2017年4月13日 (木曜日)

中山信弘・金子敏哉編『しなやかな著作権制度に向けて-コンテンツと著作権法の役割』

金子敏哉先生から下記の書籍を頂戴した。

 中山信弘・金子敏哉編
 しなやかな著作権制度に向けて-コンテンツと著作権法の役割
 信山社(2017/3/30)
 ISBN-13: 978-4797232349

科研費の基盤研究A「コンテンツの創作・流通・利用主体の利害と著作権法の役割」の研究成果をまとめたものだ。

頂戴したばかりなので内容を精読しているわけではないが,ざっと読んでみた感じでは,フェアユースと関連する最近の問題について,様々な角度からの考察を提供する論考が収録されており,興味深く読んだ。

(余談)

一般論として,現行の著作権制度が比較的近い未来までそのまま維持可能だとは全く思っていないし,さりとて,レッシグ流の考え方によって新たなスキームが生まれることもないと考えているが,現行の著作権という枠組みの中でぎりぎりの限界を考察することは重要なことだと思う。それがなければ,制度それ自体の限界を知ることができないからだ。

今後は,人間の意思(特に創作性)という要素を全く含まない完全に新たな制度的な枠組みが模索されることになるだろう。

それがどのようなものになるにせよ,結局は,誰かの何らかの利益を強制力をもって守るという基本的な考え方が維持可能なものかどうかも考える必要がある。

いわゆる「情報の自由」なる考え方が,従来考えられてきたようなあり方ではとても維持できないということは,既に証明されてしまっているように思う。

また,法による統制だけを考慮した場合,あまたあるシミュレーションの中で,「ハチの社会」または「アリの社会」のモデルが優位なものとなり得るという可能性は無視できないように思う。

「自由の領域」というものを従来の法哲学では考えてこなかったようなものとして設定し直す必要があるのではなかろうか。

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2017年4月 7日 (金曜日)

小倉一志『インターネット・「コード」・表現内容規制』

小倉一志先生から下記の書籍を頂戴した。

 小倉一志
 インターネット・「コード」・表現内容規制
 尚学社(2017/4/1)
 ISBN-13: 978-4860311223

表現の自由とその規制は、小倉一志先生の一貫した研究テーマで,本書は、最近の研究成果をとりまとめた内容となっている。読んでみたところ,更に研究継続中の事柄がいくつかあるようで,今後,順にその研究成果を公表したいとのことだ。

表現の自由に関しては良い論文や書籍が少なくないので,なかなか大変だとは思う。

本書は、そのようなテーマについて,まじめに取り組んだ成果を示すもので,他の文献等では触れられていない事柄についても検討結果が示されており,参考になった。

一般に,地道でも誠実な研究を継続することにより必ず良い結果への道が拓かれることになる。それを活かすかどうかは本人次第なのだが,しかし,何もしないでいるのであれば,いかなる道も良い方向に向けて拓かれることはない。

今後の研究成果を踏まえた研究の継続とその新たな研究成果の公表を期待したいと思う。

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2017年4月 4日 (火曜日)

現況

ゼミ長だった非常に優秀な学生が無事に入社1日目を過ごしそのメールを送ってきた。学問の意欲も高いので,実務をしっかりと身につけ,社会の実相をきちんと理解した上で学術と取り組めば,社会にとって有用な研究成果を生み出す人材になるのではないかと期待している。机上だけの空理空論は,哲学としては完全に自由なのだが,実学としての法解釈学においてはそれだけでは全く無力であるし,逆に有害であることさえあるので,真に法学に挑もうとする者は,社会の中で現実に存在している様々な欲望や権力構造のようなものを実際に目にし,味わい,身に染みてそのむごさを思い知り,その上で,各人各様の達観と自己の確固たる世界観及び歴史観を得た後に学問と取り組むのがよろしい。本来,法学は,科挙のための記憶術ではない。

さて,私のほうは,研究題材が雨あられと天から降ってくるような状況の中にある。

100人の法学専門家が取り組んでもこなせないような分量のようにみえる。

しかし,ごく少数の例外的な知人を除いては,その重要性に誰も気づかないでいるように思う。少なくとも,その関連の学術業績は,私の著作とごく数名の著作以外には全く見当たらない。

もしかるすると,その重要性に気づいても,あとから誰かの研究成果をパクればよいと安易に考えて手をつけない者もあるのかもしれない。一般に,秀才と呼ばれる人々の中には,意外とそのようなずるい人間が含まれていることがある。それゆえに秀才なのだが,その程度のものに過ぎない。古代の官職の職格としては,せいぜい九品中の下品の部類に属する程度のものだろう。しかし,そんなことをやっていたのでは,決して,中品以上の域に達することはできない(たまたま非違行為等により上司が更迭または失脚するといったような幸運に恵まれる場合を除く。)。

そこで,「誰もやらないなら自分がやるしかないか」と考え,頑張って取り組むことにした。

幸い,同じ問題意識をもつ非常に優秀な知人と共同で仕事をすることのできるものもでてきたので,仕事のやり方もやや多様化することとなっているが,基本的には自分だけで孤独に仕事を進めている。

その結果,誰からも白い目で見られそうな自論が,世界規模でみた場合の社会の事実として続々とその確実性を実証できるような変化の中にいるということを自覚することができた。強く主張する必要もない。誰でも「やはりそうだったのか」を首を項垂れざるを得ない時が間もなくやってくる。有効な反論は誰もできない。なぜなら,事実それ自体がそのように証明してくれているからである。

無名で貧乏で凡庸とはいえ,一人の法学者としては,これ以上望みようのない極めて幸福な状況の中にいるのだと思う。

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2017年4月 2日 (日曜日)

Rigor Mortis

下記の記事が出ている。

 How sloppy science creates worthless cures and wastes billions
 ars technica: April 1, 2017
 https://arstechnica.com/science/2017/04/how-sloppy-science-creates-worthless-cures-and-wastes-billions/

この記事にある書籍についてAmazonで調べてみたところ,日本国内ではまだ販売されておらず,予約注文の扱いになっていたので,早速予約した。

おそらく,予想したとおりの内容の書籍だろうと思う。大概のことは既に知っているので,新規の知見は得られないと思っているけれども,こういう書籍が刊行されるという事実に着目したい。

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2017年3月22日 (水曜日)

Andy Bain (Ed.), Law Enforcement and Technology: Understanding the Use of Technology for Policing

下記の書籍を読んだ。

 Andy Bain (Ed.)
 Law Enforcement and Technology: Understanding the Use of Technology for Policing
 Palgrave Macmillan (2016)
 ISBN: 978-1-137-57914-0
 http://www.palgrave.com/la/book/9781137579140

比較的薄い書籍で,記述も要領よく簡潔にまとめられている。

短時間で要点を理解し,問題点を把握するには良い書籍だと思った。

近未来を想定した記述部分(特に結論部分)で書かれている事柄は,実際には,近未来の想定ではなく,既に現実のものとなっている。しかも,現在では,人工知能の応用により更に高度な自動処理が進んでいる。そういうことを理解した上で読まなければならない。

「怖い時代になった」と思うか,それとも,それゆえに更に学問意欲を沸騰させるかは,読者の知識や個性や資質により異なる。

しかし,現実離れして空理空論ばかりやっていても何の益もないので,現実を見据えた法解釈論の構築をめざすべきだということだけは確かだと思う。

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2017年3月21日 (火曜日)

季刊考古学別冊24号 古代倭国北縁の軋轢と交流―入ノ沢遺跡で何が起きたか―

神田の三省堂本店で下記の雑誌を購入しておいたのだが,雑務に追われて読む暇がなかった。やっと一区切りをつけ,読むことができた。

 季刊考古学別冊24号 古代倭国北縁の軋轢と交流―入ノ沢遺跡で何が起きたか―
 雄山閣(2017/02/25)
 ISBN: 9784639024415

内容は,2015年9月に東北学院大学で開催されたシンポジウムの結果をまとめたもので,非常に興味深いものと言える。

勉強になった。

(余談)

問題の遺跡は山の上にあり,柵をめぐらせている。

「築館」との地名は,意外と古いのかもしれない。

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2017年3月17日 (金曜日)

法と情報研究会・公開研究報告会

明日(3月18日)に開催される研究報告会の開催準備のために,ここ数日,忙殺されていた。

 法と情報研究会・公開研究報告会(2017年3月18日)
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2017/01/2017318-ea86.html

庶務の嵐の中で自宅の風呂のガス給湯器が老朽化して壊れ,余計な支出と時間の消耗にも対処せざるを得なくなり,本当にしんどかったが,どうにかこうにか準備ができつつあると思う。

配布することを予告していた冊子等の印刷も無事に終えた。アルバイト学生に手伝ってもらって,問題なく配布できるように手配を整えた。報告者のレジュメの配布等についても手抜かりのないようにしたいと思う。

公開の研究報告会なので,この報告会には,事前の参加登録等をすることなく,誰でも自由に参加することができる。

パラパラの参加者しかないようだと悲しいのだが,現状からすると,同様の分野の普通の研究会程度の参加者はあるように思う。学会の研究大会ではないので,もともと大人数のご参集を想定していない。50名以上の参加者があれば大成功と言えると思う。

支障なく研究報告会運営の業務を遂行できるよう,頑張りたい。

私自身の研究報告は,当日,冊子を配布する予定なので,議論の詳細部分や各論のような部分の細部の説明は配布する冊子等に委ね,研究報告それ自体の内容としては,法的問題の全体構造を正確かつ明確に把握できるようなものとすべく,準備を進めてきた。

報告会終了後には報告者と関係者だけのごく少人数で簡単な懇親会を行って全ての日程が終了する。

それまでは気が抜けない。

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2017年3月14日 (火曜日)

林紘一郎『情報法のリーガル・マインド』

林紘一郎先生から下記の書籍の寄贈を受けたので,早速読んだ。

 林紘一郎
 情報法のリーガル・マインド
 勁草書房 (2017/2/20)
 ISBN-13: 978-4326403349

内容に関しては,私見とかなり異なる部分が多いのだが,林先生の立場で書くとすればこういうことになるのだろうと思った。林先生の御研究の集大成ということになるのだろう。

私が思うには,情報法のコアの部分には,情報通信それ自体と直接に関係する膨大な量の法令が存在する。林先生は,そのことは十分に踏まえておられると理解した。

しかし,あくまでも一般論として,他の類書を読んでみると,情報通信と関係する法令には1行も触れないで「情報法」を論じているものが決して少なくない。

そのようなものは詐欺の一種のようなものなので,その著者の受講学生は非常に気の毒だと思っている。

そのような情報通信法制と全く無関係な書籍は,例えば,「メディア法」なり「人権法」なり,「知的財産法」なり,全く別の標題とすべきであろう。これらは,レイヤで言えば,アプリケーション層のみを扱うものであり,物理層には全く触れておらず,プロトコルについても無頓着であると言える。そのような場合,アプリケーション層だけを扱う書籍であることを明確に表示することは,著者の社会的義務の一部だと考えている。

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2017年3月11日 (土曜日)

高木浩光「宇賀克也「個人情報保護法の逐条解説」第5版を読む・前編(保護法改正はどうなった その5)」

昨日,某氏からこういう記事が出ているということを教えられ,久しぶりに高木浩光氏のサイトを訪問してみた。下記の記事及びその関連の記事があった。

 宇賀克也「個人情報保護法の逐条解説」第5版を読む・前編(保護法改正はどうなった その5)
 高木浩光@自宅の日記:2016年12月30日
 https://takagi-hiromitsu.jp/diary/20161230.html#p01

一定の先生方の役割がこういうものだということは,非常に昔から知っている人は知っていることで別段不思議でも何でもなく,それゆえ,そのような一定の先生方の著作とは実はそのようなものだということも当該分野においてはほぼ全員が既に知っている常識に属する。

政府の情報提供が電子政府サイトを介して,一定の先生方だけではなく普通の国民にも周知されるようになったことは非常に良いことだと思う。「一定の先生方」に含まれていない人でも,ごく普通の国民または市民であっても,全く同じ素材を用いて思考することが可能となったからだ。

しかし,単純に「めでたしめでたし」・・・というわけにはいかない。

一般論として,今後は,そのようなタイプの著者と特定の有名な出版社との間の蜜月状態のようなものを物理的に破壊することが必要となる。

普通の人は,誰の見解を重視すべきで誰の見解を無視すべきかについての確実な判断手段をもっていないのが普通なので,上記のような蜜月関係のようなものが社会内で持続する限り,一般国民が正しい判断を形成するための正しい判断基準の提供が阻害される続けることにもなり得る。

根本的に誤った見解によって洗脳され,正しい判断をすることのできない狂人のような国民ばかりになってしまった国の例はいくらでもある。

真に後世に伝えるべき学術著作と言える優れた学術研究成果を発見し,それを書籍の形で印刷・出版し,後世に伝えるのがその分野の専門出版社の大事な役割の1つであることは改めて言うまでもないことだ。そのようであってほしいと願う。

そのためには,出身,経歴,学位,所属大学等の形式的要素を全部無視したブラインド方式またはクリーンルーム方式のような何らかの仕組みを出版社の内部に構築する必要があるが,それは,当該出版社自身の出版の自由及び表現の自由の範囲内のことであると同時に,当該出版社が国民に対して大きな責任を負っているという深い自覚の問題でもあると考える。

日本国の出版の歴史の中には,非常に古くから「目利き」と呼ばれるような人々がいて,上記のような真に後世に残すべき著作をしっかりと出版してきた伝統と歴史がある。だからこそ,日本の出版社は,世界最高峰のレベルにある文化及び学術の伝承者であるとの誇りをもつことができた。今後もそうあってほしい。

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J-STAGEに対するサイバー攻撃?

下記のお知らせが出ている。

 緊急メンテナンスのお知らせ
 http://www.jstage.jst.go.jp/article/jjce/47/2/47_2_2_51/_article/-char/ja/

これによると,「J-STAGEは、3月8日に外部からの攻撃を検知したため、現在サービスを停止し、セキュリティ対応のための緊急メンテナンスを行っております」とのこと。

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