植物には記憶能力があるか?
下記の記事が出ている。
Do plants learn like humans? Smart seedlings can be taught to adapt to their environment
Daily Mail: 6 December, 2016
http://www.dailymail.co.uk/sciencetech/article-4005956/Do-plants-learn-like-humans-Smart-seedlings-taught-adapt-world-them.html
「記憶」の定義の問題だろうと思う。
人間の記憶と同じようなものだけが「記憶」だと決めてかかると,最初から結論がさきどりされていることになるので,人間にしか記憶能力がないことになる。
しかし,動物にも記憶能力はある。
そこで動物を定義しようとすると,植物との境界が実は曖昧だということに気づくことができる。
そこで,動物に限定しないものとして「記憶」を生物の「機能」の一種として一般的にモデリングしてみると,植物にも記憶の能力があるという結論を導出し得る場合がある。
要するに,「人間至上主義(ヒューマニズム)」のような考え方を基盤とするか否かの問題だと思う。
そして,「どうして人間だけが別格なのか?」という問題に対する解は,哲学上または宗教上の立場によって異なるものなので,数理的な理論だけではどうしても決着をみることができないことが多い。
(余談)
似たような定義の問題は,「ロボット」にもある。
産業用ロボット(Robotics)だけに限定して考えれば,そういうものだけがロボットとなる。
しかし,本来の定義は異なる。
この問題は,要するに勉強量の不足に起因するものではあるけれども,しかし,無機質のものだけをロボットとして考えたいという「欲情」のようなものにとりつかれている人々を説得するのはなかなか難しい。この場合,単なる知性の問題ではなくなってしまうことがあるからだ。
けれども,有機質の人工生命体もまたロボット(サイバネティクス)の一種だ。
そのような前提で考えないと,政策論全体を見誤ってしまうことになる。
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