2018年5月 1日 (火曜日)

EUと米国間のプライバシーシールドに実効性はあるか?

Facebookと関連する訴訟事件をめぐり,様々な議論があるようだ。下記の記事が出ている。

 Facebook is trying to block Schrems II privacy referral to EU top court
 Tech Crunch: April 30, 2018
 https://techcrunch.com/2018/04/30/facebook-is-trying-to-block-schrems-ii-privacy-referral-to-eu-top-court/

 Facebook bids to keep data privacy case from EU's top court
 REUTERS: April 30, 2018
 https://www.reuters.com/article/us-facebook-privacy-ireland/facebook-bids-to-keep-data-privacy-case-from-eus-top-court-idUSKBN1I11EY

 Forget Congress. Facebook’s real problem is in Europe.
 Washington Post: April 12, 2018
 https://www.washingtonpost.com/news/monkey-cage/wp/2018/04/12/forget-congress-facebooks-real-problem-is-in-europe/

[追記:2018年5月3日]

関連記事を追加する。

 Facebook Just Lost Its Latest Battle in a Crucial Privacy Case Heading to Europe's Top Court
 Fortune: May 2, 2018
 http://fortune.com/2018/05/02/facebook-privacy-case-europe-max-schrems/

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2018年4月29日 (日曜日)

英国:Investigatory Powers ActはEUの個人データ保護法令に違反するとの判断

下記の記事が出ている。

 UK has six months to rewrite snooper's charter, high court rules
 Guardian: 27 April, 2018
 https://www.theguardian.com/technology/2018/apr/27/snoopers-charter-investigatory-powers-act-rewrite-high-court-rules

 High Court gives UK.gov six months to make the Snooper's Charter lawful
 Register: 27 April, 2018
 https://www.theregister.co.uk/2018/04/27/high_court_ip_act_unlawful_november_deadline/

(余談)

この判断が正しいと仮定した場合,例えば,日本国の捜査実務に関し,EUの個人データ保護法令との適合性を検討しなければならない場面において,この判断を無視できないと判断するのが妥当だろう。

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2018年4月13日 (金曜日)

SOFTIC:判例ゼミ2018

SOFTICにおいて,下記のとおり,一般向けセミナーが開催される。

 SOFTIC:判例ゼミ2018
 http://www.softic.or.jp/semi/index.html

SOFTICの関係の諸先生方とはかねて(公私にわたり)交際があるので,講師陣の質が非常に高いということを保証できる。

ただし,過日,SOFTICで講演をした際には,椙山敬士先生から飲みに誘われていたのだが,たまたま多忙のためお断りするという失礼をしたままになっている。そのお詫びのしるしに,いずれ,こちらからお誘いしようかと思っている。

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訴訟上の和解等と消費税

先日開催された法と情報研究会第2回公開研究会において,金子敏哉先生から損害賠償金の支払いを命ずる判決と消費税との関係に関連する研究報告があった。この問題は,基本的には,基本通達の解釈の問題に帰着するのだが,消費税を加算する場合,その計算のための基準日をどのように考えるかというかなり面倒な問題も含まれているとのことで,非常に勉強になった。

その前後に,別の機会にもこの問題について金子敏哉先生と意見交換を重ね,ますますもって興味をもっていたところなのだが,たまたま,弁護士として受任している某民事事件においてその問題と直面することになった。

普段考えたことのない問題について,少人数の研究会等において率直に意見交換することの重要性を痛感する。

では,この問題について,一般に,裁判官が真剣に考えているかというと,たぶん,担当している訴訟事件等の中で明示で問題にならない限り,あまり意識することがないのではないかと思う。

それは,裁判官の報酬よりも高額の印税収入があるらしいとの噂のある某判事のような特殊な例を除き,自分自身が事業者として消費税の納付をすべき義務を負う機会がないからだ。検察官でも同じだろう。これに対し,弁護士であれば,毎年,確定申告の際に消費税のことを考慮に入れなければならない。

裁判官は,法律解釈の専門家ではあるが,例えば,著作権判例百選事件やWinny事件にみられるように,下級審と上級審とで解釈が明確に分かれる事件がある。特に,著作権判例百選事件のように,申立人が著作権法の専門家であり,かつ,相手方にも著作権法を専門とする著名な弁護士がついており,かつ,潜在的な相手方の大半が著作権法研究者という事例においては,「法解釈って一体何なのだ?」という根本的な疑問を生じさせる部分がある。

この点と関連して,亀本洋先生は,「未来志向の法解釈」民商法雑誌154巻1号90頁に興味深いことを書いておられる。

私自身は,例えば,「利益衡量」も「プラグマティズム」も説明原理の一種に過ぎず,それ自体として「正義」とも「善」とも何の関係もないものであると理解しており,単に,裁判所にはその判断を強制する権力があるという政治学における実力説を基礎とするプラグマティックな態度を採用しているのだが,それにしても興味の尽きない問題ではある。これらの問題は,基本的に法哲学上の正義論とは無関係のもので,思弁や説明というカテゴリに属するものに過ぎないものだろうと理解しているので,私の立場で私なりの考察を更に深めたいと思う。大事なことは,「なぜ,それを強制し得るのか」という本質論を考えることだと思う。抽象的な「正義」の概念それ自体は,各人の思想の自由が認められている以上,誰も他人に対して自己の到達した定義的な理解を強制することができない。

いずれにしても,「どうでもよいようなこと」が,後になって,実は非常に大事なものであると気づかされるようなことは,現実に多々ある。

それゆえ,大学の受講学生には,「とにかく雑学の山を構築しなさい」と力説している。しかし,現実には,原典にあたって丁寧に読み,考えるという地道な「いとなみ」を継続できる学生は,やはり少ない。

しかし,そういう学生が1人でもいれば,私は,その学生のために,(その学生の受容能力を丁寧に観察しつつ,必要な調整を加えた上で)私がもっている全ての知的な資産を提供しようと思っている。

ただし,それは,受講学生だからそうしているので,そうでない者(特に大学外の組織)に対しては,「自分でやりなさい」という極めて普通の態度をとり続けている。「受講生ではない者」には,卒業生も含まれる。一人前の社会人として当然のことだと考える。

あくまでも一般論だが,裁判所からの命令または指示のような正当な法的根拠に基づく場合を除き,何ら礼を尽くすことなく,または,適正な対価を支払うことなく,知的な資産を「くれ」というだけの者は,要するに「ものごい」の一種であり,基本的人権の文脈における人間としては平等だが,私の思想信条の自由の範囲内にある品の評価における文脈の中では「下の下の下」に該当する者だと思っている。

ちなみに,公に「ものごい」をする行為は,法律上,違法行為とされている。更に,ものごいをすることさえなく「奪う行為」が別の意味で違法行為を構成し得ることは言うまでもない。

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2018年3月11日 (日曜日)

米国:いわゆる仮想通貨取引はcommodities取引に該当するとの判断

下記の記事が出ている。

 Virtual currencies are commodities, U.S. judge rules
 REUTERS: March 7, 2018
 https://www.reuters.com/article/us-usa-cftc-bitcoin/virtual-currencies-are-commodities-u-s-judge-rules-idUSKCN1GI32C

 Federal Judge Opens the Door to CFTC to Regulate Virtual Currency
 Law.com: March 7, 2018
 https://www.law.com/newyorklawjournal/2018/03/06/federal-judge-opens-the-door-to-cftc-to-regulate-virtual-currency/

(余談)

この判断が正しいと仮定し,かつ,全ての種類の「仮想通貨」に妥当すると仮定した場合,日本国の金融商品取引法の改正が必要になるのではないかと考えられる。

私見としては,標準的なブロックチェーン型の仮想通貨取引の場合,レガシーな商品デリバティブとは異なる構造をもっていると考える。

そして,取引形態にもよるが,中には,刑法上の詐欺罪または賭博罪に該当するものがあり得るということは既に述べたとおりだ。

これらは,いずれも,中央銀行が直接に支配・管理しない仮想通貨のことを述べている。将来的にみて,各国の中央銀行が電子的なトークンまたは決済手段を必要とする時が来ることは否定できない。そのような中央銀行が発行する電子的なトークンは額面どおりの強制通用力をもつが,それ以上の強制通用力をもたず,通常の外国為替取引のチャネルにおいてのみ交換されることになる。

[追記:2018年3月18日]

関連記事を追加する。

 CFTC Gives Notice Of Supplemental Authority Related To Virtual Currency
 ETH News: March 16, 2018
 https://www.ethnews.com/cftc-gives-notice-of-supplemental-authority-related-to-virtual-currency

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2018年3月 6日 (火曜日)

英国:Google Mapの適法性に関する議論

下記の記事が出ている。

 Guilty! How Google Maps judges Britain’s courts
 Guardian: 4 March, 2018
 https://www.theguardian.com/technology/shortcuts/2018/mar/04/guilty-uk-magistrates-courts-condemned-by-google-reviews

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2018年2月 5日 (月曜日)

Carpenter v. United States

下記の記事が出ている。

 Why cops won’t need a warrant to pull the data off your autonomous car
 ars technica: February 3, 2018
 https://arstechnica.com/tech-policy/2018/02/why-self-driving-cars-may-be-heaven-for-investigating-crimes-and-accidents/

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2018年1月23日 (火曜日)

英国:多数のゾンビマシンを用いてDDoS攻撃を行っていた21歳の者が有罪の答弁をし,拘禁刑2年

下記の記事が出ている。

 Hacker jailed for DDoS attacks against Skype and Google
 ZDNet: January 22, 2018
 http://www.zdnet.com/article/hacker-jailed-for-ddos-attacks-against-pokemon-skype-and-google/

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2017年11月13日 (月曜日)

裁判所の電子化

名古屋大学で開催された情報ネットワーク法学会のパネルセッションでは,笠原先生及び町村先生らによる裁判所の電子化に関するものを傍聴した。

長かったと思う。精力的に調査と研究を尽くしたのに,ことこの分野に関する限り10年以上も塩漬け状態にされてしまった笠原先生及び町村先生は,本当に御気の毒だったと思う(そのようになってしまった原因については推測可能な要素を幾つか思い浮かべることができるけれども,推測に過ぎないので,具体的な言及を控える。)。ほんのわずかとはいえ,現実の法制の整備の動きにつながってきたことになるので,その苦心がやっと報われたということになるのだろう。

このような法制整備の動きを受け,私も,あくまでも私的に,関連するEU及びEFTAの法制を全訳し,法と情報雑誌で公表し,関連各方面に配布した。

日本国の国情及び関連団体の財政負担能力,更には,実務法曹界における深刻なイデオロギー対立等を併せ考えると,そう簡単にものごとが動くとは思われないが,それでも,陰ながら,この私も自分のできることを尽し,今後も笠原先生や町村先生のお仕事を支援しようと思う。

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丸橋透「カナダ=欧州連合PNR協定案関連資料集」

名古屋大学で開催された情報ネットワーク法学会の個別報告において,丸橋先生によるPNR関連の研究報告があり,「カナダ=欧州連合PNR協定案関連資料集」という冊子が配布された。

これは,法と情報雑誌に掲載された翻訳を集めたもので,誤記訂正等が施された版だ。

PNR関連の邦文の研究資料の中で,現時点において,この丸橋先生の資料よりも優れたものは存在しないので,非常に高い価値があると思う。

その価値を直観的に認識できるか否かは,その認識者の知能の程度またはまじめに法学研究に従事しているか否かを計測するための明確な尺度になり得ると思った。

研究報告の内容は,素材としてEUのデータ保持指令もとりあげ,その対比の中でデータ保護(個人情報保護)のための最もコアな部分についての検討結果が示された。比較法研究の成果としても比類のないもので,秀逸だと思う。

ただ,憲法学者や行政法学者等を含め,日本の法律家の中で著しく不勉強な者には,丸橋先生の研究がいかに優れており日本国にとっても重要なものであるかを理解することができない。その価値がわからないのであれば,あるいは,その価値を理解した上で悔しいと思うのであれば,無我夢中で勉強すれば良いだけだと思うのだが,そのような法律家の中にはそもそも勉強する気力または能力が欠けていることもある。もし勉強する能力がないのであれば,潔く大学を去るべきだと思う。

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