合成偽音声による模倣的行為
事案によるが,刑法に定める業務妨害罪で対処可能な事案が少なくないと考えられる。
ただし,正当な理由なく他者の経済的利益や社会的名誉を奪う場合またはそれらの利益を毀損するような場合,(AIと称する音声や画像の人工合成の仕組みを利用する場合を含め)「ものまね」の行為が一般的に違法行為であるという認識を十分に普及させないと,反感をかうかもしれない。
なお,冗談や悪ふざけのような行為であり,(犯罪構成要件の一部である故意に関して最高裁判例のような見解や検察庁の実務上の見解ではなくもっと厳格な法解釈論上の立場をとった上で)業務妨害罪の故意の該当性を認めない見解に立脚するとしても,事案により,刑法に定める侮辱罪や名誉棄損罪を構成することはあり得る。
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既存の映画作品等について,正当な理由なく,日本人の俳優による音声部分を合成音声に置き換える行為,または,正当な理由なく,外国語による音声部分のふき替え(アフレコ)の音声を合成音声に置き換える行為は,著作権法に定める同一性保持権または翻案権の侵害行為を構成し得る。
文字情報としての映画作品の字幕等に関しても,正当な理由なく置き換える行為は,著作権法に定める同一性保持権または翻案権の侵害行為を構成し得る。
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