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2021年7月11日 (日曜日)

AIと著作権問題

下記の記事が出ている。

 GitHubのソースコードで学習したプログラミングAI「Copilot」は著作権侵害なのか?
 GIGAZINE: 2021年7月9日
 https://gigazine.net/news/20210709-github-copilot-copyright/

自律学習型のAIの場合を含め,他の著作物を素材または要素として取り込み,その素材または要素を二次利用(reuse)して別のコンテンツやアウトプットを生成するタイプのシステムの場合,必然的に著作権法違反の問題が生じ得ることになる。

私は,大学の講義の中で少しだけ触れるようにしているのだが,著作権関連の国際条約,日本国の著作権法,米国の著作権法と関連判例法を完全にマスターしている受講生ではない場合,誤解を生ずるリスクがあるので,ちょっとだけ触れるだけにしている。現在のところ,私の評価基準を明らかにクリアした受講生はいない。

米国の著作権及び関連判例法の場合には別の考慮が必要となるが,日本国の著作権法に限定する限り,人格権の関係で生ずる問題を解決する方法はなかなか難しいだろうと考えている。

問題が表面化しないのは,AIの開発者の大部分が著作権法に関して必要十分な知識と実務経験をもっているとは言えないため,問題が存在するということを認識できないからだろうと思っている。

ちなみに,EUのデータ経済関連の政策文書中においては,AIを含め,社会のデジタル化においては,知的財産権の保護を尊重することが必須であり,それなしには成功があり得ないとされている。

私も全く同感だ。

***

もし現実に訴訟になったら,世界中のどの裁判官も内心で「逃げたい」と思うだろうと思う(笑)

私は「逃げるべきではない」と考える。

判断基準は,比較的簡明だ。

すなわち,「AIが実行したことと均等な行為をもし人間が実行したとすれば、著作権法に違反する行為に該当するか否か」という判断基準をもつことだ。

そして,該当性が肯定される場合,(少なくとも過失により)そのシステムの開発者及び運用者(自然人または法人)を著作権法違反行為の加害者として事実認定することができる。

一般に,法の不知は責任阻却事由とならない。

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