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2018年9月27日 (木曜日)

個人情報保護委員会の予算権限

私より以上の多数の法令を読んでいる研究者は多数存在することだろう。しかし,自分自身を凡庸であると自覚し,多数の関連法令を(へたくそであっても)現実に翻訳し続けている研究者は他にはいないと自認している。

基本的にはGDPR対応のために関連法令を全部訳すという目標の下に始めた仕事であり,当初は,もっと早く終えられるはずの仕事だった。

しかし,この仕事を進めている間に,どの研究論文や書籍にも全く触れられていない多数の関連法令が存在することを知り,それら全部を精読して翻訳する必用性があることを痛感した。

引き続き,そのような仕事を行っている。

先はまだ遠い。

しかし,他には誰もやろうとしないだろうから,私がやるしかない。

そんな具合に仕事をしながら満2年が経過した。

EUの個人情報保護機関の予算制度についても徐々に調べることにした。まだ訳出していないが,結構多数の文書を読んだ。

現時点の結論として,日本国の個人情報保護委員会は,予算基盤が極めて脆弱であり,独立の機関としての要素の充足に欠く面があると考えている。

最高裁並みの予算請求のための独立の予算制度(ただし,現実には,最高裁が独自に予算請求をしたことはない。その真の制度上の理由については,明治大学を定年退職になる間際に論文として公表しようかと考えているが,基本的には,ある種の人的要素によるところが多い。真に気骨のある有意な人材は,マスコミや特定の傾向をもった組織・団体等を総動員してでもかなり早い段階に潰されてしまうというのが日本社会の顕著な特徴である。)までは必要がないが,いずれにしても,改善すべき余地が多々ある。

個人情報保護委員会には,もっと多くの予算が恒常的に保障されるような制度上の仕組みを構築しなければならない。

以上は,「所詮,世の中,銭や!」という真理に基づくものである。

商業活動のような私利私欲はその権現ともいうべきものであるが,そうではなく,全ての国民のために正しいことを実施するためにもやはりお金がかかる。

ただし,このことは,予算さえ確保できれば何でも解決するということを意味していない。

EUの関連法令において常に明記されているように「効率性」も重要である。

どんなに立派な経歴があっても,結局何も仕事のできない者は必要がない。逆に,どんな経歴であるとしても,標準以上に仕事のできる職員は大事にし,より多くの機会を与えなければならない。

一般に,人間の可能性を現時点において評価することは非常に難しいことだ。だからこそ,有能であるかもしれない職員の将来の可能性に賭けるべきときは,少なくともその機会を提供することが組織の職責の一部であると理解している。

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