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2021年10月15日 (金曜日)

mutual assistance

以前は,慣例に従い,「mutual assistance」を「共助」と訳した。

現在ではやめてしまっている。

「共助」は,「共同で助ける」というニュアンスをもつ語だ。

しかし,「mutual assistance」は,「共同」で行われるものではない。

「mutual assistance」は,国際条約等を根拠として,互恵的に,一方から補助の要請があれば,その要請を受理して実行するということを意味する。その受理は単独行為であり,要請の実行も単独行為なので,共同の要素を含まない。

また,補助の要請が一方の国の機関から行われるだけであり,その要請を受けた国の側からは1回も要請が行われたことがなく,今後も行われる見込みが全くないような場合であっても,立派に「mutual assistance」である。要するに,法的根拠となっている法律文書が(あくまでも仮定的なものとして)互恵的な効果を与えているというのに過ぎない。

このように,共同の要素を含まないのに,共同行為または合同行為のようなニュアンスをもつ「共助」という訳語を用いることは著しく不適切である。

それゆえ,現在では,「mutual assistance」を「相互補助」と訳すようにしている。

 

 

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