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2021年7月 9日 (金曜日)

ドヴォルザークの交響曲第7番・作品70

ドヴォルザークの交響曲第7番は,私の好きな曲の1つ。名演の多い曲であり,結構多数の録音がある。私も名盤と呼ばれるCDを何枚かもっている。

ヴァツラフ・ノイマン指揮,チェコフィルの演奏による1972年の録音が個人的には最も好きな演奏。しばしば感傷的にメロメロに演奏されがちな第3楽章は,このノイマンの1972年の演奏ではとてもメリハリが効いた躍動感あふれてものとなっている。それでいて,かなり深いところから胸にぐっとくるものがある。作品それ自体がとても優れていということなのだと思うが,そのような作品の最も良い点を表層的な感情の起伏に訴えることなく,心の深いところで真の感激を呼び起こし,メロディと和音の美しさを堪能させるような精神的な重層構造をもった演奏。まさに名演と言えるのだろうと思う。
同じことは,(異論があるだろうとは思うものの)同じCDに収録されている交響曲第8番の第3楽章についても言えることだ。ちなみに,何度も聴いている間に,交響曲第7番でも交響曲第8番でも,打楽器奏者がとんでもない名手だということに気づいた。

何度聴いても,第3楽章になると,感激の涙が溢れそうになる。素晴らしい楽曲であり,ヴァツラフ・ノイマンは,その楽曲それ自体の素晴らしさを表現するための最善の技能と統率力を持った素晴らしい指揮者なのだろうと思う。

当時のチェコフィルの技能に関しては,全曲を通じて,「これ以上を望むのは無理」と感じられるほど完璧なもので,とにかく感動するしかない。弦楽器のアンサンブルと音色の秀逸さは言うに及ばず,木管楽器の音色がとても美しい。当時,信じがたいほどにとんでもない名手揃いだったのだろうと想像する。

そのような感覚は,同じCDを何度聴いても変わらない。

ちなみに,私のもっているCD(COCQ-82697-703・日本国における再発売品)の箱の表紙にある写真には,第一ヴァイオリンの首席奏者の顔が写っている。何となく,ダヴィッド作のナポレオン戴冠式の絵の中で,ナポレオンの右脇に十字架を掲げている僧侶の顔とだぶって見え,ちょっと凄みを感じる。

それくらい,当時のヴァツラフ・ノイマンが「偉大な指揮者」として楽団員から崇敬されていたということなのだろうと思う。

ちなみに,私のもっているノイマンの全集版のCDセットの中にある交響曲第1番は,とても興味深い作品であり,若きドヴォルザークがどのような音楽家を目指していたのかを直接に知るためには必聴の楽曲ではないかと思う。

その後の交響曲第6番に至るまでの楽曲の中には,現代でもそのまま通じそうな前衛的な断片も混じっている。そのような断片をみつける度に,「この人も神に選ばれた天才の一員なのだ」と認識し,感動する。

ちなみに,私のもっているノイマンの全集版CDには,第7番と併せて第8番も収録されている。

この第8番もまた名曲として知られているのだが,ノイマン指揮チェコフィルの演奏による第3楽章にはちょっとした(普通は気づかれないような)微細なポルタメントで演奏されている部分がある。この部分が何度か聴いているうちに,ぐっと胸を熱くさせる。

一般に,インテンポでこういう芸当をやってのけるというのは,相当の芸術性と技量をもった音楽家でなければ実現できない。

バブリーな時代に流行ったテンポを揺らして演奏するというスタイルは,実は,かなりの素人でもできることなのだ。

真の天才は,全ての制約条件を完全に甘受し,遵守し,それでもなお芸術を開花させることができる。だからこそ,天才なのだ。

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