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2017年9月 4日 (月曜日)

大塚初重・梅澤重昭 『東アジアに翔る上毛野の首長-綿貫観音山古墳』

下記の書籍を三省堂本店で見つけ,購入して早速読んだ。

 大塚初重・梅澤重昭
 東アジアに翔る上毛野の首長-綿貫観音山古墳
 新泉社(2017)
 ISBN-13: 978-4787716392

論述にはところどころ歯切れの悪い部分がある。

そういう部分が重要だ。

これまで長年にわたり唯物史観に征服され支配されてきた日本国の考古学及び歴史学において,ようやくまともな本が出始めたということなのだろうと思う。

この古墳は訪問したことがある。

立派な古墳だと思った。

また,4個配置されている円形の附属施設のようなものから,当時の古代中国における観念を強く感じるとることができる。

この書籍でも明確に示されているとおり,この古墳は,晋尺に基づいて造営されている。

それだけでもほぼ答えになっていると思う。

加えて,発掘された瓶は,否定しようのない物的証拠だと考える。

少し後の時代になるが,同様の瓶は,隋または唐の仏寺遺跡発掘物(←東京の国立博物館にも少量ながら収蔵されている)にも示されていることから考えれば,概ね,その歴史的意味を理解することができる。

すなわち,聖なる杯をもつ石人またはその肖像が示す支配者と,瓶をもつ被支配者とは,対をなすものだと考えるのが妥当だ。

その杯及び瓶の中に入っているのは,無論,葡萄酒だ。

これは,古代ギリシア文明に由来するもので,古代バクトリアを通じて,ユーラシア全域が一体としての文明圏にあったと考えるのが正しい。

すなわち,この時期における中華は存在しない。

完全な断絶がある。

そして,鮮卑族なるものを蒙古人の一種と考えるのは,そろそろやめるべきことだろう。

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