Justice AV Solutions (JAVS)
下記の記事が出ている。
Courtroom Recording Platform JAVS Hijacked in Supply Chain Attack
DARK Reading: May 24, 2024
https://www.darkreading.com/cyberattacks-data-breaches/courtroom-recording-platform-javs-hijacked-for-supply-chain-attack
一般に,「justice」は「司法」と訳されることが多いが,日本国憲法の下における国家体制では「司法権」は最高裁及び下級裁判所のみに属するので,例えば,刑務所や拘置所のような法務省所管の刑事法務業務に関して「司法」との語を使用することは憲法違反となる。
他方において,諸外国においては,裁判所という国家機関は法務省に属する附属的な国家機関または国家組織であることが多く,独立しているのは「裁判官の地位(裁判権限)」のみであり,裁判官に対する俸給もそんなに高くないという事実を正しく認識しなければならない。それゆえ,裁判官は,他の職種の公務員と同様に裁判官労働組合を結成し,法務省当局と俸給の額等について団体交渉する。
世界裁判官会議は,そのような意味での各国の裁判官労働組合の代表者によって構成される世界的組織という位置づけとなっている。
ただし,日本国憲法の下における国家体制では,日本国の裁判官は,(日本国憲法の関連条項を改正しない限り)世界各国の裁判官とはかなり異なる態様のものとして存在しなければならない憲法上の義務がある。
要するに,高校の社会科科目や大学の法学科目で教えているような司法,裁判所及び裁判官の概念は,日本国の国家体制下においてのみ通用するかなり特殊なものであり,世界的にはほとんど通用しない可能性が高いということを理解しなければならない。
以上の諸点から,私は,以前は「justice」を「司法」と訳したこともあるが,現在では「justice」を「法務」と訳すことにしており,EUの主要な法令の参考訳の解説中でも必要に応じてその旨の解説を加えている。
この報道で問題となっている「Justice AV」も「司法AV」ではなく「法務AV」として理解しなければならない。現に,「Justice AV」は,刑務所や拘置所等の刑事法務上の建物・施設でも使用されているようだ。
[追記;2024年5月28日]
関連記事を追加する。
Crooks plant backdoor in software used by courtrooms around the world
ars technica: May 24, 2024
https://arstechnica.com/security/2024/05/crooks-plant-backdoor-in-software-used-by-courtrooms-around-the-world/
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