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2019年2月11日 (月曜日)

丸橋透・松嶋隆弘編著『資金決済法の理論と実務』

丸橋透先生から下記の書籍の寄贈を受けたので,早速読んでみた。

 丸橋透・松嶋隆弘編著
 資金決済法の理論と実務
 勁草書房 (2019/2/20)
 ISBN-13: 978-4326403615
 http://www.keisoshobo.co.jp/book/b427793.html

概説書的な部分とトピックス別の記述の部分とが混在しているので,読み方に工夫が必要かもしれないし,また,フォントの不統一を含め体裁上の若干の問題もあるが(←これらの点に関しては,出版社の編集担当者に全責任がある。),それらの点をさておくと,全体としては,理解しやすくするための各種の工夫が試みられている書籍だと思う。

一般に,この分野においては各国の法制の変転が激しく,本書が扱っている日本国の法令は,明らかに立法上の間違いと断言できる部分も含め,世界的には標準的なものであるとは言えないが,それが日本国の法律であることには間違いがないので,日本国内でビジネスを営む者である以上はその理解が必須のものであることは疑いようがない。

なお,この分野の研究に関して付言しておくと,EUの関連法令の研究が著しく乏しい。正確な比較法研究と認めることのできる十分なレベルの書籍等も存在しない。これからの若い研究者には是非ともチャレンジしてもらいたいものだと思う。

特に,今後は,ICTの更なる発展により,金融分野を含め,決済処理が単一化する傾向が更に強まると予測される。法体系全体(=行政上の所管)の全面的な見直しを避けて通ることは不可能である。

過去の学術は過去の学術として一応大事にした上で,それらとは全く関係のない新たな発想により,事実を直視し,全く新たな方法論による研究が推進され,理論体系が構築されなければならない。

このことは,経営学や会計学等の中で電子決済処理と関連する分野においても基本的には同じである。過去の理論はいったん全部忘れ,ゼロから全てを見直す努力が必要である。

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