« 名誉欲 | トップページ | ディープフェイクはKYCを破る »

2026年1月10日 (土曜日)

全ての人々が働かない未来は決して来ない

それは,極めて簡単な理屈による。

もし物的な充足が幸福だとすれば,物的な充足を満たすたけの十分な資源が地球上には存在しないことが明らかなので,働かなくても公平に分配される社会は決して到来しない。

もし精神的な欲望の充足が幸福だとすれば,例えば,「世界で一番」という自負心の充足は世界中でたった1人の者にしか認められず,残りの人類全部は敗北者となることが明らかなので,この意味においても,働かなくても公平に精神的な欲望の充足が実現される社会は決して到来しない。

そのような未来を到来させるためにAIを開発しているのだと主張している彼らは,本音では,自分達と自分達の子孫だけが幸福になる未来を夢想している。
投資家や銀行家や政治家を含め,彼らの子孫ではない者には幸福になる資格がない。そのことが知られると,今後AI開発ができなくなるというだけはなく,暴動やテロによって彼らが生存できなくなってしまう危険性が高いため,AIによって世界中の政府と人々を支配し,神として君臨できる日が来るまでの間のものとして,ごまかしているのに過ぎない。
AIによる支配が確立されれば,リモートで電子化された兵器や武器を支配し,政治家や軍人や警察官を皆殺しにして,物理的にも支配してしまうことが可能となる・・・と考えているのに違いない。

もっとも,昨今の状況をみていると,こんな簡単なごかましや嘘に騙されてしまうくらい人類全体が白痴化していると言わざるを得ないので,素晴らしい未来が到来せず,絶望と荒廃しか待ち構えていなかったとしても,それは,そのような白痴化した人類の自業自得なのかもしれない。

そんな地獄よりも悲惨な未来よりも,労働し,苦労して小さな幸福を味わうことのできる現在の社会のほうがずっとまともなのだと思う。

「自分だけは例外」という根拠のない自信は捨てなければならない。

 

***

特定の家族だけが生き残り,残りの人間は全て死滅し,不足する労働力をAIとロボティクスが補完するという未来を想定した場合であっても,(生態学の一般的な理論を正しく習得できていれば即座に理解できるように)ごく少数のグループだけで特定の生物種の自然界における生存を確保することは不可能なことだ。特に,人類は,野生動物として必須の能力をはるかに超える能力を保持できていないと,人類種としては生存できない。

それら全てをAIが補完したとしても,必要な物資の供給全部をAIやロボティクスで代替することは不可能なことだし,全員を満足させることのできる計画経済などというものは成立不可能なので,現在のような物流と消費を前提とする市場は消滅する。市場が消滅すれば,交換価値も消滅するので,(暗号資産や債券等だけではなく,物質である資産であっても)ほぼ全ての資産の交換価値がゼロになり,世界中の資産家も自動的に消滅する。
非常に多数の労働者が世界中に存在し,正常に生活しているからこそごく少数の資産家という社会的立場にある者も成立可能だというあまりにも当然のことを理解できないとすれば,それは,全世界規模で全人類に関して進行中の白痴化の顕著な症状の一つであると言える。

そのようになる結果,現在の富裕層の子孫であるのかそうでないかの区別なく,生き残った人々を待ち構えている未来は,一律に,チャールトン・ヘストン等出演の映画『ソイレントグリーン』(1973年)の中で描かれているような未来であるのに違いない。

***

AIとロボティクスによって必要な物質やサービスの全てが提供されるようになるという未来を仮定する立場にたったとして,大概の人間がやるべきこととして残されていることはほとんどない。

性行為,麻薬,賭博,殺人・・・それらもすぐに飽きてしまうことになるだろう。

最終的には,生きることにも飽きることになる。

何しろ,そのような未来における人類は,AIとロボティクスの支配者なのではなく,AIとロボティクスによって自動制御されている巨大な檻の中で飼育されている原始的な野生動物の一種として扱われることになるからだ。

 

 

|

« 名誉欲 | トップページ | ディープフェイクはKYCを破る »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 名誉欲 | トップページ | ディープフェイクはKYCを破る »