ショスタコーヴィチ:交響曲第7番『レニングラード』
この交響曲は,ナチスドイツによるレニングラード包囲戦の中で書かれたと言われている。
ソヴィエトロシアのプロパガンダだとして批判された時代もある。しかし,明日は死ぬかもしれない包囲戦の中で,もしかすると遺作になるかもしれない作品として,自分がもつ全ての能力を注ぎ込んで作曲に没頭する以外にないという究極の状況を想像することができるとすれば,そのような批判がいかに表層的なものかを理解することができる。
実際,後には,「スターリンによって破壊され、ヒトラーによってとどめを刺された」ものとしてのレニングラードを象徴的に表し,全ての全体主義(独裁主義)によるジェノサイド行為を批判するために作曲された交響曲であるとの評価が定着した。
ベルリンの壁崩壊前の時代においては,国家を非難することは粛清(死)を意味した。それゆえ,作曲の意図を正直に述べることなどできなかった。
私自身の評価としては,現代において作曲された交響曲の中で,傑作として評価されるべき作品の1つであることは疑問の余地がないと考える。
分析結果に基づいて真似ることは可能かもしれないが,全く新たな作品として同じような作品を作曲することなど誰にもできない。
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