国家によるサイバー攻撃への保険契約適用を避けるための保険会社の対応
下記の記事が出ている。
Cyber Insurance Market in Turmoil Over State-Backed Attacks
Bloomberg: May 22, 2023
https://news.bloomberglaw.com/insurance/cyber-insurance-market-in-turmoil-over-state-backed-attacks
攻撃を受けた国家の総資産が一瞬の間に一挙に消滅してしまうようなサイバー攻撃が十分にあり得る時代となっている。つまり,国家によるサイバー攻撃は,強力な核兵器よる攻撃よりもずっと大きな被害を発生させ得るようになっている。
そのようなサイバー攻撃の中には,相手国のAIシステムの洗脳や乗っ取りのような攻撃手法による場合も含まれる。
それゆえ,そもそも(独裁主義の国のような)国家によるサイバー戦によって生ずる損失に関して自由主義国における保険契約で対応できると考えることそれ自体が時代錯誤的になりつつある。
無論,保険契約で対応可能と考えることは各人の自由だ。しかし,国家によるサイバー攻撃の結果,(保険会社を含め)攻撃を受けた企業や官庁等の組織がまるごと全部壊滅し,再起不能となってしまうことが十分にあり得る。そのような場合,保険による対応が可能かどうかに関する全ての議論がふっとんでしまい,全く意味のないものとなる。
核戦争や生物化学兵器戦だけを人類絶滅の深刻な脅威と考える時代は,既に終わっている。
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