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2017年12月 3日 (日曜日)

人間のクズ

私は,ときどき,「人間のクズ」という表現を用いることがある。

「クズ」とは,「屑」のことではない。「葛」のことである。

「葛」は,マメ科の植物であり,非常に強健なのだが,他の樹木にからまって生きているツル性の植物で,からまる相手がいないと地面を這うしかなく,昆虫等の小動物の餌食となってたちまち衰退してしまう奇妙な植物だ。

「葛」の学名は,「Pueraria montana (Loureiro) Merrill」である。

しかし,実際には,亜種や変種のようなものが多数あるので,一群の複合体(complex)として理解するのが妥当そうだ。

私見によれば,古代からの選抜・栽培による様々な品種の複合体であり,野生種が生存しているわけではないと考えるのが最も妥当である。

いずれにしても,もし自分が植物であるのだとすれば,枯れかかった他の巨木にしがみついて生きるのではなく,仮に見栄えが悪かろうと良かろうとそんなことはお構いなしに,自力で直立する植物でありたいものだと思う。

(余談)

山野に生えている植物の全てが野生種だという前提に立つ限り,現在の段階における生物多様性の概念は,基本的に誤っているのだろうと思う。

本当は,何千年もの歴史の中で人類が選抜・栽培した人工的な多様な品種がどうにかこうにか生き残っている場合が多いと考えるほうが妥当な場合が多い。

これは,遺伝子ベースの研究にも大きな影響を与える。

なぜならば,遺伝子ベースの研究においても,山野に生えている植物の全てが野生種であるという架空の前提を絶対のものとした上で,平均的な突然変化率を想定して遺伝子上の分岐点を想定しているからだ。

しかし,真実はきっと異なる。

自然界に野生で存在しているように見える植物のかなり多くのものが,実は,古代において(選抜及び交配により)開発された人工的な品種の生き残りなのだろうと思う。

だから,品種の分化が著しいのだ。

(余談)

「クズ」の語源には諸説あり,神話的な地名起源説が比較的有力なのではないかと思う。

しかし,私は,非常に疑問に思っている。たぶん,後世のこじつけの一種なのであろう。

ところで,「葛」の中国語の音の中に「クズ」はない。

しかし,「葛」の漢音を「カツ」と誤読した音写のようなものが長い間に「クズ」に転じたものと推定することは可能だ。

諸葛亮(孔明)の「葛」の現代中国音も「カツ」ではないが,日本では,古来,「カツ」と読まれてきた。それに似た音が古音として存在していたのかもしれない。

また,漢音の古音が「グドゥ」のような音であったかもしれないとも考えられる。もしそうであるとすれば,その場合でも,「グドゥ」→「グズ」→「クズ」への変化が容易に発生し得る。

この点に関する専門家によって丁寧な検証が行われるべきだろう。

一般に,従来は日本語起源と思われてきた植物名(和名)の中には,輸入した本草書等の中国名からの音写のようなものが起源になっていると仮定すると,かなりすんなりと説明できてきしまうものが多数あることに気づいた。

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