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2021年1月18日 (月曜日)

奇妙な議論

通信企業は,企業である以上,当該国家の法令に従い,適法に行動しなければならない。

一般に,テロ行為の扇動行為は,表現の自由の範囲外にある。それゆえ,テロ行為の扇動行為に加担する結果となることが明白な場合,そのような扇動行為を構成する通信を遮断することは,当該通信企業にとって「適法に行動すること」の一部となる。

米国のTwitterやFacebookが講じた措置は,予め明示されていた利用条件の違反行為及び警告無視という事実を踏まえ,利用条件に基づき,予め提示されていた措置を実行しただけのことなので,表現の自由の侵害には該当しない。TwitterやFacebookの利用者は,もともと,当該プロバイダが設定した利用条件の範囲内においてのみ表現の自由を享受するのにとどまるものであるし,当該プロバイダの支配権内においては,利用条件に定められている以上の表現の自由は保証されていない。

企業活動の自由が保障されている以上,上記のことは自明のことと言える。

では,個々の利用者が大手通信企業等の利用条件とは無関係に(適法行為の範囲内で)自分が享受したいと考える表現の自由を享受するためにはどうしたらよいのか?

自分自身でサーバを構築し,通信の送受信をすれば良い。

日本国における「パソコン通信」の全盛期はまさにそのような状態だった。

しかし,自分自身でサーバを構築する技術のない者やホスティングサービスを利用できない者はどうしたら良いのか?

紙媒体で表現の自由を享受すれば良い。

無論,それらの表現の自由は,適法行為の範囲内においてのみ許されることなので,例えば,テロ行為の扇動行為等を内容とする表現行為を実行する者は,その行為に適用される法令に基づき処罰され,その表現行為によって得た収益も犯罪収益として没収の対象とされ得る。
日本国の刑法のレベルでも,「侮辱」や「名誉毀損」を構成する表現行為は,違法行為であり,表現の自由の範囲外になる。脅迫や恐喝のための表現行為もまた,犯罪行為それ自体の一部となる。すなわち,表現の自由の中に含まれない。著作権法違反行為(公衆送信権または公衆送信可能化権の侵害)を構成するような表現行為もまた,違法行為であり,表現の自由の中に含まれない。

これらのことは,法治国家として当然のことと理解されている。

以上のような普通の理解を前提としない奇妙な論説が横行しているけれども,「無知の極み」または「烏合の衆」という感を否めない。

TwitterやFacebookは,とても便利なものだし,親しみやすいものだ。だから,その利用者は,「自分のためのもの」と錯覚しがちだ。

しかし,TwitterやFacebookは,それらのサービス提供主体の利益のために存在する企業活動の一部なのであり,無論,「利用者のもの」ではあり得ない。

それゆえ,SNSなしでは生きていけないような生活を一日でも早く解消できた者は,その生存確率を高めることになる。その逆もまた真。

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