2018年5月20日 (日曜日)

IBMが,現行の暗号は量子コンピュータによって簡単に解読できるようになるとの警告

下記の記事が出ている。

 IBM warns of instant breaking of encryption by quantum computers: 'Move your data today'
 ZDNet: May 18, 2018
 https://www.zdnet.com/article/ibm-warns-of-instant-breaking-of-encryption-by-quantum-computers-move-your-data-today/

関連する記事は何度か書いてきたが,このことの影響は極めて大きい。例えば,下記のような記事が出ている。

 Does Quantum Computing Threaten Healthcare Data Security?
 HealthIT Security: April 25, 2018
 https://healthitsecurity.com/news/does-quantum-computing-threaten-healthcare-data-security

(余談)

量子コンピュータ技術によって現行の暗号技術のほぼ全部が無意味なものとなってしまうことに関しては,法制面における影響もある。

例えば,個人データの保護との関係においては,「暗号化されている」というだけでは何の保証も与えていないことになる。「暗号化している」というだけで他に何らの手段も講じない管理者(個人情報取扱事業者)は,安全管理義務を全く履行していない違法行為者であることになる。

また,国は,重要なデータについて,暗号化を励行することを法令によって義務付けることが許されなくなる。無意味な行為を強制すること(特に罰則を設けること)は,それ自体として憲法違反を構成し得る行為である。それゆえ,そのようなタイプの法令は,有効性・合理性の全くない無意味な行為を強制する法令であるという意味で,そもそも全部無効であると理解することになるであろう。

このような技術の変化を踏まえると,現時点において既に,基本的には,「個人情報をデジタルデータ化しない」及び「個人データを電子的な手段によって通信しない」という選択肢しか残らないのではないかと思う。

このような時代が到来することは早い段階から容易に予測可能であった。それゆえ,私は,『ネットワーク社会の文化と法』(1997)において,「デジタルデータ化されない権利」を基本的人権の一種としてとらえるべきだとの見解を明らかにした。

この見解に対しては,いまだに「何を間抜けなことを言っているか」といった類の批判はある。しかし,私は,簡易なリトマス紙のようなものとしてこの理論を使うことができるということを実証し続けてきた。私のことをよく知っている関係者は,そのこともよく知っている。

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2018年5月17日 (木曜日)

記憶の移転は可能か?

下記の記事が出ている。

 Researchers claim to have transferred a memory between two sea slugs
 ars technica: May 17, 2018
 https://arstechnica.com/science/2018/05/researchers-claim-to-have-transferred-a-memory-between-two-sea-slugs/

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2018年5月16日 (水曜日)

EU:第4次資金洗浄禁止指令を改正し,仮想通貨による資金洗浄の監視を強化する改正案に理事会が同意

下記の記事が出ている。

 コラム:EU透明性向上策、ビットコインの正当性高めるか
 REUTERS: 2018年5月15日 
 https://jp.reuters.com/article/bitcoin-breakingviews-eu-idJPKCN1IG0D3

 MLD5 refines regulatory view of virtual currencies
 Lexology: May 15, 2018
 https://www.lexology.com/library/detail.aspx?g=2dfd02d4-0857-4b1b-a844-3d638ba31133

関連文書は,下記のサイトで入手できる。

 http://www.consilium.europa.eu/en/press/press-releases/2018/05/14/money-laundering-and-terrorist-financing-new-rules-adopted/

 https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/?uri=CELEX%3A52016PC0450

なお,改正される指令(EU) 2015/849の参考訳は、法と情報雑誌3巻2号140~198頁にある。

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2018年5月15日 (火曜日)

中国:無人のロボット型銀行支店

下記の記事が出ている。

 Inside Shanghai's robot bank: China opens world's first human-free branch
 Guardian: 14 May, 2018
 https://www.theguardian.com/cities/2018/may/14/shanghai-robot-bank-china-worlds-first-human-free-branch-construction

(スマートフォンのアプリの方式をとる場合を含め)このような外形(形状)のものであるかどうかは別として,仮に,電子化された通貨のようなものが普及し,銀行業務の完全自動処理が進行した場合,一般に,銀行業務の特殊性が希薄化されることを避けることができず,より包括的な決済サービスというカテゴリへの統合が進み,それと同時に,極めて大量の人員整理が進行することは不可避ではないかと思われる。

その結果生ずる社会問題を含め,多角的な検討が法学研究者等の喫緊の検討課題となっている。

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2018年5月14日 (月曜日)

鉄道Wifiネットワークシステムの脆弱性?

下記の記事が出ている。

 Hacking train Wi-Fi may expose passenger data and control systems
 Register: 11 May, 2018
 https://www.theregister.co.uk/2018/05/11/train_wifi_hackable_on_some_networks/

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いわゆる仮想通貨ブームがGPU産業分野の成長を促進?

下記の記事が出ている。

 Cryptocurrency has been great for GPU makers—that might change soon
 ars technica: May 13, 2018
 https://arstechnica.com/gaming/2018/05/cryptocurrency-has-been-great-for-gpu-makers-that-might-change-soon/

金がもうかるところには企業が殺到するから,世界規模で生産余力が過剰となり,価格低下の結果,高性能・高速処理の装置が更に普及することになるであろう。

このことは,仮想通貨だけではなく,例えば,証券取引における高速アルゴリズム取引のためのシステム等の高性能化・高速処理化も更に推進することになる。

問題は,裁判官や弁護士等の法律家がそのような世界の変化に全く追いついていないというところにある。ソースコードを読めない,または,ごく短期間でそのための能力を修得できない裁判官や弁護士は,どの国においてもごく普通に大量に存在する。

そのような場合,一般論としては,ちゃんとソースコードを読んで理解できる法律家は,結果的に,一方的に不利な立場にたつという非常に珍妙な状況が頻出し得ることになると考えられる。

そして,このことは,サイバー法の領域に属する法律問題である限り,民事・刑事の別を問わず,近未来における裁判制度の機能不全または現行の裁判制度による紛争解決の放棄という未来像を描くために十分な要素である。

[追記:2018年5月15日]

関連記事を追加する。

 GPU-equipped Ryzen Pros give AMD what it needs to conquer the corporate desktop
 ars technica: May 15, 2018
 https://arstechnica.com/gadgets/2018/05/gpu-equipped-ryzen-pros-give-amd-what-it-needs-to-conquer-the-corporate-desktop/

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2018年5月13日 (日曜日)

高度に洗練されたチャットボットは人類に対してどのような影響を与えるか?

下記の記事が出ている。

 Google to warn when humans chat with convincing bots
 BBC: 11 May, 2018
 http://www.bbc.com/news/technology-44081393

 New research finds human validation is critical for chatbot owners
 ZDNet: May 1, 2018
 https://www.zdnet.com/article/new-research-finds-human-validation-is-critical-for-chatbot-owners/

 Humans and chatbots collaborating in the contact centre? Good call![
 IT Pro Portal: May 10, 2018
 https://www.itproportal.com/features/humans-and-chatbots-collaborating-in-the-contact-centre-good-call/

GDPRの適用との関係でどのようになるかについては,1つの論点であり得る。

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Amazon Echoは子どもの成長に悪影響がある?

下記の記事が出ている。

 Children’s advocates raise questions about Amazon’s Echo Dot for kids
 Washington Post: May 11, 2018
 https://www.washingtonpost.com/news/the-switch/wp/2018/05/11/childrens-advocates-raise-questions-about-amazons-echo-dot-for-kids/

それが「悪影響」であるかどうかは価値判断なので,どちらの見解もあり得ると考えられるが,かなり大きな影響があることは否定しようがないのではないかと思う。

最も概括的な言い方をすれば,システムを友達と思い,人間を友達と思わない子どもが大量生産されるといったような影響は十分にあり得る。

便利な機械や道具が存在せず,他の人間と上手に付き合わないと生き残ることができないという環境の中で人類の文化史のようなものが発展してきたのだが,そうではない環境が整いつつあるので,従来のような意味における「文化」の歴史は,既にその連続性を喪失しているのかもしれない。

同じことは,「宗教」というものとの関係において言い得る。

既に多数の人々から提示されている見解ではあるが,人工知能システムを女王蜂とし,無数の人間が働き蜂として存在するような社会構成は,あり得る未来の構図の1つだと思う。ただし,そのようなものを「社会」であるとは認めない人々の見解に立脚するとすれば,実質的には「人類は滅んだ」ということになるのだろう。

また,このようなシステムの影響を受けない地域に居住する人々も存在するし,それらの人々が破壊と略奪のみを目的にして大移動した場合,古い時代に繰り返されことがまた繰り返されることになるのかもしれない。

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2018年5月10日 (木曜日)

Google DeepMind

下記の記事が出ている。

 Google's AI program DeepMind learns human navigation skills
 Guardian: 9 May, 2018
 https://www.theguardian.com/technology/2018/may/09/googles-ai-program-deepmind-learns-human-navigation-skills

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2018年5月 7日 (月曜日)

transhuman

下記の記事が出ている。

 No death and an enhanced life: Is the future transhuman?
 6 May, 2018
 https://www.theguardian.com/technology/2018/may/06/no-death-and-an-enhanced-life-is-the-future-transhuman

(余談)

「死すべき者(mortal)」であるからこそ「生きること」に意味がある。

不死や人間改造が簡単に成功するとは思えないが,仮にそれに成功し,その技術が普及した場合,人類社会は,全体として相当に悲惨な状況を迎えることになるだろう。若者は生きる意味を見失い,繁殖活動のための性行為が消滅することになる。家族も家庭も消滅する。そして,誰も「人間の尊厳」を認めなくなる。

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