2023年9月26日 (火曜日)

合成偽音声による模倣的行為

事案によるが,刑法に定める業務妨害罪で対処可能な事案が少なくないと考えられる。

ただし,正当な理由なく他者の経済的利益や社会的名誉を奪う場合またはそれらの利益を毀損するような場合,(AIと称する音声や画像の人工合成の仕組みを利用する場合を含め)「ものまね」の行為が一般的に違法行為であるという認識を十分に普及させないと,反感をかうかもしれない。

なお,冗談や悪ふざけのような行為であり,(犯罪構成要件の一部である故意に関して最高裁判例のような見解や検察庁の実務上の見解ではなくもっと厳格な法解釈論上の立場をとった上で)業務妨害罪の故意の該当性を認めない見解に立脚するとしても,事案により,刑法に定める侮辱罪や名誉棄損罪を構成することはあり得る。

***

既存の映画作品等について,正当な理由なく,日本人の俳優による音声部分を合成音声に置き換える行為,または,正当な理由なく,外国語による音声部分のふき替え(アフレコ)の音声を合成音声に置き換える行為は,著作権法に定める同一性保持権または翻案権の侵害行為を構成し得る。

文字情報としての映画作品の字幕等に関しても,正当な理由なく置き換える行為は,著作権法に定める同一性保持権または翻案権の侵害行為を構成し得る。

 

| | コメント (0)

2023年9月25日 (月曜日)

コンピュータプログラムによって生成されるコンテンツの権利帰属

非常に古い問題だ。若い世代は,勉強していないのでそれを知らないだけだ。

また,かつて,(古い世代であれば誰でも知っていることなので,あえてどの会社のことかは言わないが)文書作成ソフトを使用して文書を作成すると,そのソフトの利用者が「自分が著作者だ」と信じていても,その文書の中に当該ソフトを提供している会社が著作権を保有している旨の記載または文言が埋め込まれていたというようなことがしばしばあり,議論となった。

現在の若い世代は知らないかもしれない。

しかし,当該AIアプリまたはAIサービスのみによって解読可能なように暗号化された方式で,当該AIアプリまたはAIサービスを提供している会社が著作権を保有している旨の記載が埋め込まれている可能性が極めて高いので,抽象的な議論をしていても無意味であり,むしろ,そのような隠れたコードが存在しないかどうか探索したほうが早いのではないかと思う。

また,消費者保護の観点からすると,自動生成物の権利帰属について素早く知ることのできないAIシステムは,それだけで違法となる可能性があるので,この観点からの検討も重要だ。現実には,「自動生成物の権利は全部自社のものである」という利用約款となっていることが多いかもしれない。

しかし,若い世代は,経験が乏しいため,そのような極めて簡単なことに考えが及ばない。

要するに,総じて,この手の話題は,過去において既に議論されたことばかりのような気がする。

 

| | コメント (0)

2023年9月14日 (木曜日)

法と情報雑誌51号

法と情報雑誌51号を作成し,Web上で公表した。

  法と情報雑誌51号
 http://cyberlaw.la.coocan.jp/Documents/LawandInformationMag_No51.pdf

この号には「AI 法的責任指令案[参考訳] 」と「製造物責任指令改正指令案[参考訳] 」が収録されている。

 

| | コメント (0)

2023年9月13日 (水曜日)

CISA:安全なオープンソースエコシステムのためのロードマップ

下記のとおり公表されている。

 CISA Open Source Software Security Roadmap
 CISA: September 12, 2023
 https://www.cisa.gov/resources-tools/resources/cisa-open-source-software-security-roadmap

 

| | コメント (0)

2023年9月12日 (火曜日)

Europol:サイバー金融犯罪に関する報告書

下記のとおり公表されている。

 New Europol report shines light on multi-billion euro underground criminal economy
 Europol: 11 September, 2023
 https://www.europol.europa.eu/media-press/newsroom/news/new-europol-report-shines-light-multi-billion-euro-underground-criminal-economy

 

| | コメント (0)

2023年9月11日 (月曜日)

国際的謀略のための兵器としてのAI

下記の記事が出ている。

 China Unleashes AI-Powered Image Generation For Influence Operations
 infosecurity: 8 September, 2023
 https://www.infosecurity-magazine.com/news/china-ai-image-generation/

 

| | コメント (0)

2023年9月10日 (日曜日)

AIによる著作権侵害問題

下記の記事が出ている。

 Microsoft offers legal protection for AI copyright infringement challenges
 ars technica: September 9, 2023
 https://arstechnica.com/information-technology/2023/09/microsoft-offers-legal-protection-for-ai-copyright-infringement-challenges/

 

| | コメント (0)

2023年9月 5日 (火曜日)

人類の祖先に関する新しい学説

下記の記事が出ている。

 New analysis suggests human ancestors nearly died out
 ars technica: September 2, 2023
 https://arstechnica.com/science/2023/09/did-our-ancestors-become-an-endangered-species-a-million-years-ago/

 

| | コメント (0)

2023年8月31日 (木曜日)

EU:AI法案の現況

EUの公式サイトではまだ成立の扱いにはなっておらず,審議過程(三者協議)の中にあるものとして理解されている。

日本国の国家とEUの欧州議会とは性質・構造が基本的に異なる統治機関なので,EUの欧州議会が議決すれば直ちに法案が法令として成立するわけではない。このことは,日本国の社会科の教科書レベルの知識だけでは理解できないかもしれないが,国立国会図書館の中に比較的詳しい解説があるので,それを読めば一応のアウトラインを会得できる部分はある(←ただし,訳語の選択には注意を要する)。

各国政府の主要関連機関や大学内の関連研究機関等では,既にAI法が採択され,適用された後の影響について様々な角度の検討がなされており,既に幾つかの関連コンテントが公表されている。例えば,下記のようなコンテントが公表されている。

 Analyzing the European Union AI Act: What Works, What Needs Improvement
 Stanford University HAI; July 21, 2023
 https://hai.stanford.edu/news/analyzing-european-union-ai-act-what-works-what-needs-improvement

 

 

| | コメント (0)

米国:大麻の法規制の緩和をめぐる動向

下記の記事が出ている。

 Federal health agency recommends easing marijuana restrictions
 Washington Post: August 30, 2023
 https://www.washingtonpost.com/health/2023/08/30/hhs-recommends-marijuana-reclassified/

 

| | コメント (0)

より以前の記事一覧