自動操縦
自動車,航空機,船舶など,非常に多くの運搬手段に自動操縦機能が組み込まれている。
船舶でも海図や海底地形図等のデータを記憶させたデータベースとGPSに基づく自動操縦システムが存在する。
しかし,情報システムである以上,常にハッキングのリスクは存在する。ハッキングにより暗礁に激突させ,沈没させることは可能だ。
また,GPSデータの送受信を誤らせ,または,その正常な送受信を阻害するサイバー攻撃もあり得る。
更に,海底地形や山岳地帯の地形を含め,地球上地形は,例外なく,常に変化し続けている。昨日のデータは全く利用価値がないどころかむしろ非常に危険ということさえあり得る。つまり,自動判断のためのデータが劣化する速度は,予想以上に速いし,常に突然のイレギュラーがあり得ることを想定しなければならない。
それゆえ,自動判定のための基礎データが不変であり安定しているということを前提とする限り,自動判定のためのAIシステムもまたかなりリスキーなものであり得る。常に「いかなる事情も常に予想可能とは限らない」という当たり前のことを絶対的な前提にした上でシステム設計しなければならない。
そういう当たり前過ぎることを理解できない者のことを「愚か者」という。
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以上のことは,人間が操縦する場合でも基本的には同じだ。
全く同じ昨日は二度とない。
全ての前提条件が常に変化しており,そのことを適切に察知し,微調整しながら操縦しなければならない。大きな変化があり得ることを察知したときはその運航を停止または中止することも決断しなければならない。
気象条件に関してはすんなり理解できる人でも海底地形等に関しては日々大きな変化があり得ることを全く理解できないタイプの人が存在していることに面食らうことがある。はっきり言って,無知または思考能力欠如だと思う。
そもそも地球は自転しているので,全体として常に動いているのだ。
それゆえ,(常に「仮説である」という意味で)暫定的な相対的座標軸しか成立し得ないということを知らなければならない。
[追記:2023年1月19日]
関連記事を追加する。
1000 Shipping Vessels Impacted by Ransomware Attack
infosecurity: 18 January, 2023
https://www.infosecurity-magazine.com/news/shipping-vessels-ransomware-attack/
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