バルトーク:2台のピアノ,打楽器と管弦楽のための協奏曲など
久しぶりにこの曲のCDを聴いた。ピエール・ブーレーズ指揮・ロンドン交響楽団の演奏による2008年の録音のCD(UCCG-53096)。
このCDの中には,ギドン・クレーメルの独奏,ベルリンフィルの演奏によるヴァイオリン協奏曲第1番の演奏(2004年)も収録されている。とても美しい曲だと思う。バルトーク以降の時代の世界中の作曲家達がこの曲を盛んに模倣した。
どうでもよいことなのだが,若い頃,少しだけ作曲をやってみたことがあった。しかし,やれるところまである程度やってみた時点で,自分の作風と作曲技法は,結局のところ,バルトークとその後継者らによって既に徹底的に採掘され尽くされた後の炭鉱遺跡の情景と香りのようなものだということを明確に認識・理解し,以後,作曲の世界とは完全に縁を切り,全く別の領域の人生を歩むことになった。
当時も今もそのことを知る人はほとんどいない。
学生から質問されれば答えるようにしているのだが,「人生とは,自分自身の可能性をどんどん狭める営みであり,最終段階では,他の選択肢がない段階(=死)に至る」というのが私の理解だ。これは,若い人たちにとってはちょっと惨すぎる意見かもしれない。
しかし,一瞬にして最後の日がやってくるわけではない。
人生のためのある程度の年限が提供されている。
そして,生きている間に何を楽しみ,何を苦しむかは,各人の自由だ。そのようにして自由に選択した結果がどうなるのかは,各人各様だとしか言いようがない。「運」によって左右されている部分もかなり大きい。
私の人生のための時間はあまり残されていないかもしれない。ひと昔前であれば既に死んでいるはずの年齢だ。日々,自分自身の知的能力と体力の著しい劣化を痛感し続けている。
しかし,まだ生きている。
残りの日々に何をなすべきか,この老いぼれに何ができるのかを考えながら,このCDに収録されている素晴らしい演奏を聴いた。
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