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2016年12月13日 (火曜日)

DDoS攻撃ツールが広く普及する兆し?

下記の記事が出ている。

 DDoS tool encourages users to compete against each other for points
 Naked Security: 12 December, 2016
 https://nakedsecurity.sophos.com/2016/12/12/ddos-tool-encourages-users-to-compete-against-each-other-for-points/

「腹のたつ相手にはDDoS攻撃・・・」なんてことが横行する時代になってしまうかもしれない。

無論,攻撃者の誤認により,関係のない私人のPCやスマートフォンが破壊されてしまうことになるような事例も多発することになるだろう。IoTが普及している現在では,極論すると,家全体(スマートホームの場合)あるいは都市全体(スマートシティの場合)が一瞬にして破壊されてしまうというようなことが発生し得る。

私見としては,業務妨害罪類型の犯罪について見直しをしつつ,法改正をしなくてもそもそも「業務」の概念について再定義することが可能かどうかについても検討すべきだと考えている。通説の見解によれば,例えば,私人が趣味でやっている行為のような場合は,反復・継続して行われている場合でも「業務」として保護されないことになる。通説を厳守するのであれば,法改正が必要となる。他方で,一定の傾向性のある人々は,「刑事法による処罰対象の拡大には反対」と主張し,まじめに法解釈論を構築しようとしないし,新規立法にも反対する。その結果,普通の市民は刑事的な保護を受けられずに放置されるという奇妙な自己矛盾的な状況が発生することになる。

業務妨害罪のほかに,器物損壊罪についても検討すべき余地がある。

機能喪失説を採用すれば,物理的な破壊がない場合でも器物損壊罪の成立を認めることができる場合が多くなるが,この説については議論があり,現実の適用の場面において疑問が残ることが少なくない。それゆえ,器物損壊罪についても法改正の要否に関する検討を要することになるかもしれない。

一般に,日本国を含め,主要各国の法制というものは,基本的にはお金持ちや企業の資産を保護するために制度設計されており,個々の市民の生活の保護のためには制度設計されていない(例外は,消費者保護法や労働法など)。

憲法上のたてまえ(個人の尊重)と現実に存在する法制度の基本構造との間には大きな乖離がある。

私は共産主義者でも社会主義者でもないが,一人の法学者として,憲法上の「たてまえ」と実装されている法制度との間の乖離が大きすぎる場合,国家の安定を損なう深刻な脆弱性要素の1つとなるとの見解を有している。

[追記:2016年12月16日]

関連記事を追加する。

 Mirai Giving DDoS-as-a-Service Industry a Boost
 Threat Post: December 14, 2016
 https://threatpost.com/mirai-giving-ddos-as-a-service-industry-a-boost/122493/

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