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2020年6月28日 (日曜日)

長子相続

長子相続と長男相続とを混同しており,女性の家長の存在を知らない極めて不勉強で男女差別的な思想の持ち主の書いた記事と思われるが,女性セブン2020年7月9日の記事との注記のある下記の記事を読んだ。

 
長男重んじる昔ながらの「本家相続」 陥りやすいトラブルは
https://www.msn.com/ja-jp/money/personalfinance/%E9%95%B7%E7%94%B7%E9%87%8D%E3%82%93%E3%81%98%E3%82%8B%E6%98%94%E3%81%AA%E3%81%8C%E3%82%89%E3%81%AE-%E6%9C%AC%E5%AE%B6%E7%9B%B8%E7%B6%9A-%E9%99%A5%E3%82%8A%E3%82%84%E3%81%99%E3%81%84%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%96%E3%83%AB%E3%81%AF/ar-BB161VrQ

この記事は,法定相続分や遺留分が形式的に適用されるという前提で書かれている,それも間違い。様々な寄与等を考慮した上で,基本的には遺産分割協議という話し合いの中でどのように相続するかを合意し,その合意が整わないときは,家事調停または家事審判によって解決する。家事審判においては,様々な寄与等を考慮に入れるので,当然のことながら,機械的・形式的に相続分等がそのまま適用されることは基本的にないし,現実に存在している家事事件においては,法定相続分や遺留分を機械的・形式的に適用したくても適用しようがない。

特に,農業従事者の場合はそうで,一定面積の耕地を確保しなければ農業それ自体が成立しなくなるし,農業経営を拡大しようとする意欲も喪失する。更に,常時同居して老親を介護することの大変さや負担は,実際に経験したことのある人にしかわからないものだし,墓を維持することの大変さも同じだ。遺産分割協議,家事調停や家事審判では,当然のことながら,そのような負担も考慮に入れられる。

ちなみに,この記事の中では,(客観的で信頼性のある統計に基づくものとは到底思えないが)兄弟姉妹で親の面倒を見るという意識をもつ者が増えているとの認識を前提としているが,現実問題として,兄弟姉妹のない子1人だけの家庭が多いわけだし,また,兄弟姉妹で面倒を見るとは言っても,入所型の介護施設等の経済的負担を共同でするのがせいぜいのことだ。様々な理由により介護施設等を利用できない者の間では親の介護の「たらいまわし」のようなことをすべきだという趣旨だろうか?

かたや,今回のコロナ関連の事実により証明されてしまったように,老人介護施設というものは,いざというときに全く役立たない。このような場合,その施設の従業者も接近と移動が禁止または抑制されるからだ。大規模震災の時にも同じようなことがあった。

一般に,70歳まで働けという傾向の強まる中で,70歳まで海外勤務や国内転勤を続ける人も多数出てくるわけで,そのような者については,例えば自分自身の世話もできなくなってしまっている老親と一緒に長距離移動して転勤することは不可能なことだ。

要するに,関連法制とその実務に精通していることは当然の前提とした上で,「現実はどうなっているか?」を十分な期間にわたり徹底的に調査・検討して記事を書くことなどできないという雑誌出版社の姿勢または経営基盤の脆弱性がこのような記事を産むことがなるのだろう。

以上のように意見を述べても,今後もこのような無責任な記事が増産され続けることになるだろう。そうしないと出版社が倒産してしまうからだ。

 

私の意見に反対の者もあるだろう。それぞれ思想信条の自由と表現の自由がある。

しかし,もし学術としてものを述べたいのであれば,私と同様,十分に高額な研究資金を継続的に入手し,5年~20年くらいかけて綿密に実地調査と現地踏査を敢行し,基礎資料を整理・検討し,全ての先行論文と関連法制を精査し尽くした上で,(もし可能であれば)実際に老親を介護した経験または介護中の経験を踏まえ,反論を述べるべきだ。

単なる政治的イデオロギーの部類に過ぎないものの押し付けは,強要罪を構成する行為の一種だと理解している。

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2020年6月26日 (金曜日)

記録可能なソフトウェアによるオンライン授業やオンライン会議等の違法性

例えばZoomのようなオンライン授業やオンライン会議用のソフトウェアの利用が盛んだが,それらのソフトウェアは多数の法的問題を抱えていると理解している。それゆえ,私は(共同不法行為者の一員とはなりたくないので)そのようなソフトウェアを使用していない。

あまたある問題の中で比較的理解しやすい問題は,記録機能だと思われる。

授業にしても会議にしても,通常は,映像と音声が正確に記録されることを前提としないものとして理解されてきた。しかし,これらのソフトウェアを利用すれば,再生可能な形態でデジタル記録される。

そのような記録が不用意にまたは意図的に外部に流出または漏洩することを阻止することは,基本的に不可能なことだ。改変され,本来の内容と異なるものが流通するリスクも高度に存在する。

そして,そのような記録の中にどのような要素が含まれているかを考えれば,一体何が問題なのかを誰でも容易に推測することができるだろう。

このような問題の発生を少しでも解消するため,記録機能を管理するモジュールを物理的に完全に削除してしまうことが望ましい。

それらのソフトウェアは,もともと行動監視用のソフトウェアの基本設計を転用または流用したものが多く,会議や授業というものの本質的部分を十分に理解した上で最初から設計・構築されたものではないのが普通だ。

 

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2020年6月24日 (水曜日)

reconstruction第2段階

リモートで仕事に慣れた人々がリアルに戻ると適応に問題が生ずる。

古いタイプの上司は,適応しないのが悪いと考える。

実は,そのように考える上司と経営陣を一掃してしまわないと当該企業が生き残ることはできない。

その結果,淘汰の第2段階が始まることになる・・・というよりもその渦中にある。

そのために要する時間は,そんなに長くはない。

信じがたいほどの速さで古いタイプの組織が墓碑銘だけの存在となる。

すると,これまでの丸投げのようなゼネコン仕事にも大きな変化が生ずることになるだろう。

発注者がオンラインで仕事をする個々のエンジニアを直接に指揮監督すれば足りるからだ。

中間は,全て必要なくなる。

このことは,『ネットワーク社会の文化と法』で書いたとおりなのだが,執筆当時には50年以上かかるだろうと思っていた。

こんなに早くその時期が来るとは予想できなかったのが残念。

 

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2020年6月15日 (月曜日)

比例原則

目的とそのための手段のバランスがとれていることを言う。

比例原則に反する場合とは,例えば,軽微な窃盗行為に対して死刑を宣告するような条項を定めることや,有害物質に晒されるおそれが全くないのに全国一律に行動制限を加えるような場合がそれに該当する。

比例原則は,EUにおける基本的な価値観の1つとなっている。

 

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