『フィラデルフィア』(Philadelphia)
過日,トムハンクス主演の映画『フィラデルフィア』(1993年)を鑑た。
いろいろと考えさせられるところの多い映画だと思った。
その後,この映画の製作過程を調べている間に,実際にあった類似の訴訟事件及びその訴訟事件との関係をめぐる関係者間の紛争等についても理解し,ますますもって多角的な興味をもつようになった。
この映画は,直接的なテーマとしてはHIV関連のことを扱っている。しかし,それに限定されることなく,より普遍的で重要なテーマを基礎とする作品でありストーリーであるがゆえに,世界中から高い評価を得ているのだろうと思う。
社会派の映画作品であるということもあって,映像的な派手さは全くない。しかし,昨今の娯楽一点張りで泡沫的な映画ばかりという状況を考えるにつけ,「良い作品とは何か?」を更に深く考える契機となった。
現段階の仮説に従い,人間の心理現象または精神現象には少なくとも3段階の異なる層があるという前提で,「良い作品」の成立条件を考えてみると,逆にこの仮説の正当性が実証できるような感触をもっている。
どれが優れているとか劣っているとかいうことではなく,かなり本質的な部分で「異なっている」のだ。
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