自動走行自動車の維持管理と関連するサイバーセキュリティ上の問題
下記の記事が出ている。
Software-Defined Vehicle Fleets Face a Twisty Road on Cybersecurity
DARK Reading: April 9, 2024
https://www.darkreading.com/ics-ot-security/software-defined-vehicle-fleets-twisty-road-cybersecurity
正規ディーラーのみがメンテナンスを実施する場合でも問題がないわけではないが,正規ディーラーではない第三者がメンテナンスを実施する場合には何が起きるかわからない。
まして,中古自動車として流通する場合,基本的にはサイバー攻撃によって既に汚染された機械装置(製品)だと想定する以外に選択肢がなさそうに思われる。
市販の交換部品を用いる場合でもその交換部品の中にあるファームウェアが確実に安全なものであることの保証はないと言わざるを得ない。特に当該部品が第三国からの輸入品である場合,当該部品に組込まれているファームウェアがどのようなものであるかがわからず,最初からマルウェアが組み込まれていることがあり得る。
このことは,完全な自動走行自動車だけではなく,部分的に電子部品化された普通の自動車でも言えることだ。
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いわゆる「DX」の推進派の者が(真実は何も理解できないのにわかっているフリをして)リスク評価抜きで節操もなくデジタル化を推進すると,現実にそのようなことが多発することになる。
だから,EUのAI法案でも,しつこく,くどく,リスク評価の要件と方法に関する前文の記載が重ねられ,そして,関連する条項等が重厚に構築されている。
リスクの中でも高齢者や障害者のようなデジタルの手段を利用できない人々の基本的な権利の保障が重視されており,その権利保障のために,全面的なデジタル化を要求していないし,逆に代替手段の提供が義務となっている。簡単に言えば,非デジタルを全部廃止した完全デジタル化はあり得ない。
要するに,EUの整合化立法においては,完全に無条件のデジタル化は存在しない。
日本国憲法の下においても,高齢者や障害者の立場や能力を無視した全面的なデジタル化を推進することは,それ自体として憲法違反の行為となるし,そのような全面的なデジタル化を主張する国務大臣や公務員は,日本国憲法に定める憲法遵守義務に明白に違反していることになるので,(社会的弱者排除主義者という意味で)明らかに差別主義者であることになる。それゆえ,決してそのような主張をしてはならない。
ちなみに,私は,大学の学生に対しては,へたに「DX」と表現すると「頭の悪い学生だと誤解されて就職できなくなるリスクが高いので,DXという語を使用すべきではない」という趣旨のことを述べている。それでも「DX」を頻繁に使いたがる学生に関しては,思想信条の自由と表現の自由があるので強制的に禁圧したことはないが,私の内心において「救いようのない馬鹿だ」と評価することが多い。
ちなみに,バブル全盛期を謳歌した世代の人にとっては,「DX」を目にすると,風俗産業や娯楽産業等でしばしば使用される形容詞だったという記憶が喚起されることになるかもしれない。
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