Bitcoin等の仮想通貨は国家に対する脅威か?
下記の記事が出ている。
ビットコインなどの仮想通貨は「進化する脅威」-米財務省
Bloomberg: 2018年1月18日
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-01-18/P2QFUX6KLVSE01
私は,国家権力の簒奪手段ともなり得る深刻な脅威だと思っている。
各国の中央銀行が仮想通貨を発行し,厳格に管理することには反対ではないし,その意味で関連する技術開発にも反対ではない。
しかし,私人が発行し,流通させるという点が問題なのだ。
この点について,財政学及び政治学を研究している研究者の中で基本的に異なる意見をもつ研究者はいないだろうと思う。
なぜ問題になるのかという基本的なメカニズムについては,法と情報雑誌2巻12号で公表した電子マネー指令参考訳の冒頭解説部分で述べた。古い通貨債権説を復活させ,現代的に再構築した理屈に依拠する見解を示すものなのだが,たぶん,通説になるだろうと思う。
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現行刑法は,国家を転覆する罪として内乱罪と外患罪を定めている。
これらは,有形の暴力による国家権力の簒奪のみを想定している。
しかし,現在のグローバルな電子情報社会においては,経済的な手法または電子的な手法により,国家権力を簒奪できる段階に達しているということを認識・理解できるかどうかにより,この先,刑法学者として飯を食っていけるかどうかが完全に分かれる。
私見としては,経済的な手段または電子情報的な手段により国家権力を破壊または簒奪する行為を処罰する条項を設けるべき時代が到来したと考えている。
そして,その場合の行為主体は,人間だけに限られない。そのような国家権力の簒奪を試みる行為が人間ではなく完全に自律的な人工知能システムよって実行された場合であっても,人間に対する「処罰」に代わる「システムの破壊処分」を可能とするようなものでなければならない。
それを可能とするためには,日本国のレガシーな理論刑法学におけるドグマのようなものを払拭しなければならない。
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