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2017年2月 2日 (木曜日)

松原有里「親子会社間IT(情報通信)サービス取引をめぐるクロスボーダーな消費課税と欧州VAT指令(2006/112/EC)の関係-Skandia America (USA)事件(Case C-7/13)を中心として-」

下記の論説を読んだ。

 松原有里
 親子会社間IT(情報通信)サービス取引をめぐるクロスボーダーな消費課税と欧州VAT指令(2006/112/EC)の関係-Skandia America (USA)事件(Case C-7/13)を中心として-
 EU法研究2号87~110頁(2016)

EUのVATについては,日本語の良い文献資料が乏しく,その関連の事項を調べていて苦心したことがある。

この論文は,副題にあるSkandia事件判決とCredit Lyonnais事件判決を素材としつつ,EUの法令中にしばしば出てくる「主たる拠点」の確定方法に関し,非常にわかりやすい図を交えながら詳細な検討を加え,問題点とその社会・経済的な背景にまで言及するもので,学術論文としての有用性が著しく高い。

とても勉強になった。

この論説に書かれていることを参考にしながら,更に勉強しようと思う。

(余談)

松原氏の論説では,司法裁判所の「Advocate General(AG)」の従来の訳語「法務官」を用いている。

「法務官」で間違いとは言いにくいが,どうもしっくりこない。なぜなら,日本語としての「法務官」は,刑事司法を担当する刑事法務当局(Judicial authorities)のことを意味する語と解するのが普通だからだ。しかし,司法裁判所のAGは,法務当局とは無関係の独立した存在であり,かつ,訴追官でも論告官でもない。

法と情報雑誌2巻1号(通巻7号)に掲載の丸橋透先生の論考にもあるとおり,司法裁判所規則の条項に定めているAGの職務・権限・責任を完全に踏まえて,「独立弁論官」とするのが妥当と考える。

私自身は,司法裁判所のAGについて,「独立弁論官」という訳語を用いることにする。

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