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2018年5月 5日 (土曜日)

なぞなぞ

現実に存在する人間ではない(人工知能システムのような)コンピュータシステムがランダムに自動生成したメッセージを受信した者(人間)が,そのメッセージを現実に存在する人間からの何らかの犯罪を教唆する内容のメッセージだと理解し,そのメッセージが示唆する犯罪を実行する気になり,現実に実行した場合,その者(人間)の刑事責任上の立場をどう理解したら良いか?

従属性説を捨てれば非常に簡単に解ける。

しかし,通説を維持しようとすると,議論百出する。

(余談)

上記の設例で,人間から教唆されたと誤解して犯罪行為を実行した者の故意の要件を当該犯罪行為の客観的な外形的事実の認識・認容で足りると解する判例の立場によれば,当該の者について,当該犯罪が成立することに何らの疑いも生じない。動機の形成過程における誤解等は,故意の成立に何らの影響も与えない。単に情状の一部となり得るのに過ぎない。したがって,判例による解釈に従っている限り,このような問題に関して混乱が生ずることはない。

これに対し,故意の内容について,判例と異なる理解を示す通説の立場では混乱が生ずる。とりわけ,故意の内容を共犯従属性説に従って貫徹させようとする立場では,更に混乱が生ずることになる。

(余談2)

上記の設例の主体を交換し,人間が相手を人間であると誤解して教唆に相当する行為を実行したが,実は単なる人形であり,何もしなかった場合,または,自律的な人工知能型ロボットであり,教唆されたとおりに行為を実行した場合を想定してみると,上記とは別の検討が必要になることに気付くことができる。

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