医療分野専門のマネージドクラウドセキュリティプラットフォーム企業の前COOが無権限アクセス等の罪について有罪の答弁
下記の記事が出ている。
Cybersecurity Executive Pleads Guilty to Hacking Hospitals
infosecurity: 21 November, 2023
https://www.infosecurity-magazine.com/news/cybersecurity-executive-guilty/
マネージドサービスやマネージドセキュリティサービスを含め,全てのクラウドサービスにおいて同様の内部者犯罪があり得る。man-in-cloudとでも呼ぶべき犯罪類型が存在する。
一般に,このような犯罪類型は,特に珍しいものではない。
例えば,成年後見制度における後見人となっている弁護士等による背任・横領行為も(広い意味では)同じ「信頼を裏切る犯罪」の範疇に入る。
公務員,準公務員が守秘義務を守らずに職務上取得した秘密事項を含む情報を外部に垂れ流すような行為もまた「信頼を裏切る犯罪」の範疇に入る。
インターネット上のホスティングサービスのプロバイダやSNSサービスのプロバイダの従業者等による当該サービスの利用者の秘密情報を外部への垂れ流すような行為も同じである。
私見によれば,一般に,「信頼を裏切る犯罪」は,「壊す犯罪」の一種であり,「信頼」を破壊している。
信頼の破壊は,社会の必須要素の破壊の一部を構成する行為類型なので,理論的には,テロ行為と同列に扱うべき犯罪行為類型に属するものとして理解することが可能である。
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これらの守秘義務違反行為や知的財産権侵害行為を構成する行為,または,個人データ保護に関する各国の法令(日本国では個人情報保護法)に違反するような行為は,何らかのかたちで犯罪を構成することが多く,特別法による対処だけではなく,刑法上の信用棄損罪,名誉棄損罪,侮辱罪等によって対処可能な場合がかなり多いと考えられる。
現実にはそのようにはならないのは,単純に,往々にして通説化している偏向的な刑法学説を原因とするものかもしれないし,また,この種の犯罪に対応することに向けた警察当局の意欲のなさによるものかもしれない。
正確な原因調査は不可能なことなので,その原因を確定することができない。
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