米国:軍当局が,Microsoftとの間で仮想現実ヘッドセットに関する契約
下記の記事が出ている。
US Army awards Microsoft $480 million contract to augment reality in battle
ars technica: November 30, 2018
https://arstechnica.com/gadgets/2018/11/microsoft-wins-480-million-military-contract-to-bring-hololens-to-the-battlefield/
(余談)
学術の世界には軍事関連研究を極端に嫌う人々が結構多数存在し,軍事関連研究禁止の宣言等を公表している。
そのように考え,そのように行動することは各人の自由だ。
しかし,私は,ほぼ無意味なことだと理解している。
なぜなら,内外の一流企業の中で軍と完全に無関係でいられる企業は存在しないと考えられるし,また,現時点では汎用品の性能が非常に高いので,少々のチューニングを講じるだけで簡単に軍事転用できてしまうからだ。
軍事関連研究を極端に嫌う教授の下で教育を受けた学生がどのような人生を送るかは彼らの自由であり,教授といえども束縛できない。そして,優秀な学生であれば,一流企業に就職し,場合によっては軍事に直接的に貢献する仕事をするようになることもあり得る。
他方において,法学に関する限り,軍事と関連する各国の法制を知らない者がどうして軍事に対して反対することが可能なのか常に疑問に思っている。
一口に軍と言っても,現実に存在している国家の中で現実に生きている人間によって構成されており,そのような組織体としての軍は,当該国家の国家体制に従い,当該国家の法律の下で行動している。その相違は,軍という組織の形式的な構成要素だけではなく,その性質の相違をももたらしている。それらを帰納法的に調査分析し,適切に分類・整理することなく,演繹法的に,一律に「軍」と言って非難することは,単なる空想またはイデオロギーの産物に過ぎないので,少なくとも法学の一部ではない。
無論,緻密な研究を経た上で,結論として,軍というものに反対する立場を採るか否かは各人の思想信条の自由及び学問の自由の範囲内に属する。
ただし,「軍の禁止」のようなことを主張する場合,国家権力を究極的に強制するための組織的な仕組みが存在しないことを是認することになるが,当該主張をする者において,そのような状態の下において一定の地理的範囲を実効支配可能であると考えるのであるとすれば,それはあまりにも荒唐無稽なことである。
軍や武力が全く存在しない世界は,理想状態の1つであるかもしれない。しかし,それは,国家というものが全く存在しない状態を想定するのでなければ成立し得ない理想状態である。
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