誤 4月26日
  78頁の前文(170)
  正 TEU
  誤 TFU
 83頁の第4条(9)
       正 特別の照会
  誤 特別の調査
 115頁の第26条第1項
  正 管理者らの関連する責務が定められていない場合にはその範囲内において
  誤 権利者らの関連する責務が定められていない場合、及び、それが定められている場合にはその範囲内において、
 156頁の第57条第1項(k)の下に下記の1行を挿入する。
  (l) 第36条第2項に示す処理業務に関して助言し;

4. 法と情報雑誌第1巻第6号に下記のとおりの誤り(校正ミス)がありました。お詫びして訂正します。

 表紙目次及び133頁の標題
  正 コンピュータと関連する犯罪に関する欧州評議会閣僚委員会勧告
  誤 コンピュータと関連する犯罪に関する州評議会閣僚委員会勧告

| | コメント (0)

2016年11月15日 (火曜日)

ジェネリックな手法に基づく再利用可能な法情報オントロジー

下記の書籍の51頁に第4章には「Legal Ontologies in ICT and Law」と題する論説が収録されている。

 Irene Maria Portela and Maria Manuela Cruz-Cunha (eds.)
Information Communication Technology Law, Protection and Access Rights: Global Approaches and Issues
 Inforomation Science Reference (2010)
 ISBN-13: 978-1615209750

論文の著者はいずれもポーランド(Poznan経済大学)の研究者で,もう5年以上も前に書かれたものだ。

オントロジーを含め,意味論と関連せざるを得ない情報科学上の課題に関しては私なりの意見もあるが,それは一応措くとして,「法情報データベース構築のための研究は既に過去のものだ」と諦めかけている研究者にとってはやや刺激になるものではないかと思った。

手法は手法なので様々な考え方ややり方があり得る。

世界的な視野でながめわたしてみると,まだまだ確立されているとは言えない。

そもそもデータ化されていない物理的な媒体に記録されているだけの資料のほうが圧倒的に多い。

そうやっている間に「人工知能」を詐称するインチキシステムのようなものもぼつぼつと出てきているように思う。

| | コメント (0)

2016年11月14日 (月曜日)

法と情報雑誌の正誤

1. 法と情報雑誌第1巻第1号に下記のとおりの誤り(校正ミス)がありました。お詫びして訂正します。

 11頁 脚注55
  正 欧州首脳理事会(European Council)
  誤 欧州評議会(European Council)

 14頁 脚注68
  正 合理的な時間内
  誤 合理的な時刻

 21頁 (7)
  正 要求事項を設定・計画する共通の最小限度の能力
  誤 共有の最小限度の能力養成と要求事項設計

 30頁5行目
  正 信頼サービスプロバイダに対しても適用
  誤 信頼サービスプロバイダに対しても提供

 33頁下から2行目
  正 教育、注意喚起及び訓練計画に関する指定
  誤 プログラマーの教育、注意喚起及び訓練に関する指定

2. 法と情報雑誌第1巻2号に下記のとおりの誤り(校正ミス)がありました。お詫びして訂正します。

 118頁本文下から7行目
  正 指令2006/24/EC及び指令2009/136/ECによる
  誤 指令2006/24/EC、指令2009/136/EC及び「規則(EU) 2015/2120」による

 146頁本文末行
 「公開の名簿の目的のために、」を削除する。

3. 法と情報雑誌第1巻第3号に下記のとおりの誤り(校正ミス)がありました。お詫びして訂正します。

 目次及び本文内にある規則の標題内
  正 4月27日
  誤 4月26日

 83頁の第4条(9)
    正 特別の照会
  誤 特別の調査

 156頁の第57条第1項(k)の下に下記の1行を挿入する。
  (l) 第36条第2項に示す処理業務に関して助言し;

| | コメント (0)

2016年11月13日 (日曜日)

情報ネットワーク法学会の講演を終えて

体調に不安の残る状態だったが与えられた責務を果たすべく,情報ネットワーク法学会の第16回研究大会に出席し,無事に講演を終えることができた。

講演に至るまでの間,面倒な事前準備等について,何ひとつ文句を言わずに適切に対応していただいた菊池浩明先生(明治大学)と藤村明子氏(NTTセキュアプラットフォーム研究所)を責任者とする理事各位及び支援してくださった方々には心から御礼を申し上げる。

2日間の学会の期間中には,会場において,アルバイトの学生を含め,補助業務に従事していた方々にも何度もお世話になった。御礼申し上げる。

また,講演当日に細かな法解釈論を述べなくても良いように,法と情報雑誌掲載の翻訳とその脚注を急いで仕上げるに際し,研究資金を提供してくださったKDDI総合研究所・加藤尚徳氏,翻訳に際して適切なアドバイスを頂戴した丸橋透先生,新保史生先生,佐々木秀智先生,金子敏哉先生にも心から御礼を申し上げる。おかげさまで,雑誌の第1号から第5号までを無事に刊行し,そして,資金的余力のある範囲内で雑誌を増刷して講演の際に配布することができた。

講演を終えてから,鈴木正朝先生(新潟大学)につかまり,しばし懇談(?)した。そのあとで幾つかのセッションで聴講した。

笠原毅彦先生(桐蔭横浜大学)の通訳で行われたゲオルグ・ボルゲス先生(ザールランド大学)の講演はとても良かった。ボルゲス先生は,元判事ということで,特に研究している分野に共通点が多いこともあり,その問題意識をとてもよく理解することができた。内容はドイツ法に関するものではあったけれども,日本法においても類似する法的問題が存在しているので,私なりにしっかりと研究しようと思う。とても刺激になった。

懇親会は1次回のみで切り上げ,予約していたホテルでとにかく1分でも多く睡眠をとることにした。

2日目の本日は,午前中は,プロバイダ責任と関連する問題を扱うセッションを聴講し,午後は法情報学関連のセッションを聴講した。どちらもよい研究報告が多く,勉強になった。

全体としてみて,若い世代の報告が少なくなく,学会として「生きている」という印象を受ける。若い研究者は,ベテランと比較すれば研究年数が少ないので,まだ粗削りの部分があるし,不足している部分もある。しかし,ベテランの先生方が詰めている学会の席上で発表するために努力を重ねて準備し,腹を決めて発表することには大きな意味があり,それだけで人間としての成長を期待することができる。学会の席上で質問や意見を受けることにより自分が更に研究すべきことを無料で教えてもらうこともできるわけで,こんなに得なことはない。今後も,更に多くの若い研究者がチャレンジすることを期待したい。

学会組織それ自体としても順調に会員が増加しているとのことで,とても喜ばしいことだと思う。

町村泰貴先生や指宿信先生等と相談しながら,「将来,若い世代が継続的に参加して新陳代謝を維持できるような組織とするためにはどうしたらよいのか」について,何度も意見交換をした頃のことを思い出す。難産だったが,苦労したかいがあった。

学会立ち上げの際には,岡村久道先生及び平野晋先生にお願いして,学会設立趣旨のようなものを書いていただき,連名で判例タイムズ誌及びWeb上で公開した。これも懐かしい思い出だ。

現在の中心メンバーは,もっと若い世代となっている。とても良いことだと思う。

茶道や書道などの世界では昔からの「型」を守ることがとても大事なことだ。

しかし,法学は,基本的には実学なので,時代や社会情勢の変化と共に柔軟に対応できるものでなければならないし,偉い先生の理論を継承するためにあるわけではない。それゆえ,私の学説上の意見を含め,間違っているものや時代に合わないものはどんどん乗り越えるような新たな研究成果が出てくるようでなければ,生きた法学ではない。法学上の特定の学説を保存するためにだけ存在しているような団体は,古典伝統芸能の一種として理解すべきであろう。

このような時代への即応は,事柄にもよるが,一般的には,行政官庁ではそう簡単にできることではない。あまりに朝令暮改が過ぎると国民が迷惑する。また,平等かつ公正な行政サービスの要請に反する結果となることがある。

しかし,ときとして形式的な先例踏襲の弊害があることもまた事実であるので,弊害があれば弊害だと明言する誰かが存在しなければならない。会計検査院は憲法によって設置された独立の国家機関としてのそのような辛口の意見を言う職務を遂行する。学術団体である学会は,国家機関ではないが,自由闊達な意見交換を通じて何らかのかたちで弊害を除去するために貢献し,「良い行政の原理」を実現するために寄与すべき場合もある。

その意味でも学術の自由は,とても大事なものだと思う。

しかし,それゆえに,学術が単なる思い付きや空理空論であっては困る。

学術上の方法論には多種多様なものがあるけれども,法学とりわけ比較法的研究の場合や法史学的な研究の場合には,1次資料をしっかりと読み,納得がいくまでとことん考えるということが大事で,この部分について手を抜くと,とんでもない結果を招くことがある。

若い世代に期待しつつも,学術の道はそんなに安楽なものでもないので,基本を忘れず,地道に1次資料を調べ,理解し,考える続けることの重要性についても今回の講演の中に盛り込んだ。

サイバー法や法情報学は,通常の解釈法学とは異なるとの誤解を受けることがあるが,そんなことは全くない。より厳しく基本に忠実に研究を重ねていれば必ず成果を出すことができる。反対に安直な方法を選ぶと必ず失敗する。

しかし,極めてシビアな世界であるからこそやりがいがあるので,普通の人でもできることは普通の人に任せればよいと考えている。

学会のマネジメントには難問も多数あるようだ。昨日は,担当理事から報告があり,本日は湯淺墾道先生(情報セキュリティ大学院大学)ともちょっとだけ意見交換をした。とにかくマネジメントは楽ではない。しかし,それはどの学会でも同じなので,合理的な努力を重ねて課題を解決してもらいたいと思う。

最後に,私がかつて教えたことのある学生が立派な社会人となり,元気に活躍している姿を目にすることができたことがとても嬉しかった。ただ,老害とでも言うべきか,元学生だったがゆえについ気が緩んでしまったとでも言うべきか,弁護士として立派に活躍している方の発表の際には,ややコメントし過ぎてしまったことを悔やみ,かつ,恥じる。

(余談)

ボルゲス先生に対して,問題となる事柄についてドイツでは立法の動きはあるのかという趣旨の質問をした。

その回答は,「これまで関連する法令は存在せず,立法の動きは全くない。しかし,だからこそ研究を重ね発表する意味があるのだ」という趣旨のものだった。

私も全く同感で,心強く感じた。

一般論としては,自己満足だけの学術研究があっても全く構わない。しかし,私自身は,実学としての法学という側面においては,何らかのかたちで社会に寄与・貢献するものを希求し続けようと思う。

| | コメント (0)

2016年11月 8日 (火曜日)

情報ネットワーク法学会での講演

情報ネットワーク法学会での講演の日が迫ってきた。

 情報ネットワーク法学会第16回研究大会
 2016年11月12日(土)~11月13日(日)
 明治大学中野キャンパス(東京都中野区中野4-21-1)
 http://windy.mind.meiji.ac.jp/InLaw2016/program2.html

時間が限られているので,枝葉のことばかり話していると本題について何も述べないで終わってしまう危険性がある(笑)

そこで,細かいことについては,論説の抜き刷り等を配布し,それを読んでもらうことで対処することにした(部数に限りがあるため先着順)。

他方で,一般に,あまり具体的過ぎる事柄は,すぐにアウトオブデートになってしまうという問題もある。

そこで,当日は,大まかな見取り図のようなものを講演内容として提供することに主眼を置くことにしようと思う。

配布資料の手配を終えたので,あとは当日のプレゼンテーションを用意するだけだ。

いろいろと意見を聴いたりしてみた。更に考えた上で,だいたいのことを決めることができた。今回もロボット関連のシンポジウムの際と同様,単純な図だけで説明しようかと思っている。

研究大会のプログラムの内容を見ていると,研究報告の数が多くなっており,とても喜ばしいことだと思う。今後,質・量ともに,ますますもって発展することを期待したい。

研究大会の運営担当理事はマネジメントがとても大変だと想像する。しかし,それなしには研究大会が成立することなどあり得ないので,研究大会の運営を担当しているというだけで学術の世界に非常に大きな貢献をしていることになると思う。とかくマネジメントの仕事が世間から着目されることは少ないが,理事諸氏には御礼の趣旨で頭を下げたいと思う。

| | コメント (0)

より以前の記事一覧