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2025年4月14日 (月曜日)

弁護士業務終了

約30年間にわたり弁護士としても仕事をしてきた。

本業は明治大学法学部教授なのだが,様々な場面において業務として法律相談のような仕事をすることがあり,そのような業務を適法に遂行するためには弁護士法に基づいて弁護士登録をしていなければならないという信念に基づくものだ。大半の法学者はそのようには考えていないので,弁護士登録していない。

昨年,所属事務所の代表者である明石一秀弁護士が他界した。同弁護士は明治大学における法科大学院の設置において多大の貢献があっただけではなく,法学部における法曹育成教育にも極めて大きな貢献があった。無償の貢献であり,まさに利他の行為だったと言える。
その葬儀に出席した。関係各方面からの多数の花が飾られていたのだが,その中に明治大学の名はなく,非常に悲しい気分と虚しさを味わいながら僧侶の読経に合わせて私も心の中で読経し,故人とお別れをした。

代表者の死去に伴い所属事務所が消滅となったので,私も弁護士をやめることにした。ちょうど2026年3月末日をもって明治大学法学部教授の職を定年退職する。現在では,政府関係の仕事が一切ない。それゆえ,法律相談的な業務を遂行する必要もないと判断し,弁護士登録を継続する必要性も消滅したと判断した。

税務署関係の廃業の届出手続を済ませた後,所属弁護士会に弁護士バッチを返納すると同時に退会の手続をした。所属弁護士会からは2025年3月31日付けで弁護士登録取消の通知が到着しているので,法定の形式も満たしており,実質的にも形式的にも弁護士ではなくなった。

弁護士としての活動を通じて,弁護士及び弁護士会というものが一体どのようなものであるかを直接かつ仔細に観察し続け,必要に応じて記録化・文書化し,調査・検討の素材とすることを続けることができたことは,私の人生における非常に大きな収穫の一つだったと思っている。

***

明治大学法学部教授としての残り1年弱の日々の中で,書きかけのままになっている『艸』論文を完成したいと思い,必要な調査・資料収集と検討を続けてきた。

しかし,家庭内の事情(老母の介護)により,精神的にも体力的にも消耗する日々となっているため,たぶん,在職中に『艸』論文を完成することは無理だろうと思う。満70歳になる者に扶養義務や介護義務を与えるような法制は「人間の尊厳」に反する違憲なものなのだが,そのように主張しても最高裁が認めるはずがないので,残り少ない人生の日々を浪費するような無駄なことはせず,黙々と扶養義務と介護義務を履行している。

『艸』論文の続きの部分として現在予定している内容としても,(民法,知的財産法等を含め)関連諸分野の著名論文の多くを根拠のない虚しいものとして完全否定し,関連分野における通説の多くを破壊しながら全く異なる体系を構築するための論述を進めるものとしなければならないということが既に明らかになっており,そうでなければこの論文を完成できないと確信している。
そのため,もし在職中に完成・公表すると,法学部教授諸兄との間で感情的な軋轢が生ずる危険性もある。そのため,むしろ,退職後に完成・公表した方が良いと判断している。
私から批判を受けることになる法学者にしても,「あの人はもう大学教授じゃないただの趣味人だから」といって嘲るための十分な余裕を提供できることになるだろう。そのほうが世間における平和に資することにもなる。

あくまでも一般論として.世間における平和とは,その大部分が非常に低レベルの諸要素で構成されているので,本質的に高レベルの人間には到底耐えられるものではないことが多い。しかし,民主主義の社会においては,低レベルの者の方が常に多数派を構成するため,多数決原理により,高レベルの人間は,常に少数派となり,疎外される。

このことを(授業中に)説明するために,駄洒落として,麻雀における「平和」で説明したことがある。しかし,現在の学生の圧倒的多数は麻雀をしないので,何のことか意味が通じないだろうと推測されるため,現在ではそのような駄洒落で説明することをやめている。

そうではあるのだが,ガリレオのように,正しい信念に基づき頑固でいることは大事なことだと思う。
当時のバチカンから破門され,火あぶりの刑に処せられる危険性を十分に承知していても信念を貫くことは,普通の人にはできないことだ。
ガリレオは,高レベルな人間の一員なのだと思う。

明治大学を退職すれば,法人組織としての大学における様々な縛りも消滅する。

それでも,退職後においても,明治大学の建学の精神だけは尊重し,「権利自由、独立自治」を維持したいと思う。

明治大学法学部においては,私が退職した後においても,その構成員である教授諸兄の「権利自由、独立自治」が完全に守られ続けるべきだと考える。

あくまでも一般論としては,特定の政治思想等に基づく上命下服の組織的支配をめざすような勢力は,当然のことながら,「権利自由、独立自治」を圧殺することになるので,排除されなければならない。

 

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