シューマン:ピアノ五重奏曲・作品44
仕事や私事やらで若干疲れた。
切り上げて,じっくりと音楽鑑賞。
若い頃には様々な楽曲を自分でも演奏したのだったが,長年演奏からは離れており,練習もしていなかった。そして,加齢による劣化。もう演奏不可能に近い状態となってしまった。それゆえ,ひたすらCDを聴くのみ。
大好きなヤン・パネンカ(ピアノ)+スメタナ四重奏団による演奏。とはいっても1986年録音のもので(DENON COCO-70741),もっと若い頃の演奏のようなグイグイと引っ張っていくような猛烈なエネルギーのある演奏ではない。しかし,これはこれで落ち着いて聴ける非常に優れた名演だと思う。
この曲の第2楽章は,何となく葬送曲のような雰囲気をもっているが,第1楽章は,おおらかで,何となく晴れがましく颯爽としており,しかも,心の底から微妙に温もりのようなものが湧き上がってくる不思議な曲だ。第3楽章と第4楽章は,演奏者にとっての楽しみの楽曲だろうと思う。心の通う仲間でこの曲を自由自在に演奏することができたら,きっと無上の喜びを味わうことができるのに違いない。クララもそのように感じながらこの曲を繰り返し演奏したのではないか・・・などと空想することがある。そして,ブラームスのヴァイオリン協奏曲の第3楽章にはシューマンのピアノ五重奏曲へのオマージュが含まれていると勝手に理解している。
この曲には名盤と呼ばれる録音が多数あり,私も複数のLPとCDをもっている。世間で名盤と評価されているものは,本当にどれも優れた演奏ばかりで,素晴らしい。とはいえ,残念ながら,事情があってLPプレーヤを廃棄してしまったのでLPのものを聴くことができない状態となってしまった。
同じCDにはドヴォルザークのピアノ五重奏曲(第2番)イ長調の演奏が収録されている。とても美しい曲だ。チェロの旋律が特に美しく,涙が出そうになる。ドヴォルザークほどチェロを美しく歌わせることに長けた作曲家はそうそういないのではないかと思う。そして,第4楽章は,シューマンとメンデルスゾーンへのオマージュに満ちている。
ヤン・パネンカとスメタナ四重奏団がこれらの曲を深く敬愛しているということがよくわかる素晴らしい演奏だと思う。
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