知的財産を保護するための法制度がなくなる?
下記の記事が出ている。
ジャック・ドーシーが「すべての知的財産法を撤廃せよ」と発言してイーロン・マスクが同意
Gigazine:2025年4月14日
https://gigazine.net/news/20250414-jack-dorsey-delete-ip-law-elon-musk/
彼らは,トランプ政権が「アメリカ第一主義」を掲げて復活を推進している米国産業を破壊したいのだと思う。
それらの企業の中には,金融,製鉄,自動車製造,航空機製造,クラウドコンピューティング,ICTサービス,ハリウッドなどのエンターテイメント産業,情報セキュリティ産業を含む。
なぜなら,これらの産業は,特許権,意匠権,商標権,営業秘密,著作権,データベースの権利のような知的財産権を保護することなしには成立しないからだ。それらの知的財産権を廃止した場合,知的財産権が存在しなくなるので,権利侵害を理由とする訴訟により侵害行為に対抗することができなくなる。
例えば,中国は,損害賠償や刑罰を恐れることなく,米国企業の知的財産を無料でどんどん自由に使用できることになる。
そのような知的財産の中にはAI関連のデータセットやモデルも含まれるので,米国が何兆円もかけて構築したシステム,データセット,モデルなどがそのまま模倣されたとしても,(知的財産権制度が存在しないので)少なくとも知的財産権の侵害行為にはならないことになる。
ジャック・ドーシーは,「自分の利益だけは守られる。自分以外の者には権利はない」という超利己主義を基礎とする古代の独裁者的な思考をする遺伝子の持主なのではないかと想像される。
知的財産の国際的な移動では,物品の国際的な移動があるわけではないので関税が賦課されるわけでもない。
Amazon,Google,Microsoft,Apple,そして,巨大なデータベースをもつ大手AI企業は,真っ先に倒産するということになるかもしれない。
このような愚かな言説(←主張者が本当に知能の低い人間または完全に無知な人間である可能性は否定されないのだが・・・)が横行するのは,トランプのせいだ。
知的財産権は,物体ではない。そのような権利があると仮定して,相互に保護するという約束しか存在しない。もともと権利は存在しないものであり,その存在を仮定する約束とその約束の履行を確保するための法制度(国家権力)が存在するだけだ。このような考え方は,非常に古い時代から「名目説」として広く知られている。権利が存在しなくても,約束を守る国家が多数である限りは,権利が存在するのと同じ状態が現出することになる。
トランプは,国際法は存在しないということを誰の目にも明らかにした。古代ローマ帝国以来の「約束は守られるべし」との格言も全部反故にした。武力による制圧だけを基礎とする古代の独裁者的な君主と同じような発想しかできない。
かくして,自由貿易のための国際的な約束は消滅してしまい,そのような約束を基礎とする知的財産権保護のための約束(協定)も反故にされてしまった。
これらの者のせいで米国の産業界が全面的に崩壊した場合,無職となった者や無資産者となった者らから(恨みに起因する報復のために)雇われた仕事人によってジャック・ドーシーとイーロン・マスクがあの世に行く日が来るかもしれない。
そのようなリスクが顕在化しても,たぶん,トランプは,彼らを守ろうとはしないだろう。
なぜなら,トランプは,自己に欠点や失策があることを絶対に認めない遺伝子をもつ人間だからだ。その属性は,スターリンの属性というよりはポルポトの属性に近い。
かつて,トランプは,自分に大統領をやらせればウクライナの紛争をすぐに解決してみせると豪語していた。
しかし,いつまでたっても解決できない。プーチンよりも能力がかなり劣るので当たり前の帰結なのだが,そのようなことは絶対に認めない。
今では,戦争が終わらないのはセレンスキーのせいだと主張してウクライナを責めている。もっとも,プーチンからの指示・命令によりトランプがそのようにゼレンスキーを非難している可能性(茶番である可能性)は否定されない。
トランプは,憲法を守るための官僚制度と議会を破壊し,憲法による縛りを撤去した上で,古代の君主のようになりたいのだと思う。
その手本として,ロシアの憲法体制を破壊して終身の大統領になっているプーチンが存在している。
トランプは,「プーチンにできたことが自分にはできないということはおかしい」と考えているのに違いない。
[追記:2025年4月16日15:50]
関連記事を追加する。
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GIGAZINE:2025年4月16日
https://gigazine.net/news/20250416-how-doge-take-sensitive-nlrb-data/
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