消費者庁:イズミヤ株式会社及び株式会社牛肉商但馬屋に対する景品表示法に基づく措置命令
下記のとおり公示されている。
イズミヤ株式会社及び株式会社牛肉商但馬屋に対する景品表示法に基づく措置命令について
消費者庁:2016年12月21日
http://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/pdf/161221premiums_1.pdf
食肉の偽装事件を含め,過去の関連事例については,下記の論説で詳論した。
植物の名称の不公正な使用と景品表示法の適用
https://m-repo.lib.meiji.ac.jp/dspace/bitstream/10291/18201/1/horitsuronso_88_4-5_23.pdf
この論説の中では,契約の要素となっている給付内容については,表示されたとおりの内容の給付をすべきことの強制履行を求める法的手段の確立が重要であることを明確に主張した。
今回の事案は,そもそも何も仕入れておらず,契約の申込み誘引だけがあった事例として理解することができる。それゆえ,今後は,違法な申込みの誘引があった場合,誘引の内容となっている契約について,顧客の側から申込みをし,誘引をした企業等に強制的に承諾させて契約を強制的に締結させる法制度を確立した上で,誘引の内容どおりの給付をすべきことを強制履行する法的手段を確立することが消費者保護法の中心的な検討課題とされるべきである。
このような方策を講ずることにより,採算性の全くない契約の申込みまたはその申込みの誘引をする企業等が強制的に表示された内容どおりの契約締結をさせられ,その履行の強制を受けることになる結果,行政機関が行政上の制裁を加えるよりももっと確実に当該企業を経営破綻に追いこむことができることになる。
まともでない企業は,そのようにして社会から放逐されるべきである。
他方で,まともな企業であれば,そのような悲惨な事態の招来を避けるため,決して顧客の判断を誤らせるような誇大広告や押し売り的な商法をしないようになるだろうと期待している。
これらは,行政法というよりは民法に関するものなので,民法(特に契約法)の研究者にも関心をもってもらいたいものだと考えている。民法学上では,事実上の契約強制を実現するために,禁反言の法理の応用を試みることが考えられる。
ちなみに,有利な投資の勧誘の場合にも,確定された給付内容としてとらえ,約束した内容どおりの給付の履行強制をすることができる方策が極めて有効なのであるが,この分野では確実に利益を得ることを約束することが違法とされているから,理論上ではその履行強制をすることができない(可能なのは損害賠償請求だけであるが,その場合でも損害額の算定に際して,関連監督法令によって違法行為とされているという要素を考慮に入れないわけにはいかない。)。つまり,この分野における行政監督法令は,実は,そのような悪徳投資勧誘業者を経済的に保護するという法的効果を与えていることになる。
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