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2017年3月16日 (木曜日)

ドイツ:アウディ本社に対して詐欺罪の容疑で捜索

下記の記事が出ている。

 Audi searched by German police in Dieselgate swoop
 REUTERS: March 15, 2017
 http://www.reuters.com/article/us-audi-emissions-prosecutors-idUSKBN16M0XP

 German Police Raid Audi Offices, Escalating Volkswagen Diesel Inquiry
 New York Times: March 15, 2017
 https://www.nytimes.com/2017/03/15/business/audi-vw-diesel-emissions.html

あくまでも一般論だが,製造物の欠陥その他の法律上の問題があることを知りながら,何も問題がないものであることを前提とした価格で製品を販売した場合,当然のことながら,詐欺罪の構成要件該当性がある。

このことは,いわゆるサプリ等でも同じだ。この点については,夏井高人「植物の名称の不公正な使用と景品表示法の適用」で既に詳論したとおり。

詐欺罪に該当する刑法犯の事案であるのに,前科とならない行政処分で済ますために各種特別法が存在する場合がある。どのような法的制裁をすべきかについては監督官庁の裁量にゆだねられていることも言うまでもない。

問題は,詐欺罪とすべき事案について告訴がなされることが滅多にないということに尽きるのではないかと思う。詐欺罪の罪名により告訴があれば,法務省所管の業務となるので,当該分野における監督官庁の判断とは全く別に,検察庁が捜査の開始の必要性の有無及び起訴・不起訴の判断をすることになる。

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コメント

江藤貴紀さん

あくまでも一般論を述べたつもりだったのですが,報道をみていると現実にいっぱいありそうで,何とも微妙な気分になります。

法という社会システムの機能と本質については諸説あります。それぞれの立場がありますけど,基本的には,全体の構造(structure)を把握するだけの力量があるかどうかにより,考え方が異なるような気がします。

ミクロとマクロの両方から考察しないとダメなのですが,それがなかなか難しい。時間がかかります。

私は私なりに何十年か考えてきて,自分なりの方向性を見出したのは40歳の頃でした。それから更に勉強を重ね,自分流で好きなように書けるだけの蓄積を達成するのに20年かかりました。

学問には時間がかかります・・・

投稿: 夏井高人 | 2017年3月22日 (水曜日) 20時29分

夏井高人様

詐欺罪に該当する刑法犯の事案であるのに,前科とならないよう刑事罰自体が軽微にされている事例は確かに散在されますね。
ただ時によっては、(状況証拠からいくと)アクロバティックに公務署や内輪のインサイダー情報などを端緒として、一般法の領域に事件が進むこともあるなど、なかなか面白いものがあります。

なお、どういう風に悪し様に痛罵が可能な人物であっても、そういう人種が長期にわたって社会で反復継続して活動可能な体制を作り上げたのは否定してはいけない事実ですね。、とにかく近視眼には陥っていけないと自分に(できる範囲で)言い聞かせています。明後日の方向で頑張っても、持ちこたえられなければ線香花火になってしまいますね。

投稿: 江藤貴紀 | 2017年3月20日 (月曜日) 23時57分

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