2017年2月 9日 (木曜日)

鈴木 滋「米国自由法―米国における通信監視活動と人権への配慮―」など

下記の論説を読んだ。とても勉強になった。

 米国自由法―米国における通信監視活動と人権への配慮―
 国立国会図書館調査及び立法考査局
 海外立法情報課長 鈴木 滋
 外国の立法267号6~17頁 (2016)
 http://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_9914660_po_02670003.pdf?contentNo=1

 【アメリカ】情報自由法(FOIA)の改正案
 海外立法情報課長  鈴木 滋
 外国の立法267-1号2~3頁 (2016)
 http://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_9929053_po_02670101.pdf?contentNo=1

スノーデン事件が法制度及びその運用に対して与えた影響に関して正面から書いている学術論文はそんなに多くない。貴重だと思う。

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2017年2月 2日 (木曜日)

松原有里「親子会社間IT(情報通信)サービス取引をめぐるクロスボーダーな消費課税と欧州VAT指令(2006/112/EC)の関係-Skandia America (USA)事件(Case C-7/13)を中心として-」

下記の論説を読んだ。

 松原有里
 親子会社間IT(情報通信)サービス取引をめぐるクロスボーダーな消費課税と欧州VAT指令(2006/112/EC)の関係-Skandia America (USA)事件(Case C-7/13)を中心として-
 EU法研究2号87~110頁(2016)

EUのVATについては,日本語の良い文献資料が乏しく,その関連の事項を調べていて苦心したことがある。

この論文は,副題にあるSkandia事件判決とCredit Lyonnais事件判決を素材としつつ,EUの法令中にしばしば出てくる「主たる拠点」の確定方法に関し,非常にわかりやすい図を交えながら詳細な検討を加え,問題点とその社会・経済的な背景にまで言及するもので,学術論文としての有用性が著しく高い。

とても勉強になった。

この論説に書かれていることを参考にしながら,更に勉強しようと思う。

(余談)

松原氏の論説では,司法裁判所の「Advocate General(AG)」の従来の訳語「法務官」を用いている。

「法務官」で間違いとは言いにくいが,どうもしっくりこない。なぜなら,日本語としての「法務官」は,刑事司法を担当する刑事法務当局(Judicial authorities)のことを意味する語と解するのが普通だからだ。しかし,司法裁判所のAGは,法務当局とは無関係の独立した存在であり,かつ,訴追官でも論告官でもない。

法と情報雑誌2巻1号(通巻7号)に掲載の丸橋透先生の論考にもあるとおり,司法裁判所規則の条項に定めているAGの職務・権限・責任を完全に踏まえて,「独立弁論官」とするのが妥当と考える。

私自身は,司法裁判所のAGについて,「独立弁論官」という訳語を用いることにする。

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2017年1月31日 (火曜日)

Linnet Taylor, Luciano Floridi & Bart van der Sloot (Eds.), Group Privacy: New Challenges of Data Technologies

下記の書籍が届いたので,仕事を中断してざっと読んだ。

 Linnet Taylor, Luciano Floridi & Bart van der Sloot (Eds.)
 Group Privacy: New Challenges of Data Technologies
 Springer (2017)
 ISBN-13: 978-3319466064
  http://www.springer.com/us/book/9783319466064

問題意識は,従前から指摘されてきたもので,『電子商取引法』(勁草書房)の第3章(分担執筆)で既に指摘しているものだ。すなわち,「個人」の本質にかかわる問題を取扱っている。

それだけであれば特に目新しいものではないのだが,現実の問題としてどのような場面において従来のような単純な個人データ保護のアプローチでは失敗してしまうのかについて,主として欧州における状況を前提とした上で,具体例としてはビッグデータにおける要素解析を中心にとりあげながら,多角的に検討しており,勉強になる。

Floridiの分担執筆部分では,一般的な定式化を試みた上で,一般データ保護規則GDPRの適用のための解釈論としての試みが展開されており,非常に興味深い。私個人としては,GDPRの解釈論もさることながら,理事会決定2009/936/JHA及び理事会決定2009/936/JHAの問題点をより深く認識するために役立った。

また,本書では参考文献等の記載が充実しており,更に深く研究したいと考えている研究者にとってはレファレンスとしての有用性の高い書籍となっていると思う。

個人データやプライバシーと関連する分野の研究者であれば,一度は目を通しておくべき書籍だと評価することができる。

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消費者庁:三菱自動車工業株式会社に対する景品表示法に基づく措置命令及び課徴金納付命令並びに日産自動車株式会社に対する景品表示法に基づく措置命令

消費者庁のサイトで,下記のとおり公示されている。

 三菱自動車工業株式会社に対する景品表示法に基づく措置命令及び課徴金納付命令並びに日産自動車株式会社に対する景品表示法に基づく措置命令について
 消費者庁:2017年1月27日
 http://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/pdf/170127premiums_1.pdf

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2017年1月19日 (木曜日)

関東経済産業局:株式会社たんぽぽに対し、電話勧誘販売に関する業務の一部(新規勧誘、申込受付及び契約締結)の停止命令

下記のとおり公示されている。

 特定商取引法違反の電話勧誘販売業者に対する業務停止命令(6か月)及び指示について
 関東経済産業局:平成29年1月18日
 http://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_transaction/release/pdf/170118kouhyou_1.pdf

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autonomous

昨日,来日中のザールラント大学のボルゲス教授と意見交換をした。

 http://www.uni-saarland.de/lehrstuhl/borges/borges.html

昨年の情報ネットワーク法学会でその講演を聴講し,ドイツでの立法動向について質問したのだが,重ねて同じ質問をしてみたところ,やはり全く変わりがないとのことだった。

それと関連していろいろと意見交換をした。結局は,「autonomous」ということを理解していない,または,理解しようとしない法学者や議員が多いというあたりにその原因があるのではないかという点で意見の一致をみた。

「autonomous」については,先日採択された欧州議会の報告書でも明確に書かれていることで,読めば誰にでも理解できるはずなのだが・・・

それはさておき,ボルゲス先生との意見交換のテーマは多岐にわたり,非常に意義深い会談だった。

私がドイツ語会話に堪能であればもっとつっこんだ議論ができたかもしれない。しかし,たどたどしい英語会話しかできないし,発音はまるきりでたらめなので,ボルゲス先生は聴き取るのに苦労したのではないかと思う(笑)

「autonomous」が法学理論に与える影響に関しては,私なりの考えをもっている。

考えた結果を小さな論文にまとめた。再校を終えたので,2月か3月には刊行されるのではないかと思う。

なお,関連する記事として,下記の記事が出ている。

 Modern warfare: Death-dealing drones and ... illegal parking?
 CIO: January 18, 2017
 http://www.cio.com/article/3158835/robots/modern-warfare-death-dealing-drones-and-illegal-parking.html

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2017年1月18日 (水曜日)

ロボットに法人格を与えることは非常に危険な考え方だとの見解

下記の記事が出ている。

 Giving rights to robots is a dangerous idea
 Guardian: 18 January, 2017
 https://www.theguardian.com/technology/2017/jan/16/giving-rights-to-robots-is-a-dangerous-idea

(余談)

法学部の「サイバー法」の2016年度秋期の授業では,ロボットに法人格を与えることのできる可能性及びその問題点について説明する講義を何度か試みた。

その最終回では,現在のクラウドとネットワーク型AIとではどのような点が同じでどのような点が異なるのかについても説明した。

なかなか面倒な問題なのだが,結局は,「人間至上主義」を捨てることができるか否かによって態度決定が異なることになり,しかも,ユダヤ教またはキリスト教を信じるか否かで相当異なる思考経路をたどることになるというのが私の見解だ。

信教の自由は保障されなければならないので,結局,議論が収束することはあり得ない。その間に,人工知能は着々と支配権を広げることになる。

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2017年1月14日 (土曜日)

米国:バージニア州の小規模ISP排除法案?

下記の記事が出ている。

 Virginia “Broadband Deployment Act” would kill municipal broadband deployment
 ars technica: January 14, 2017
 http://arstechnica.com/tech-policy/2017/01/virginia-broadband-deployment-act-would-kill-municipal-broadband-deployment/

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2017年1月13日 (金曜日)

EU:人工知能ロボットの法主体性と人権-欧州議会が報告書案を採択

下記の記事が出ている。

 Give robots 'personhood' status, EU committee argues
 Guardian: 12 Hanuary, 2017
 https://www.theguardian.com/technology/2017/jan/12/give-robots-personhood-status-eu-committee-argues

報告書案は,下記のところにある。

 Draft Report with recommendations to the Commission on Civil Law Rules on Robotics
 http://www.europarl.europa.eu/sides/getDoc.do?pubRef=-//EP//NONSGML%2BCOMPARL%2BPE-582.443%2B01%2BDOC%2BPDF%2BV0//EN

(余談)

自律型ロボットに対して法人格を与えるという研究論文は既に幾つか存在している。

一応,全部収集して読んでいる。

日本法に則していうと,「法人」の一種として法主体性を認めるということになるのだろう。

その場合問題となるのは,他の法人との人格の競合の問題だ。

とりわけ,ネットワーク型の人工知能システムの場合にはそうで,「override」の問題が無数に生ずることになる。

しかし,従来の日本の古典的な民法学や商法学においては,法人論それ自体としては,人間が組織し運営する法人のみを対象する研究しかなされてこなかったため,いずれも無力だと断定できる。

私が1997年に刊行した『ネットワーク社会の文化と法』の中において主張している「処理主義」の理論に基づいて考察するのがベターである。

なお,一般に,この分野における学術研究は,サイバー法及び情報法の研究者によって行われるべきであるが,その必須の前提として,その研究をする者は,法哲学,民法解釈学,会社法解釈学,民事訴訟法解釈学及び民事執行法解釈学の全てに精通していることを要する。

単なる思い付きだけで空想的な理論体系を構築することは非常に危険なことだ。

[追記:2017年1月14日]

関連記事を追加する。

 MEPs vote on robots' legal status - and if a kill switch is required
 BBC: 12 January, 2017
 http://www.bbc.com/news/technology-38583360

 Robots need rights, and kill switches too, warn politicians
 ZDNet: January 13, 2017
 http://www.zdnet.com/article/robots-need-rights-and-kill-switches-too-warn-politicians/

日本国の総務省でも検討が進められているが,「kill switch」を「must」のものとして実装することを要件とする内容とせざるを得ないだろうと思う。

しかし,完全に自律型のロボットの世界では,「kill switch」はまるで無意味だ。

自律学習によって「kill」の方法を学んでしまうと,自律型ロボットが「kill switch」の「kill switch」を自動生成して自己実装してしまうことになるからだ。

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2017年1月12日 (木曜日)

消費者庁「食品のインターネット販売における情報提供の在り方懇談会報告書」

消費者庁のサイトで,下記の資料が公開されている。

 食品のインターネット販売における情報提供の在り方懇談会報告書
 消費者庁:平成28年12月13日
 http://www.caa.go.jp/adjustments/pdf/adjustments_index_8_170111_0009.pdf

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