エミリー・アンテス(西田美緒子訳) 『サイボーグ化する動物たち-ペットのクローンから昆虫のドローンまで』
下記の書籍を読んだ。
エミリー・アンテス(西田美緒子訳)
サイボーグ化する動物たち-ペットのクローンから昆虫のドローンまで
白揚社(2016/8/30)
ISBN-13: 978-4826901901
この分野における最近の概況をまとめたもので,全体像を理解するには良い書籍だと思う。
ただし,現時点における関連技術とその応用は更に進んでおり,既に人類が管理しきれないレベルに達していると考えられる。
また,理論的には,人間とそれ以外の動物,無機的な機械装置と有機体生物,単体と混合物(サイボーグ等を含む。)とを分けて考えることの愚かしさを如実に示す書籍であるとも言える。
これら全ては連続しており,サイバネティクスの一種として理解するのが正しい。
その意味で,「AIは制御可能」との妄言をいまだに吐いて平気でいる人々の知能のレベルまたは虚言癖のレベルを更に明確化する書籍の1冊であるとも言える。
真の意味で「Autonomous」である限り,人間が操作(操縦)することができない可能性を常にもっていると考えるのが正しいし,真の意味で「AI」である限り,人間の知能をはるかに超える可能性を常にもっていると考えるのが正しい。
また,実験室の中では管理可能であっても,それが人間やその他の生物に移植された場合,あるいは,自然界に放たれた場合にどのような結果が生ずるかを予め知ることができないのが普通であり,無論,完全な管理などできないということを理解すべきである。移植されたサイバネティクスが自己増殖能力をもっている場合には,(突然変異の可能性も含め)ますますもってそうである。
そして,最後に生き残るのがどのサイバネティクスであるかは・・・適者生存法則によって決定される。人間の理性によって決定されるのではない。
(余談)
この手の問題を考える場合に,興味深い示唆を与えるものとして,学生に対しては,井上ひさし『吉里吉里人』を読むように勧めている。しかし,その長さに圧倒され,読もうとしない学生が少なくない。それでは最初から負けてしまっているのと同じことなのだが,これも御時世というものなのだろう。
しかし,どんなに長い長編小説であっても,さっさと読み,要点をつかむ力がなければ,卒業後に生き残ることは難しい。だからと言って,ネット上の評論等だけから安直に知識を得ることばかり考えているようでは,ますますもって生存確率が低下することになる。少なくとも,Googleはネット上のコンテンツを全て網羅的に知っているので,ネット上のコンテンツだけに頼る者は常にGoogleのAIマシンに負けることになるという結論になる。
| 固定リンク
コメント