自滅の道を進んでいるのか?
EUがEU域内の自由通行のためのパスポートの電子化を選択したのには合理的な理由があるし,不可避だった。特に自動車による移動が普通になっている現代では,日本国におけるETCと同様の仕組みによる自動的な国境検問システムを導入しないと,経済圏としてのEUの活性化を期待することなどできない。
健康保険証も同じだ。EU域内の他国を移動中に疾病等の治療を受けた場合において自国におけるのと同じ健康保険サービスを受けるためには,電子パスポートと同様の(EU域内ではどこでも使用可能な)電子化された健康保険証が必須になる。
これに対し,日本国においては,もともと都道府県の境界を越えることは自由なので,パスポートを要しない。換言すると,もともと電子化の需要が存在しない。健康保険証も同じ。もともと電子化の需要が存在しない。
そのような(私からちゃんと説明されれば初心者でもすぐに理解できるような)基本的な動因を理解せずに日本国の電子化を進めるから破綻する。
しかも,(私を含め)高齢者は電子化技術に対する適応性を次第に喪失する。紙の証明書と人間による対応が大事だ。
私は,EUの電子化の動きを伝えるため,多数の関連法令を翻訳し公表してきた。
ところが,関連学者の多くはちゃんと読まない(または,読めない)。
また,結果だけをパクる(本当は能なしの)一見秀才らによって「おいしそうんなところ」だけパクり,天下りの道をせっせと開拓するようなことが起きている。
私は,結果を産むための試行錯誤を知らずに(自分は賢いと思って)結果だけをパクる者は必ず失敗すると講義で教えている。なぜなら,結果に至るまでの調査・検討と試行錯誤を経験していないので,制約条件を全く知らないからだ。当然に破綻が来る。
このような意見を言っても,どう見ても現状ではバカとイエスマンしかいないので,行き着くところまで行き着くことになるのだろう。
しかし,「怪我が小さいうちにやめておく」は,どの時代においても実は最上の策だったりする。
組織のトップが権力にしがみつくことだけに必死となっており,退却のタイミングを冷静に考えることができないのであれば,当該政策の責任を負うべきトップを失脚させる以外に方法がなくなってしまう。
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