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2017年5月 8日 (月曜日)

EU: European Civil Law Rules in Robotics

下記の報告書が公開されている。

 European Civil Law Rules in Robotics
 Policy Department C: Citizens’ Rights and Constitutional Affairs, European Parliament (2016)
 http://www.europarl.europa.eu/RegData/etudes/STUD/2016/571379/IPOL_STU(2016)571379_EN.pdf

ロボットの法律問題について研究する者にとっては必読の文献だと考える。

ドイツ及びフランスにおけるロボット法の中心的テーマは,この報告書にまとめられているあたりを中心とするものとなっているように思う。

ただし,Nomosから刊行されているドイツ語のRobotikのシリーズでは,刑事法の分野に関しても非常に参考になるものが多く,勉強になる。

昨年10月に「アシモフの原則の終焉-ロボット法の可能性-」の原則を執筆した際には,この報告書を参照できなかったのが残念。

(余談)

EUの姿勢は,「行政権による開発者の管理」ということに尽きるのだと思う。この点で,米国流のやり方とはかなり異なる。

ただし,EUが経済発展を無視しているということは意味しない。人間に害を与えるような技術の応用には厳しい監視の目を光らせるということなのだと理解している。それゆえ,一定の安全性確保措置が確保されている場合には支障のない流通が保証される。個人データの保護と同じ制度的な仕組みがそこにある。

仮にEU流を導入しようとした場合,現在の理系の大学教育では,無教養学生を増産しかねない問題のある学部が存在するので,倫理も何も期待できないという前提を肯定せざるを得ず,そのような者に対しても「倫理」を強要するためには,徹底した超厳罰主義以外の手法が考えられない。比喩的に言えば,中国の古代における意味での「法家」を復活するしかないのではないかと考えられる。

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