2024年5月22日 (水曜日)

EU:AI法案を理事会が承認する議決

下記の記事が出ている。理事会の承認の議決があっても,それだけでAI法が成立したわけではない。

 Artificial intelligence (AI) act: Council gives final green light to the first worldwide rules on AI
 Consilium: 21 May, 2024
 https://www.consilium.europa.eu/en/press/press-releases/2024/05/21/artificial-intelligence-ai-act-council-gives-final-green-light-to-the-first-worldwide-rules-on-ai/

 EU AI Act clears final vote
 Out-Law: 21 May, 2024
 https://www.pinsentmasons.com/out-law/news/eu-ai-act-clears-final-vote

このあと,欧州議会の長(President)及び理事会の長(President)が署名することにより,EUの規則(Regulation)として正式に成立する。

成立した規則は,EU官報上で公示され,公示の20日後に発効(Entry into force)する。

発効した規則は,一部の条項を除き,原則として,発効の2年後(24か月後)に適用される。

なお,日本国の法制度とEUの法制度とはかなり異なるものなので,EU法に関しては,日本国の法制度でしか通用しない「施行」という表現は,(誤解を避けるため)原則として使用すべきではない。日本国法における「施行」と類似する国家機能をもつEU法における法概念は,「適用(application)」である。

***

一般に,日本国の法制度及び法律用語は,世界全体の中ではかなり特異なものなので,日本国の法制度及び法律用語の知識だけでEU及びEU法を理解しようとすると,基本的な部分・本質的な部分で理解を誤る危険性がある。既存のEU法の教科書に書かれていることは,拡大EU後の現時点におけるEUの国家訂正及び法制度の変化を正しく反映しているものとは言えないので,その点に留意しなければ間違う原因をつくることになる。

私が理解している範囲内に関する限り,現時点において,日本語で書かれたEU法の教科書の中で本質的な部分・根本的な部分に多くの誤りを含まない書籍はないと判断している。少なくとも100本以上のEUの法令を自力で翻訳しながらEUの全体の本質的部分を理解し,個々の法律用語の適切な訳語(語彙)を自ら蓄積し続ける以外に現状を打開する方法はない。コピペだけに頼っている者は,死ぬまで「バカの壁」(養老孟司)を乗り越えることができない。
そのことを理解できない法学者は,法学者としての資質・能力を疑われても仕方がないものと考える。
ただし,マスコミ関係者やライター,職業法学研究者ではない弁護士等は,もともとEU法の基本構造やEU法の法律用語に関して素人であり,EU法で使用される法律英語が「米国及び英国で使用されてきた法律英語とは根本的に異なる意味を示すための語彙及び文法の集合体であること」を全く知らず,それゆえ,EU法に関しては基本的に無知なので,EU法において使用される法律用語の語彙を間違って理解したままで報道記事等を作成しても強く批判しないようにしている。

私自身は,私が作成する参考訳において,原則として直訳主義を貫いている。日本国に特有の法律用語を使用すると,EU法の分野においても同じだと誤解されてしまう危険性があるからだ。

***

これまで3月13日に欧州議会で承認された正文案に基づき素訳(全訳)を作成してきた。

理事会で承認された正文案との異同はまだ点検していないのだが,直観的には異動があるように思う。

全体として最初の提案時と比較して2倍以上の分量の法令(前文・本文・別紙(ANNEX))となっているので,完全に点検し,参考訳を完成するのは夏休み頃になると見込まれる。

なにしろ,自分ひとりだけで作業を進めているので時間がかかる。

しかし,自分ひとりで作業しているので,訳文の一貫性に関しては他の訳を凌駕していると自負している。

複数の人間の共同作業によると,(関与者全員がEU法を正しく熟知した人材である可能性がほぼ絶無なので)一貫性のある訳文を作成することが不可能となる。

なお,重要な整合化立法のほぼ全部について同時進行的に分析と訳出を進めている。疾病や故障がなければ,2024年12月までにはその参考訳を公表できるだろうと考えている。

法と情報研究会のメンバーに対しては,2023年12月の時点における正文案に基づくサイバー回復力法案の全文訳を提供している。

 

| | コメント (0)

2024年5月17日 (金曜日)

EU:人工知能法(AI Act)案と医療機器規則(EU) 2017/745との間で互換性がとれていない部分がある?

下記の記事が出ている。

 Euro Convergence: Experts concerned about incompatibilities between AI Act and MDR
 Regulatory Affairs Professionals Society: 14 May, 2024
 https://www.raps.org/news-and-articles/news-articles/2024/5/euro-convergence-experts-concerned-about-incompati

医療機器規則は,複数の改正が予定されており,全部について整合性を確保するためには多大の努力を要する。

なお,日本国の医薬品及び医療機器等法は,EUの医療機器規則の制定に合わせて,旧薬事法を全面改正して制定されたものなのだが,当然のことながら,AI関連製品との関係ではEU法と同一歩調をとる必要があるため,EUにおける関連法令の改正に呼応して日本国法も改正されなければならない。

 

| | コメント (0)

2024年4月25日 (木曜日)

EU:サイバー回復力法案が採択されても実装・運用にENISA内部からの障害?

下記の記事が出ている。

 EU cyber agency will not create active vulnerability database, says chief cybersecurity officer
 The Record: April 19, 2024
 https://therecord.media/enisa-will-not-create-vulnerability-database-cyber-resilience-act

 

 

| | コメント (0)

米国:TikTok禁止法案

下記の記事が出ている。

 US Congress Passes Bill to Ban TikTok
 infosecurity: 24 April, 2024
 https://www.infosecurity-magazine.com/news/us-congress-passes-bill-ban-tiktok/

 

 

| | コメント (0)

2024年4月20日 (土曜日)

EU:欧州のプラットフォームの戦略的技術に関する規則(EU) 2024/795

下記のとおり公示されている。

 Regulation (EU) 2024/795 establishing the Strategic Technologies for Europe Platform (STEP)
 http://data.europa.eu/eli/reg/2024/795/oj

 

 

| | コメント (0)

2024年4月 4日 (木曜日)

EU:AI法を実装・運用するための組織的な仕組みの導入が進行中

下記の記事が出ている。

 EU Policy. Commission presses governments to appoint AI regulators
 euronews: 3 April, 2024
 https://www.euronews.com/next/2024/04/03/commission-presses-governments-to-appoint-ai-regulators

EUのAI法案が正式採択されるのは,(極めて多数のバグの修正作業が未済なので)まだ先のことになるが,(バグが修正された後に)採択されたとしてもそれを実装・運用するためには具体的な仕組みを多数構築しなければならない。正式の採択前であるけれども,既にその実装・運用のための作業が進められている。

***

日本国はEUの構成国ではない。しかし,それにしても政府の関連部署の反応が鈍すぎる。所管大臣にも職員にも「何が大事なことなのか」を理解する能力及び「何が必要なことなのか」を察知するための基礎となる広範な一般教養がないのかもしれない。

EUのAI法案の重要性を真に理解するためには,(法案であるものを含め)EUの整合化立法全部を常に自己の生体脳の中に入れており,それらの整合化立法の論理構造の全てを完全に咀嚼・理解しており,整合化立法上の重要条項を自由自在に法解釈でき,かつ,現実にそれらの条項を執行するEUの機関と全ての構成国の行政機関の権限分配とその相互関係を完全に理解している複数の上級公務員が必要だ。

(法学研究者でも職業法律家でもない)単なる政治家の一員に過ぎない国務大臣に対してそのような法解釈の能力と経験を求めるのはもともと無理なことなので,私は,政治家に対しては何も求めていない。

ところが,国務大臣を補佐すべき立場にある公務員等の中ではどうかというと,(たぶん,私の鑑識眼が老化により劣化しているためだろうと思われるのだが)国家公務員の中に適切な人材を見出すことはできないし,日本国の法学者や弁護士の中にもそのような能力を十分にもつ人材が全く見当たらない。

結局のところ,日本国は,(サイバー経済社会という国際的な生存競争において)既に敗北していると言えるかもしれない。

 

| | コメント (2)

2024年4月 2日 (火曜日)

米国:ニューハンプシャー州のAI関連立法動向

下記の記事が出ている。

 New Hampshire House passes AI election rules after Biden deepfake
 The Hill: March 29, 2024
 https://thehill.com/policy/technology/4563917-new-hampshire-house-passes-ai-election-rules-after-biden-deepfake/

 

| | コメント (0)

2024年3月30日 (土曜日)

テネシー州:Elvis Act

下記のとおり公報されている。

 Gov. Lee Signs ELVIS Act Into Law - Tennessee First in the Nation to Address AI Impact on Music Industry
 Office of Governor: March 21, 2024
 https://www.tn.gov/governor/news/2024/3/21/photos--gov--lee-signs-elvis-act-into-law.html

 

 

| | コメント (0)

2024年3月29日 (金曜日)

アフリカ諸国のAI立法動向

下記の記事が出ている。

 Africa Begins Efforts to Regulate Artificial Intelligence
 Tech in Africa: March 18, 2024
 https://www.techinafrica.com/africa-begins-efforts-to-regulate-artificial-intelligence/

 

 

| | コメント (0)

2024年3月26日 (火曜日)

インドネシアのAI立法動向

少し古い記事だが,下記の記事が出ている。最新の動向を注視し続けるべきだろうと思う。

 Indonesia’s Approach to Artificial Intelligence Governance
 Open Gov: February 28, 2024
 https://opengovasia.com/2024/02/28/indonesias-approach-to-artificial-intelligence-governance/

 Legal Issues in Generative AI under Indonesian Law - Copyright and Personal Data Privac
 Lexology: January 16, 2024
 https://www.lexology.com/library/detail.aspx?g=3d77f934-d86c-4a80-ae72-927f2c317c9a

 

| | コメント (0)

より以前の記事一覧