教育分野において生成AIを導入するという動きが盛んになっているようだ。
しかし,そのような技術によって金設けをしようとするDX事業者の欲望が本質を見誤らせている。
例えば,教員用に開発されたシステムが自動的に学習して生成した様々なモデルは,たぶん,受験生や学生の自習用に開発されたGPTシステムに反映されることになる。
そのような場合,自習用のGPTシステムは,教員が予定している指導内容や予定している成績評価の内容を既に知っている可能性があり,あるいは,非常に効率的に予測してしまう可能性がある。
極論すると,専ら学校における定期試験の際に悪用されるためにのみ学生向けのシステムが存在するようになるということがあり得るのだが,そのような学生の行動は,無論,定期試験の公正かつ公平かつ適正な実施を妨げる危険性のある業務妨害罪を構成する行為なので,そのような犯罪行為に使用されるためのシステムを提供している事業者等も幇助犯または共謀共同正犯として,所定の刑に服するべきことになる。加えて,そのようなシステムを販売または提供するための営業活動は,業務妨害罪の教唆犯を構成することがあり得る。
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一般に,教育(education)と訓練(training)の違いを理解する能力を欠いている者にとっては私が何を言っているのか全く理解できないだろうし,たぶん,そのようなシステムを開発しているエンジニアの中でその違いを認識・理解できている者は皆無または僅少だろうと思われる。
しかし,教育と訓練とは異なるものだ。学校教育と職業訓練も異なるものだ。
学校教育の中でも大学院等における学術研究の指導は,一般的な学校教育とは相当に異なるものだが,職業訓練ではないという意味ではやはり訓練ではない。ただし,学術研究の本質を知らず,学術研究の能力がない教員が指導教員であるときは,どのように指導してよいかわからず,機械的な訓練だけ実施して大学院教育を適正に実施したことにしているというような場合が全くないとは言えない。
訓練する能力しかないために教育と訓練とを区別できない者を標準的だと考えるべきではない。
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また,現在の世界に存在している知識の内容のかなりの部分は間違いなので,そのようなものを学習させた生成AIシステムを基盤として教育用システムを構築しても,間違いかどうかを判断しようとする意欲さえ生じない「脳味噌からっぽ」な若者を大量生産するだけで終わることになるだろう。
要するに,世界の中で,正しい知識は完備しているどころかほとんどないので「誰でもみんな無知」という当たり前のことを理解すべきだ・・・と言い続けても,理解しようとしない自信過剰過ぎるエンジニアが多すぎる。彼らは,そんなに遠くない将来,当該金儲けを企んでいる企業経営者にとっては用済みのものになってしまって解雇されてしまうことだろうが,そのときになるまで自分の愚かさに気づくことはないのだろう。
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かつて,アルビン・トフラーが予測したとおり,情報技術の発展によって世界全体が加速化しているのであり,エンジニアの陳腐化があっという間にやってくる時代となってしまった。
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このように私が主張しても,金儲けの欲望を遮ることなどできないので,そのような金儲けの欲望に支配された亡者達によって人類社会は滅ぼされることになる。
人類社会が亡び,社会の中の秩序がなくなると,単純に暴力が支配するようになる。そして,そのような社会にしてしまった金儲けの亡者らは,例外なく,復讐のための暴力によってなぶり殺しにされることだろうと予測される。
このことは,これまでも何度も述べてきたことだ。
AIは教育現場を良い方向に向かわせるか?
http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2024/08/post-11fc42.html
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