裁判官の独立
日本国憲法は,裁判官の独立を保障している。
その例外は,分限裁判と弾劾裁判だけである。
無論,当該裁判官が関与する裁判とは全く無関係の一般犯罪等により訴追されることはあり得るし,当該裁判官が関与する裁判とは全く無関係の民事訴訟において原告または被告となることがあり得ることは言うまでもない。
しかし,裁判官としての職務に関し,その在任中は無論のこと,その職を辞した後においても捜査の対象とされることがあってはならない。
なぜならば,在職中の裁判官としての職務に関し,その職を辞した後に捜査の対象となる可能性が肯定される限り,時の政府のご機嫌を伺う宦官のような仕事しかできなくなってしまい,裁判の独立を守ることなどあり得ないこととなるからである。
その意味で,日本国憲法は,ベストとは言えないかもしれないが,民主主義の国家における非常に良い国家制度を定めていると言える。
あくまでも一般論として,そうではない国家制度をもつような国には司法権の独立も民主主義が存在しないと推定せざるを得ない場合があり得る。
つまり,そのような国は,民主主義と法の支配を基盤とする基本的な価値観を共有できる国家ではない。
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