米国:連邦政府の委員会が,人工知能により今後20年間で47パーセントの職が失われるとの報告書
下記の記事が出ている。
Federal report: AI could threaten up to 47 percent of jobs in two decades
ars technica: December 23, 2016
http://arstechnica.com/business/2016/12/federal-report-ai-could-threaten-up-to-47-percent-of-jobs-in-two-decades/
報告書は,下記のところにある。
Artificial Intelligence, Automation, and the Economy
Executive Office of the President
December 2016
https://www.whitehouse.gov/sites/whitehouse.gov/files/documents/Artificial-Intelligence-Automation-Economy.PDF
(余談)
一般に,職業というものは相互に関連しているものなので,その職業に従事する者だけが失業するのではなく,その職業と関連する職業に従事する者も連鎖的に失業する。
ある閾値のようなものがあり,それを超えると,世界経済全体が破綻に陥る。なにせ,通貨というものを必須のものとする経済を前提とする以上,失業して餓死する者の購買力はゼロになるので,相対的に生産過剰状態だけが増強されることになるのだ。これでは経済が破綻しないわけがない。
ちなみに,今後,人工知能技術の発展により,民間の職業だけではなく,事務系公務員の仕事もほぼ全部ロボットに置き換えられることになるだろうと思う。
また,企業の経営陣や官僚の判断よりも人工知能のほうが優秀な判断をするようなレベルになると,世界規模で企業の経営陣や官僚が失業することになる。
同様に,軍の上層部や諜報機関等も人工知能に置き換えられる可能性がある。特に独裁者にとっては,自分の配下であるはずの軍当局や諜報機関が獅子身中の虫になる危険性が常にあるので,「人間ではない機械装置に置き換えたい」という願望が常にあるのではないかと想像される。
実際,GoogleやIBMが提供するサービスは,「人間の経営者よりも優れた判断を提供する」こということを既に必須の前提としているので,実は,「将来的には人間の経営者がいらなくなる」ということを前提にしていることにもなるのだ。このような前提は,人間の従業者や経営陣をゼロにして人件費コストをゼロにすることができれば,「投資家は100%の利益配当を受けることができる」という期待を前提とするものかもしれない。しかし,大半の人間が失業して餓死してしまっている世界の中で,投資家だけが生存し続けることが可能であるはずがない。
以上とは別の見解もあり得る。
貨幣経済が消滅し,人類が人工知能によって栽培・飼育される家畜になるという未来像だ。映画『ソイレントグリーン』は,そのような発想に近い。
現在の法思想は,「人間だけは別格」という前提的な思想を必須のものとしている。
私は,「『人間だけは別格』という前提的な考え方は,理論的には成立しない」という前提で,近未来のことを考え続ける。
[追記:2017年1月14日]
関連記事を追加する。
Robots Will Take Jobs, but Not as Fast as Some Fear, New Report Says
New York Times: January 12, 2017
https://www.nytimes.com/2017/01/12/technology/robots-will-take-jobs-but-not-as-fast-as-some-fear-new-report-says.html
私見としては,あまり賛成できない記事だ。
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