ある人から情報提供を受け,私なりに検討してみた。
いかなる法定の除外事由にも該当しない明白な剽窃物が国の正規刊行物の中に存在する。
国立国会図書館の著作権保護担当者は,明確な自覚をもって,適切な対処をすべきだと思う。
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安倍政権もその後の政権も,その基本方針として,「法の支配(rule of law)」を明確に示している。そのとおりだと思う。
当該問題が国家公務員によるものである場合,当該被害者に対して,個別に,告訴の意思の有無を確認した上で,告訴があるときは検察庁と裁判所の判断を尊重すべきである。
また,その告訴がないときは,当該剽窃行為それ自体の法益侵害の態様及び違法性の程度と併せ,当該加害者の職務と関連する事項(例:当該の者が著作権管理を担当しているか否か,当該部署において著作権を含め,知的財産権の保護に関する指示や研修等が徹底していたか否か,指示や研修等がなかった場合,更に上位の部署に何らかの問題がなかったか否か,人事に適正を欠くようなことがなかったか否か等),剽窃物の数及び(複数の剽窃があるときは)その剽窃が継続的または断続的に行われていた期間等の関連事情を精査し,関連条項に従い,適正に懲戒処分とするのが正しいと考えられる。
なお,告訴がない場合であっても,民事上の損害賠償請求(民法第709条)が妨げられないことは,当然のことである。
一般に,従来,このような問題の多くは,闇から闇へと葬り去られ,時として,関係各方面で明確に指摘されていた者であっても驚くような立身出世を遂げることがあった。
私人や民間団体には権力がない。しかし,国及びその機関並びに公務員には一定の権力と権限がある。「法の支配」の概念は,そのような権力と権限が適正に執行されることだけではなく,その権限や権力を執行する者自身が適正であることも要求する。
独立行政法人等を含め,国の機関において,そのような文脈において適正ではないことが横行すれば,政府がいかに「法の支配」に言及しても,誰も信用しなくなる。
それでは国家が一丸となって現下のパンデミックに立ち向かい,日本国の現下及び近未来の深刻な危機を克服し,日本国の繁栄と日本国民の幸福を確保することなどできない。
特に,米国においても,EUにおいても,日本国においても,(著作権を含め)知的財産権の保護を厳正に行うことは,自由主義と民主主義の国家体制を維持し,発展させる上での生命線の1つである。
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[追記:2021年12月13日]
あくまでも一般論として,国家機関の行為における透明性及び説明責任という側面からこの問題を考えてみた。
この側面は,民主主義の根幹部分とかかわるものだ。(法定の要件に従い国家機密に指定されている事項等を除き)透明性と説明責任が合理的に果たされていない場合,その国家機関は,組織体全体として腐敗していると推定してよい。
日本国憲法に定める独立の検査機関は,貴重な国家予算の適正な執行という観点から直ちに調査を開始すべきであるし,内閣府としても,関連組織を調査した上で,その組織体全体が腐敗していると判断したときは,当該組織体の長以下全ての管理職を更迭することを検討すべきだろうと思う。
そうしないと,当該組織内の健全な職員までどんどん腐ってしまい,結果的に日本国の国力を大規模に削ぐ危険性があるという意味で,日本国の国益上でも重大な問題が発生しかねない。
日本国が腐敗した国家ではないということを対外的に明確に示すことは,現下の状況下における国際関係においても極めて重要なことであり,また,政府に対する国民の信頼を得るためにも重要なことだと考える。
以上は,あくまでも一般論としての追記だ。
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