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2018年9月18日 (火曜日)

カナダ:自律的に自己成長するロボットに関して製造物責任法等の既存の法令を適用することは難しいとの見解

下記の記事が出ている。

 It’s hard to sue a robot: product liability considerations and AI in Canada
 Canadian Lawyer: September 17, 2018
 https://www.canadianlawyermag.com/author/lisa-r-lifshitz/its-hard-to-sue-a-robot-product-liability-considerations-and-ai-in-canada-16207/

自律的な存在であるロボット(robots)は、ISO及びJISによって制御可能であることが義務づけられている産業用ロボット(robotics)とは異なり,本質的に人間による制御ができない。逆に,人間が制御できない存在でなければ,自律型(autonomous)であるとは言えない。

だからこそ,その研究・開発・設計・原料の提供・製造(有機体ロボットに関しては増殖)・販売をした関係者の全部について,無限定の連帯責任として損害賠償責任を負わせる必要があるというのが私見だ。

この点に関しては,このブログだけではなく,論文や関連参考訳の解説部分等で既に詳論してきたとおりだ。

なお,EUの関連政策文書を読むと,司法裁判所の判例法を踏まえ,製造者ではない運用者(サービスプロバイダ)には製造物責任法令が適用されないとしており,この点に関して製造物責任指令の改正はなさそうだ。

しかし,EU及びその構成国の法制において,サービスプロバイダは,損害賠償責任を全く負わないのではなく,当然のことながら,民法上の債務不履行責任または不法行為責任を負う。この場合,被害者は,一般原則に従い,過失の立証責任を負う。

製造物責任法制の眼目は「過失の立証責任の転換」にあるので,当然と言えば当然の帰結かもしれない。

部分的にちょっとかじっただけで専門家面をしている(偉そうな)人々が相当異なる意見を書いたりしているのを見かけることがあるが,失笑を禁じ得ない。

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