シフのクラヴィコード演奏によるバッハ作品集
シフのクラヴィコード演奏によるバッハ作品集のCD(ECM UCCE-2100/1)を聴いた。
多数の曲が収録されており,どの曲の演奏も素晴らしいのだが,私の完全に主観的(唯我独尊的)評価の下で最も納得したのはシンフォニアBWV 787-801の演奏だった。
クラヴィコードは,10本の指全部で弦を弾くことのできる鍵盤付き大型リュートともいうべき楽器。このCDの演奏を聴いていると,まるでギターかリュートの演奏を収録したCDじゃないかというような錯覚に陥る。
バッハは,とんでもなく優れた天才リュート奏者を知っていたのに違いない。だから,このような曲を書ける。
ただし,シフが最も精力を傾けて演奏・録音したのは半音階的幻想曲とフーガBWV903だろうと思う。この曲は,リュート曲の延長という世界から既に飛び出してしまっている。
若い頃のシフは,イケメンということもあって大人気のピアニストだった。現在のシフの外貌は普通の老人なのだが,内面は著しく進化している。長年にわたる研究と実践の積み重ねによるものだろう。
同種のCDは既に何枚かもっているのだが,素晴らしいCDコレクションを追加できた。
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