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2017年1月31日 (火曜日)

Linnet Taylor, Luciano Floridi & Bart van der Sloot (Eds.), Group Privacy: New Challenges of Data Technologies

下記の書籍が届いたので,仕事を中断してざっと読んだ。

 Linnet Taylor, Luciano Floridi & Bart van der Sloot (Eds.)
 Group Privacy: New Challenges of Data Technologies
 Springer (2017)
 ISBN-13: 978-3319466064
  http://www.springer.com/us/book/9783319466064

問題意識は,従前から指摘されてきたもので,『電子商取引法』(勁草書房)の第3章(分担執筆)で既に指摘しているものだ。すなわち,「個人」の本質にかかわる問題を取扱っている。

それだけであれば特に目新しいものではないのだが,現実の問題としてどのような場面において従来のような単純な個人データ保護のアプローチでは失敗してしまうのかについて,主として欧州における状況を前提とした上で,具体例としてはビッグデータにおける要素解析を中心にとりあげながら,多角的に検討しており,勉強になる。

Floridiの分担執筆部分では,一般的な定式化を試みた上で,一般データ保護規則GDPRの適用のための解釈論としての試みが展開されており,非常に興味深い。私個人としては,GDPRの解釈論もさることながら,理事会決定2009/936/JHA及び理事会決定2009/936/JHAの問題点をより深く認識するために役立った。

また,本書では参考文献等の記載が充実しており,更に深く研究したいと考えている研究者にとってはレファレンスとしての有用性の高い書籍となっていると思う。

個人データやプライバシーと関連する分野の研究者であれば,一度は目を通しておくべき書籍だと評価することができる。

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