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2016年12月 8日 (木曜日)

David Brin, The Transparent Society: Will Technology Force Us To Choose Between Privacy And Freedom?

下記の書籍を読んだ。

 David Brin
 The Transparent Society: Will Technology Force Us To Choose Between Privacy And Freedom?
 Basic Books (1998)
 ISBN-13: 978-0738201443

著者のWebページは下記のところにある。

 World of David Brin
 http://www.davidbrin.com/transparentsociety1.html

1998年に書かれたものなのだが,内容的には現在でもそのまま通用するものだと思う。

要するに,本質に迫って考えた結果を正しくモデリングして記述された書籍というものは,普遍的な知見を多く含むことになるので,いつまでたっても古びることがない。

本書中に示されている見解に対する賛否はあると思うが,私は,良い書籍だと思う。

「サイバネティクス」という概念枠組みで情報社会の現象や構造を理解しようとする場合,多くの手掛かりを与えてくれるものと言えるだろう。

私見としては,現時点では,「ネットワーク社会全体が1個の法人としてのサイバネティクスのようなものであり,その利用者である人間は,実は,管理者ではなくて,法人であるサイバネティクスのための部品(入力装置または出力装置)という地位に転落してしまっている」と考える。

1998年に出版された本書においても,私見と類似の考え方が示されており,興味深い。

私が『ネットワーク社会の文化と法』を刊行したのは1997年のことなので,その頃には世界中で深刻に悩み,考え続けた人々が多数存在したということにもなるのだろう。

日本国内において出版されている関連書籍を読んでいると,相変わらず,安直に「洋もの」の格好良い「カタカナ用語」を導入・濫用しているだけで,実際にはどのように読んでも内容希薄な書籍が横行していると評価せざるを得ないが,そのようなものは,所詮,根のない草のようなものなので,比較的短期間に枯れ,そして,消えていく運命にある。

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